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神のから騒ぎ  作者: あすかはなび
第二神話 新天地
15/29

#4

 

 休み時間。

 俺の座席周りにクラスメイトが輪のように集まって、転校生の醍醐味ともいえる、質問攻めに遭っていた。

 しかし、その内容というのは、


「彼女いるの?」


「クラスで誰が一番可愛い?」


 といった、妄想全開な甘ったるい内容ではない。


「なにをつかさどってるの?」


「どうして信仰されなくなったの?」


 といった、俺が神という前提での質問ばかりだった。

 ……どうすれば良い。俺は神なんて大層な存在じゃない!

 それも、人間という人種の中でも限りなく底辺で、ドブ川を彷徨う空き缶みたいな存在なんだぞ?

 今の段階で、人間だとバラすことはアレス先生に禁じられているし、なんて答えようか。

 返答に困って、作り笑いをしながらクラスメイトを見る。

 みんな期待に満ちた顔をしてやがる。

 ……これは、返答をミスれないな。


「はは。みんなは、俺がなにを司っているように見える?」


 こう言っておけば、周りが考えている間に自分のプロフィールを設計できる! 


「ん~。君ってなんか、見た目がのべ~としてるから、忘却の神とか?」


 クラスに一人はいるであろう、メガネに三つ編みのちょっと地味ながらも巨乳な女の子が、俺に考える暇を与えずにそう言った。


「は、はは。俺って、間抜けに見えるのかな?」


 笑顔でそう返すものの内心は、


『このアマしばくぞ! 十年前に出直してこい!』


だった。


「あ! 塩分の取り過ぎかどうかは解らないけど、顔がなんかしょっぱいから、アジ○オの神とか?」


 今度は、黒髪の短髪に身長が高めで貧乳な、典型的なバレー部員っぽい女の子が、やはり俺に考える暇を与えずに言ってきた。


「あ。それってアジ○オみたく、身近に置いておきたくなるような存在ってこと?」


 気になる言い方だったが、遠まわしに考えたらそう思えないわけでもない。


「いや、単純にしょっぱそうだから」


 が、どうやらそのまんまの意味だったようだ。

 ……怒って良いよね! コレ、絶対に怒っていいところだよねッ!

 怒りで金髪のツンツンヘアーの人になりかけたとき、俺の横で気絶していたおとさんが復活を遂げて輪に混ざってきた。


「……なんの話だ?」


 俺の周りに、クラスメイトが集まっていたので気になったのだろう。

 目覚めたばかりだからか、いささか意識朦朧としている気がする。


「俺がなにを司っているかって話」


 俺が今の状況をぶっきらぼうに教える。


「ん? 慎也はなにか司って……いや、そうだな。……紳士を司るとか」


 うぉぉぉぉぉぉ! そうだよ! そんなのを待っていたんだよ! 


「ふぅ。当てられてしまったか」


 俺はわざとらしく額に手を当て、あちゃ~のポーズを取る。

 できることなら、おとさんにではなく女子に言われたかったんだが、悲しきかな。

 ――女子は俺の紳士力みりょくに気付いていない!


「え? 紳士を司る神なんて存在するの?」


 そんな声が聞こえる。

 え? アジ○オはつっこまなかったのに! 

 だが、ここで食い下がったら俺の威厳はなくなる。


「……ここにいるッ!!」


 俺は強く言い放ちながら、己の心臓位置に親指を指した。


「「おお~」」


 俺を取り囲むクラスメイトが感嘆の声を上げる。

 俺の表情は自信に満ちていたに違いない。

 しかし、そんな表情とは裏腹。


(や、やってもうた~!!)


 心の中ではさっそく過ちを嘆いていたのだった。


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