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神のから騒ぎ  作者: あすかはなび
第二神話 新天地
22/29

#11

 俺は、どうして校長がアテナ理事長を拒んだのかが解らず、なにも言葉を出せないでいた。

 校長がアテナ理事長を嫌っているということは、まずないはずだ。

 アテナ理事長が気を失ったとき、校長は一目散にアテナ理事長にかけよったからだ。

 そうなると、考えられることは一つ。……俺と二人きりが良いとか?


「アテナは駄目だ。アテナは私と違って忙しい身だから」


 俺の妄想は即座に打ち砕かれた。

 くっ、流石に二重に美味しい話なんてあるわけないか!


「食事の時間も一緒に取れないほど、アテナ理事長は忙しいのですか?」


「私が使い物にならないせいで余計にな」


「使い物にならないって、校長先生は学校に泊まり込むほど仕事をしているじゃないですか! きっと、みんなその努力を認めていますよ!」


 俺の言葉に自然と熱が籠っていく。


「努力をしたとしても、結果を生み出せなくては意味がないんだ。それにな、我が学校に寝泊まりしている理由というのは……ここから出られないからなんだ」


 校長の言葉には、まるで、キャンプファイヤーの炎が燃え尽きてしまった後のような寂しさが感じられた。

 それに、校長は俺だけではなく、校長自身にも言い聞かせているようにも思えた。


「出ない……ではなく、出られない?」


「あぁ。出られないんだ。アテナは強力な力を持つが故に、呪われたとアレスから聞いただろ? 我はな、アテナの抑止力の為に、この土地から出られなくなる呪いをかけられたんだ」


「抑止力……。つまり、校長先生は人質ってことですか?」


 なんとなくだが、俺は理解してしまった。

 アテナ理事長の力というのは、あまりにも強大すぎて、神界の神達はアテナ理事長を恐れた。そこで、アテナ理事長を無効化するために、双子の兄弟である校長を人質に取ったということだろう。


「なんだ。馬鹿なくせして、中々に理解が早いじゃないか」


 笑いながらそう言って、俺を蔑ます校長。

 俺はそんな校長が、どこか開き直っているように見えた。

 どうしてだか、開き直るというのは、あまり良いようには思われない。

 例え『逃げている』と言われようが、仮初だとしても心の痛みを和らげることができるのなら、俺は開き直ることを、決して悪いことだは思えなかった。

 ……だけどだ。もし、校長が現状に対して開き直っているのであれば、それは悪い事だとハッキリ言える。


「……校長という立場の努力ではなく、今の状況を変えるような努力はしたのですか?」


「なにを言っている? 我に今の状況を変えられる力なんてない。ならば、我が今置かれている立場、校長という枠の仕事をまっとうするだけだ」


『自分は間違っていない』


 凛とした校長の表情がそう語っている。

 俺はそんな校長が許せなくて、


「……つまり、なにも行動をしなかったんだな?」


 低めな声のトーンと共に、侮蔑の眼差しを校長に向けた。


「……文句でもあるのか? 人間の分際で生意気だ」


 刃物を突き付けられているような錯覚がするほどに、校長は鋭い目で俺を捉える。

 俺はそんな校長の視線に負けじと、腹に力を入れて叫んだ。


「あぁ、大アリだ! どうして助けを求めない? 校長だけじゃない。セネメラだって、アテナ理事長だってそうだ! どうして、辛い思いを全て自分で背負いこもうとするんだ!」 


 俺の怒鳴り声に近い叫びが、山彦のように校長室内で反響した。

 俺と校長は無言で視線をぶつけ合う。

 そして――


「……助けなんて求められるわけがない! 我のせいでアテナは力を失ったんだぞ? アテナの力が健在だったら、この学校に通う神達の翼はなくならなかったんだ! みんなにこれ以上の迷惑なんて掛けられない!」


 校長は目に涙を溜めながら、泣き声の混じった声で俺に訴える。


「だったら、――俺に助けを求めれば良い!!」


 そんな言葉が自然と俺の口から出た。


「確かに俺じゃあ頼りないかもしれない。けど! 助けを求めてくれるなら、俺は全力でそれに答える!!」


 俺は拳を強く握り締めながら校長に宣言した。

 校長は俺の言葉に驚いたようで、パチパチと何度もまばたきをしている。

 考えることなく出た自分の言葉に、実は俺自信も驚いているくらいだ。

 校長の頬には、まばたきをした影響でか、目に溜った涙が溢れだしていた。

 俺はズボンの後ろポケットに入れてあるハンカチを取り出し、校長へ手を伸ばしたが、


「ぷ、ぷっ。あははははは。人間にそんなこと言われるなんて、予想だにしなかった」


 校長は泣いていたのが嘘のように、壮大に笑い、自分の手で涙を拭った。

 俺はそんな校長を見て、そっとハンカチをポケットに戻す。


「俺じゃ不満か?」


「あぁ。不満どころか、大不満だ。…………でも、嬉しい」


 そう言って、校長は太陽のように明るい笑顔を俺に見せた。


読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

自分的に校長は好きなキャラなんで、書いてて楽しかったです。

次回辺りに神界について詳しく触れようと思っています……が、おとさんの過去話も書きたいので、そっちが先になるかもしれないっス!


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