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神のから騒ぎ  作者: あすかはなび
第二神話 新天地
13/29

#2

「どうした、御歳みとし?」


 アレス先生は、声の主、みとしへと尋ねる。

 その際、珍しい物を見るかのように、好奇な視線を向けていた。


「転校生の座席を、私の横にするのはどうでしょう? 最後列であるここなら、変な緊張もせずに済むのではないかと」


 このセリフにクラス全体がどよめく。


「あの御歳みとしが?」


「一体どうなってやがる?」


「とうとう滅亡のときか……」


 そんな声が耳に入る。

 なんだ、あのイケメンが言ったセリフは、そんなに驚くことなのか?

 最初は、学校に勘平で来る変人だと思っていたが、かなりの好青年じゃないか。 


「御歳ィィィィ! 吾輩の邪魔をするとはァ、一体どういうことだァァァァ!」


 モヒカンの耳障りな声が教室に響く。

 それより、どんな状況だよコレ。

 転校生を巡って男二人がバトル?

 全然嬉しくないんですけどっ!


「耳障りな声を上げるな、マザコン」


 御歳がモヒカンに一喝を入れる。


「ぼ、僕はマザコンではない! 一般より、少しだけママが好きなだけだ!」


 あれ、地が出てるぞモヒカン。見た目とセリフが全くあってない。


「それを一般的に、マザコンという」


「ぬぐぅ」


 アレス先生の指摘で言葉に詰まるモヒカン。


「……まぁ、どちらの席の横に着くかは慎也次第だ。どちらが良い?」


「勘平の方で」


 アレス先生の問い掛けに即答する俺だった。




 一段落ついて、俺はみとしの右横の座席でクラスメイトの後姿を眺めていた。

 今の時間はHRらしく、アレス先生が教壇に立って話をしている。


「おぃ、慎也」


 さっき初めて会ったばかりなのに、みとしにアンダーネームで呼ばれた。


「なんだ?」


 俺はぶっきらぼうに返す。


「まだ、お互いに挨拶をしていないだろ? だからしようかと」


「挨拶って、お互いの名前はもう解っているから、しなくても大丈夫だろ?」


 男には興味がない。

 そして、イケメンは死ね! 

 それが俺のモットー。 


「なら、慎也は私の名前を漢字で書けるか?」


「……書けないけど」


 俺の言葉を聞くと、みとしは机の上にネームペンで『御歳』と書いた。俺の机に。


「ちょ、お前! なんで俺の机に書くんだよ! しかも油性ペンじゃねぇか!」


「ふっ。そんなに喜ぶな」


「喜んでねーよ! どう聞いたら、今の言葉をそう思えるんだ!」


「え。『うわっ! サイン貰っちった! これ、油性ペンだから落ちねぇな! よっしゃぁ!』ってことじゃないのか?」


「お前、馬鹿か! 明らかに救いようのない馬鹿だよ、お前!」


 机の上を油性ペンで落書きされて、怒らない奴がいるのなら是非見てみたい。 


「私の名前は、御歳みとし。だから、そう呼んでくれ」


 うっ。確かに、初対面で『お前』という言い方は、酷かった気がする。

 だけど、なにか仕返しをしてやらないと俺の気が収まらない。


御歳みとしの漢字って、御歳おとしとも読めるよな。だから『おとさん』と呼ぶ」


 イケメンだけど、女の子をおとせない!

 そんな嫌味を込めて『おとさん』。

 あれ、でもそれなら『おとせん』の方が良かったか?


「おとさん……か」


 そう呟いた御歳みとし、――おとさんは、なぜか嬉しそうだった。


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