#1
深夜零時をちょっと過ぎたころ。
……俺はとあることに悩まされていた。
いや、悩まされているといっても、その内容は普段の俺ならば、嵐の中を全裸で全力疾走するほどに歓喜するはずのことだ!
それにもかかわらずっ! 俺は苦虫を噛み潰したかのように、渋柿よりも顔を渋くすることしか許されない。
「……ある意味、地獄だ」
ここまで天国に近い地獄なんてきっとないだろう。
「すぅ」
俺の横で、校長が可愛らしい寝息をたてているという状況なのに、俺はなにもできないッ!
チキンなことに、俺は校長を直視できず、校長に背中を向けて横になっていた。
「ハァ、ハァ」
決して室内は暑くない。
部屋の空調設備が、丁度いい温度に設定されているからだ。
しかし、俺は顔に無数の汗玉が作られているのを感じながら呼吸を荒げていた。
俺の身体を支配しようとしてくる、性欲という名の化物と戦っているからだ!
化物が俺に囁いてくる。
『おい、腑抜け。横で美少女が寝ているというのに、お前……俺はどうしている? ――豚の鳴き声そっくりな鼻息を吹かしているだけ!』
くっ、黙れ!
校長は俺を信頼してくれたから、同じベッドで寝ることを許してくれた!
ここで校長を襲えば、俺の信頼はベルリンの壁の如く崩壊する!
そもそもっ! 寝ている女の子を襲うなんて、紳士にあるまじき行為ッ!
『……おいおい。普通ならば、ソファーで寝ろと言われるところを、同じベッドで寝ても良いと言われたのだぞ? つまり、男女の営みに誘われたと考えるべき。それに応えない方が紳士失格ッ!』
んなアホな!
いや、一瞬マジかッ! と思ったけどさ、絶対に違うだろ!
ドラゴン○ールの実写版より脚色しすぎだ!
『ふぅ。……とんだ期待外れだ。普段の俺なら、世界一の冒険家にだって負けない勇敢な冒険心を持っていたはず! 探検したくはないのか? 女体という名の神秘を!』
したいッ!
したくないわけがないだろッ!
『素直になっちゃいなよ、me!』
「――ッ!!」
負けじと化物に応戦をしたつもりだったが、トイレットペーパーが便器に吸い込まれるのと同じように、俺の理性はあっさりと流されてしまった!
残念なことに、トイレが詰まるほどのトイレットペーパー、もとい俺の理性はそこまでなかった!
俺は体をゆっくりと反転させて校長の方を向く。
「(うぉっ!?)」
その際、校長は俺の方角を向いて寝ていたらしく、人形のように整った綺麗な顔が俺の視界一杯に映り、思わず俺の心臓は跳ねあがった。
「(……良い意味で体に悪いぜ!)」
鬱陶しいくらいに心臓の鼓動を感じながら、俺は校長の観察を続ける。
子供特有のやんちゃ感が漂っていたツインテールは解いており、現在はストレートになっていた。
横を向いて寝ているせいか、横髪の数本が校長の唇に触れていて、どこか色っぽい。
それに、背中を向けていたときでも、女の子特有の甘酸っぱい香りはしていたのだが、校長を視線で捉えることによって、その香りがより一層に強くなっていた。
「た、たまらん」
極度な緊張のせいで、かれこれ一時間以上は瞬きをしていない。
そのため、俺の瞳は水分不足でかぴっかぴ。
尋常ではない痛みが、随時俺を襲っていた。
それでも俺は瞳を閉じることなく、校長を見続ける。
きっとこれは、対価なのだ。
この絶景を見る代わりに痛みを与えられるというのなら、俺はそれを甘んじて受け入れる!
俺は心の中で訳の解らない(自覚はある)葛藤を叫びながら、再び校長の姿を網膜に焼き付ける作業に戻った。
校長が身につけている白いワンピース、……少しサイズが大きいのか?
胸元が良い感じで見えてしまっている。
発育途上のなめらかな曲線が……ん?
そして、俺は重大な事実に気付く。
「(ノノノノノォォォォォ!! ブラァァァァァァァ!?)」
誰もが必ず経験することになる『越えられない壁』。
ほとんどの男子が、それを初めて感じることになるのが女性のブラジャーだといっても過言ではない。
例えば、机の上の消しゴムを腕で弾いて床に落としてしまったときだ。
女子からの好感度が低い奴だったら、虚しく自分で尻を持ち上げて消しゴムを取りに行くことになるだろう。
……俺なんかもそうだ!
それか、余計なお世話を働く男子が拾ってくれる。
だがしかし、よほど機嫌が良かったのか、それともただの気まぐれなのか、消しゴムを拾ってくれる女子っ。
そして消しゴムを拾う際に、女子は前屈みになる!
そのとき。確かに俺は、――楽園を見た。
俺の視線に気づいた女子の放った右ストレートにより、俺の意識がもぎとられた際に見てしまった、死の溢れる楽園だったが。
俺が生死の境目を彷徨う羽目になったのにもかかわらず、求めていた乳山は拝めなかった。
……ブラジャーという名の、鬱陶しい雲によって!
しかし、白いワンピースの胸元から覗く、校長の二つの双方にはそれがないッ!
女性が寝る前にブラを外すというのは、童貞が創りあげた都市伝説じゃなかったのか!
「(それにしても、ちんまい!)」
校長の乳山は、お世辞を言えないほどに小さい。
山に例えては、山に失礼なくらい。
それ故、ブラジャーをつける必要がないのかもしれない。
しかし、それで良いのだ。
むしろ、それが良い。
小さいおっぱい、大好きです!
小動物を可愛いと思う乙女心と同じ心理だと思う!
「(ぬぅ! もうちょい……もうちょいで、山頂がっ)」
角度が悪いのか、ブラジャーという宿敵がいないのにも係わらず、俺は中々に校長の秘境へと辿りつけない。
「(もうちょいっ! もうちょいなんだぁぁぁっ!)」
………………。
…………。
……。
読んでいただき、ありがとうございます!
久しぶりの投稿です。
変態な内容でサーセン!
次回も変態な内容が続きます!
サーセン!




