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【悲報】レベル1の妹。兄の装備でダンジョン配信を始める。(84億円相当の激レア装備で最下層スタート、未確認ドラゴンに遭遇した模様)  作者: 高瀬ユキカズ
始まる人類領域への侵攻

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第363話 ジャイアント・ワーム

 巨大要塞を作るという野望ができたが、実現はまだ先のことだ。

 今は目の前のボス戦に集中する。


 ミリアは要塞の中をガチャンガチャンと音を立てて歩いていた。ハンターたちの視線を集めている。


 ミリアは部屋の中央で立ち止まった。


 仁王立ちするかのように立っているミリアだが、両足の装甲が太いためだ。ダンジョンハンターの装備というよりは、巨大ロボットの足を取り付けているようだった。


 両腕のガントレットも同じようにぶっとい。メカニカルな外装には複数のミサイル射出口がある。ミリアは肘を90度に曲げて、腕の先にある砲口を正面に向けていた。


 ここにいるハンターたちはミリアの正面に立とうとはしない。27人いるハンターたちは、モーゼが海を割ったように二手に分かれていた。


「お姉様、さあ行きますよ。今度こそ本当にボス戦なのです」


 ブレイズキャノンを撃ちたくてうずうずしているのが伝わってくる。だからこそハンターたちはミリアを恐れていた。


 突然、ミリアが左にガントレットを振った。


「気配がしたのです! ボスですか!?」


 窓の先にいたのはリザードマン。沼地の中をこちらに向かって歩いてきていた。

 ミリアにガントレットの砲口を向けられ、ハンターたちはざざざっと射線上から逃げていた。逃げ損なってその場に尻餅をついた者もいた。


「なーんだ、ボスではなかったのです」


 残念そうにミリアは言って、ガントレットを正面に構えなおした。

 ミリアが動くたびにハンターたちは過剰に反応していた。

 ハンターたちはミリアの砲口から逃げるように動いていた。


「リザードマンだって対処しないといけないよ!」


 私は言って、弓やボウガンをかき集めた。


 ミリアは戦う気がなかったようだが、リザードマンが接近していることには違いない。倒さなければならなかった。


 私は窓の近くにいたハンターたちに声をかけた。


「ハンターの皆さん、弓とボウガンを持ってください。窓から攻撃です。倒せなかったら、私が外に出ます!」


「お、おう……」


 ハンターたちは鈍い反応だったが、武器を手に取った。迫るリザードマンを狙い撃ちするために配置につく。


 ここにいるのはそれなりの実力があるハンターたちだ。リザードマンを近くまで引き付けてから攻撃していた。要塞に侵入できないとわかったリザードマンは背を向けて逃げようとした。


 十分に引き付けていたため、リザードマンは安全圏まで逃げることができない。背中から一方的に攻撃を受け、絶命して沼地に沈んだ。


「やった!」

「いけるぞ! これは!」


 ハンターたちが喜んだのも束の間、要塞の中でざわめきが起こった。ダンジョンデバイスに反応があったのだ。


 マッピングアプリはモンスターの場所を表示してくれる。明らかにボスと思われるモンスターが迫っていた。


 この要塞にはとある欠点が隠れていた。


 鉄板で覆ってしまっているので電波の入りが悪い。窓際以外ではマッピングアプリの感度が悪いのだ。


 要塞全体にドーーーンという音とともに振動が伝わってきた。


 デバイスに表示されたのはボスの情報だ。


――――――――――――――――

ジャイアント・ワーム

推定レベル 90〜99


巨大なミミズの姿をしたモンスター。

全長は100mを超える。

巻き付くことでハンターを締め付ける。

――――――――――――――――


 鉄板でできた床が大きく揺れた。

 要塞がまるごと持ち上げられたかと思ったくらいだ。


 窓からジャイアント・ワームの姿が見えた。視界に入ったのは胴体だ。

 表面はぬめりに覆われており、無数の節を持つ紫がかった胴体が屋根の方向へ動いていた。


 そして反対側の窓にもその姿が見えた。


 ジャイアント・ワームはぐるりと1周していた。まさにこの要塞に巻き付いている状態だった。


「攻撃! 攻撃だ!! 攻撃しろ!!!!」


 ハンターの誰かが叫んでいた。私たちはまだ統率が取れていない。いきなり現れたボスに対してリーダーが不在だった。


 本来なら先発隊のリーダーを任された柳井ハンターが指揮を執るべきだろう。しかし、まだ何の命令も出せていない。


 統率が取れない中でボス戦が始まってしまった。


「ミリア、外に出るよ!」


 ところがミリアは首を振る。


「嫌(や)なのです! ミリアはミミズが大嫌いなのです!」


「私も嫌いだよ! ここにいたらミミズに巻き付かれるよ! だから出るの!」


 自身がミミズに巻き付かれる姿を想像したのだろうか。ミリアは出口に向かって歩き出した。


「ミリアは出るのです!」


「よし、行こう」


 私は引き戸になっている鉄板を思いっきり開いた。


 ミミズの顔があった。


 引き戸を閉じた。


 鈴原ハンターが嬉しそうに言った。


「出口を2個所作っておいてよかったですね。春菜さん!」


 真後ろにも引き戸はある。しかし、私とミリアは動けずに固まってしまっていた。


「ど、どうしたんですか!? 春菜さん! それにミリアさんも!」


 だって、開けたらジャイアント・ワームの顔が目の前にあったんだぞ……。


 その距離は10センチにも満たない。


 トラウマにならないほうが不思議なくらいだ……。

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