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神のから騒ぎ  作者: あすかはなび
第二神話 新天地
14/29

#3

「……そうだ、おとさん。聞きたいことがある」


「なんだ? 言ってみろ」


 俺に微笑みかけるおとさん。


「セネメラって子を知っているか?」


「セネ……メラ……だと?」


 空気が凍った。

 突然おとさんは体を震わせる。机のブレ具合から、震度四くらいの強さはありそうだ。

 なにより、笑顔のままだから怖い。

 そして、机の中から大量のエロ本が流れ落ちていた。

 見た感じ、俺と同じで紳士力が高そうに見えたんだが、なんてことはない。ただの変態だったか!


「お、おぃ。どうしたんだ?」


 俺の座席まで振動が伝わってきているので、迷惑極まりない。


「うっ。奴の名前を聞くだけで、震えが止まらんっ」


「あぁ、解る解る。セネメラは超絶美少女だからな~。姿を思い浮かべるだけで、ビクンビクン、しちまうよな」


「たわけっ! あいつは、美少女の皮を被った悪魔だぞ! 確かに見た目だけだったら、ビクンビクンするが、奴の本性を知ったら、びゅくんびゅくん、だ!」


 なにを言っているのか解らないほどに、おとさんは動揺している。


「なにかあったのか?」


 様子が尋常じゃないので理由を尋ねた。


「わ、私はなっ。奴に毒殺されかけたのだ! おかげで、最近はロリータを見るだけで痙攣を起こす始末!」


「あ。この学校で毒殺されかけた奴って、おとさんだったのか」


 そういえば、アレス先生が言っていたな。この学校に、一人だけセネメラに毒を盛られた奴がいると。そして、可愛そうなことにそいつは解毒されなかった。


「よく、生き伸びたなぁ」


 他人事のように俺は呟く。


「私は女性の乳は好きだが、乳製品が大嫌いでな! それなのに牛乳を六リットルも飲みほして、毒素を全部厠でリバースしたのだ……」


「へぇ。そりゃあ大変だったなぁ。ま、俺はちゃんと解毒して貰ったがな!」


 ちょっと自慢気に言ってみた。


「なに? 慎也もセネメラに毒を盛られたのか?」


「まぁな。俺は、解毒されたけどな!」


『解毒』の部分を強調して言う。


「ということは、慎也も奴にハレンチなことをしたのか?」


「……おとさん。セネメラにハレンチなことしたのか」


 ジト目でおとさんを見つめる俺。


「待て。ハレンチと言っても、高い高いをしただけだ! あの容姿をみたら、誰だってしたくなるだろう?」


 なんだろう。俺は、おとさんにえらく近親感を抱いてしまった。


「……それで、どうだった?」


 俺の問いに、おとさんは不敵な笑みを浮かべた。

 おそらく、俺の聞きたいことを理解してやがる。


「小さな体を持ち上げたとき、――あの兵器が、――二つの大きな果実が、――ぷるんっ、ぷるんっ!」


「っ!」


 確かにそれを見るためなら、命を掛ける価値はある! 

 否、命を掛けるべきだ!


「この、ハッピーボーイめ!」


 皮肉をたっぷりと込めておとさんに言う。


「ふふ。自らの手で勝ち取らない幸せなど、私は認めぬ」


 物凄くおとさんが神々しく感じた。

 これが、神という存在なのか!


 ガラララ。


 そんなことを思っていると、教室の後ろ扉が開かれた。

 思わずそちらへ視線を向ける。

 そこには、無表情な金髪ロリ巨乳美少女のセネメラの姿。


「セネッ、セネメりゃぁ!」


 おとさんが奇声を上げた。

 おい! 神々しさはどこへいった!

 そんなおとさん同様に、俺にも気にした素振りは見せず、セネメラは後ろを通りすぎていく。

 ……やっぱり、俺を気に入ってるわけじゃないようだな。

 俺の顔など一目も見なかった。

 少しでも自惚れていた自分が情けないぜ。

 だけど、俺の横には更に情けない奴がいる。


 びゅくん、びゅくん。


 白目を剥き、口から泡を出し、痙攣をするおとさん。


「あぁ。確かに『びゅくん、びゅくん』してるわ」


 俺は、そんなおとさんを放置して、教壇に立っているアレス先生の話しを聞くのだった。


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