表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神のから騒ぎ  作者: あすかはなび
第二神話 新天地
16/29

#5

 

 長かった、転校初日が終わろうとしている。

 黄昏時。夕焼けの茜色に染まった教室からは哀愁が漂っている。

 そんな、憂鬱な気分にさせてくれる教室の自席に座っていた。

 周りのクラスメイトは教室に残っていない。

 改めて周りを確認した後、俺は机の上へと上半身を預けた。


「はぁ、疲れた」


 そして呟く。言葉に出すことによって、より疲れを実感してしまう。

 それでも口に出したのは、今日初めて知った世界のことを思い返す合図だからだ。


 神が通う学校、森羅万象学園。

 ここに通う神達は、……落ちこぼれ。

 人間から存在を忘れられただけではなく、同じ神からも見放されているらしい。

『学校』とこそ呼ばれているが、俺にはここが劣等者の収容所に思えてしまう。

 それに、アレス先生は言っていた。


『翼は神の実力を表している』


 つまり、翼は神である証なわけだ。

 ここに通う生徒には翼がない。いや、あったのか。そもそも、失った翼というのはまた元に戻るものなのだろうか? 


「――お兄ちゃん」


 そんなことを考えていたら、誰かに呼ばれた。

 俺には兄弟なんていない。

 だから『お兄ちゃん』で反応するのはどうかと思うが、この声には聞き覚えがあった。

 ……なんせ、死にかけたときに聞いた声だ。忘れるわけがない。

 俺は驚きを隠しながら声の方へと視線を向けると、声の主の名前を呼んだ。


「セネメラ」


「ん」


 セネメラは、嘆息を漏らし、長くて綺麗な金髪を片手で払う。

 その際、体に似合わずに発達した胸が揺れた。

 思わずガン見しそうになったが、セネメラが俺に視線を向けているので、セネメラの視線に合わせる。

 それにしても、どうしてセネメラが声をかけてきたのかが解らない。

 だけど、夕焼けに染まる教室の雰囲気と、セネメラが帯びているものは、とても良く似ているということは解る。


「本当に入学してくれんだ」


 そう言うと、セネメラは可愛く微笑む。

 こんな表情を見せられたら、


「毒で脅したくせに!」


 なんて、ケツが裂けても言えない。


「まぁ、美少女との約束を破ったら、紳士失格だからな」


「……美少女限定っていうのは、紳士じゃなくて変態に近いと思う」


「ぐっ。小さい子限定と言っておくべきだったか……」


「……それは、完全な変態」


「いやいや、なんかヒーローっぽいでしょ!?」


「ただの変態」


 流石は『ポイズン』を司る神。かなりの毒舌だぜ。

 俺の紳士像がここまで無残に破壊されるなんて、おそらく初めてだ!

 しかし、なんだろう。

 小さい子に厳しい事を言われると、……脳が痺れる!

 更なる痺れを欲して、毒舌で罵られたい!

 俺は紳士であることを一時封印し、快楽のためだけに動くことを決意した。


「俺は本当に紳士なんだよ~。ホラ、パンツだって紳士用を穿いているでしょ? ホラ! ホラホラぁ!!」


 言いながら、セネメラに俺のパンツを晒す。

 今日は転校初日ということもあり、お気に入りのパンツを穿いてきたんだ! いわば勝負パンツ! 

 そんな、俺のデッドボール気味な送球に対して、セネメラは見事なライナーを打ち返してくる。


「……キモい」


 びくん。


「……どうして生まれてきたの?」


 びくん、びくん。


「……半径十mに入らないで」


 びゅくん、びゅくんっ!


「……生まれてきてすいません。ボクにお似合いなのは肥溜の中です。排出物が神の通う聖域なんかにいてすいません!」


 思わず俺の口から、そんな言葉が出てしまうほどに、セネメラの言葉は快感……厳しかった。

 俺は更なる蔑ましがくると思っていたが、セネメラは、


「……大丈夫。ここは、必要いらない存在ものが入ったゴミ箱だから。聖域からは程遠いよ」


 そんなことをサラっと言った。



読んでいただき、ありがとうございます!

次回はシリアスになりそうです。

『なりそう』なので、まだ未定ですが(笑


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ