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【悲報】レベル1の妹。兄の装備でダンジョン配信を始める。(84億円相当の激レア装備で最下層スタート、未確認ドラゴンに遭遇した模様)  作者: 高瀬ユキカズ
始まる人類領域への侵攻

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第387話 もりもりさんと合流

 もりもりさんにはお兄ちゃんのレベル上げを手伝って欲しいと伝えていた。私では力不足だから、もりもりさんの手を借りたいとお願いした。低層階はお兄ちゃんと2人で行動し、上層階から手伝って欲しいと、甘えた感じに伝えていた。


 もりもりさんへ向かって走り、お互いに両腕を広げながら体を受け止め、がっちりと抱き合った。鎧と鎧がぶつかって激しい音がした。


「もりもりさん! お待たせしました!」


「なんですか春菜さん、いきなり」


 照れながらそう言うもりもりさんだったが、もりもりさんの方でも私を受け止める態勢を取っていた。


「だって、湊や春日井君がいるともりもりさんを独り占めできないじゃないですか」


「春菜さんは私を独り占めしたいのですか?」


「はい。小さい頃からお姉さんが欲しくて」


 もりもりさんに甘えるのは、半分は演技で、半分は本心だ。


 少し体を離して、お互いに目を合わせた。年上のもりもりさんは余裕のある表情だ。ブロンドの髪が兜の隙間から見えていた。年齢差を感じると余計に甘えたくなってしまう。特に今は他人の目がなかった。


「自分にはお兄ちゃんがいるけれど、どうしてお姉ちゃんはいないのだろうと思っていました。お母さんに『お姉ちゃんを産んでよ』と言ったら笑われたことがあります」


「それはさすがに無理ですよね」


 もりもりさんはくすくすと笑った。


「もりもりさんが私を助けに来てくれた時、お姉さんができたように感じていました」


「そうですか。私も妹ができたように思っていましたよ」


 もりもりさんは私の腰に手を回している。私はその手に少しだけ体重を預けながら、もりもりさんに問いかける。


「もしかして、吊り橋効果でしょうか? いっしょに危険な状況に遭遇すると、恋愛感情が高まるという」


「春菜さんは私に恋愛感情を抱いているのですか?」


 ちゃかすわけでもなく、もりもりさんは普通に聞いてくる。

 首を傾げながら考える。そういうのとも違うのだ。もりもりさんのことは確かに好きだけれど、もっと違う感情だった。


「うーん。違いますね。やっぱりお姉さんですね。私だけのお姉さんになってほしいのだと思います」


「いいですよ。春菜さんのお姉さんにしてください」


「はい。お願いします」


 そして、もりもりさんをぎゅっと抱きしめた。もりもりさんも力を込めてくる。お互いに鎧を着ているので密着できないが、固く繋がった感触があった。


 もりもりさんのほうが背が高いので、私の顔は肩のあたりにある。鎧の隙間からはもりもりさんのうなじが見えた。白い肌が透き通るようだった。


 もりもりさんは包容力がある。私の全部を受け止めてくれる気がしている。お母さんやお兄ちゃんとも違う愛情をもりもりさんからは感じる。私の方でも、もりもりさんに対しては甘えたくなってしまう特別な感情があった。だからこそ、もりもりさんには幸せな結婚をしてもらいたい。そのために、この場所に呼んでいた。


 背後から「ごほん」と咳払いが聞こえた。私は振り向く。


「あ、お兄ちゃん。いたのか」


「いなくなったとでも思っていたのか?」


 私はもりもりさんから体を離したが、まだ腕はお互いの体に回したままだ。もう少し私の年齢が低かったら抱っこでもされていただろう。密着状態の私たちに、お兄ちゃんは呆れた顔で言ってくる。


「なあ、2人とも。付き合っちゃえば?」


 私ともりもりさんは同時に否定する。


「そんなんじゃないです、冬夜さん」


「そうだよ。お兄ちゃん。そういうのじゃないんだって」


 腰に腕を回したままで、私ともりもりさんは顔を合わせた。


「男性にはわからないでしょうね」


「そうですね。男のお兄ちゃんにはわからないことですね」


 お兄ちゃんは見てはいけないものを見てしまったかのように視線を外していた。


「まあ、仲がいいことは悪いことじゃない。兄として、少し複雑なところはあるけれど」


「もしかしてお兄ちゃん。それは嫉妬?」


「違うと思うけどな」


「大事な妹を取られたから? それとも……」


 もりもりさんを取られてしまったということだろうか?


 お兄ちゃんには二股疑惑がある。

 ミランダさんと結婚する予定でいて、それなのに二股をかけてもりもりさんにも好意を寄せているかもしれない。


 私は当初の目的を思い出して、もりもりさんから離れた。


「そうだ、私はちょっと用事があって1階のダンジョン・コンピューターを見てきます。もりもりさんはお兄ちゃんと2人で上へ行っていてください」


「わかりました。では、冬夜さんとレベル上げをしていますね」


 用事があると言ったのは嘘だ。お兄ちゃんと2人きりにさせる口実だった。


 私たちの頭上にはドローンが飛んでいる。お兄ちゃんの戦い方を撮影するために飛ばしたものだが、映像を通して2人を観察するつもりでいた。


 私は2人と別れ、下の階層へと足を向ける。お兄ちゃんともりもりさんは上層階へと上がっていった。


 私は下へ降りるふりをしてタブレットを手に取り、カメラの映像を表示する。上空から撮影されたお兄ちゃんともりもりさんの姿が映っていた。


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