↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【悲報】レベル1の妹。兄の装備でダンジョン配信を始める。(84億円相当の激レア装備で最下層スタート、未確認ドラゴンに遭遇した模様)  作者: 高瀬ユキカズ
始まる人類領域への侵攻

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
357/367

第357話 やっぱり歩かないミリア

 私たちは4人で沼地を歩いていく。魔法で柱を生成してその上を歩いてもいいのだが、タブレットで動画を見ながら歩いているミリアは確実に落ちる。


 それでなくとも、今はミリアが遅れていた。私たちの後ろを歩いている。


「ミリア。歩きながらの動画は見にくいでしょう」


「はい。画面が揺れますし、足元も悪いので」


「歩きスマホが問題になるように、歩きながらタブレットで動画を見るのも良くないよね」


「つまり、動画は肩車で見るもの。お姉様はそれをミリアに教えたかったのですね」


「違うわ」


 私はツッコミを入れる。


 ここでようやくミリアは動画を見ることを諦め、タブレットを脇に挟んだ。足取りを早めて私たちに追いついた。


 ミリアは私に向かって両腕を広げた。


「お姉様、肩車」


「しません」


「じゃあ、抱っこ。あるいは、おんぶ。歩きにくくて仕方ないのです」


「ちゃんと歩きなさい。小学生じゃないんだから」


「お姉様のいけず」


「どこでそんな言葉を覚えたのか……」


 いけずは関西弁で意地悪だとか、そういう意味だ。そのまま意地悪と言うよりも角が立たなくて、むしろ可愛い印象すら与えてしまう。魔性の言葉だった。


「ミリアさん。私がおんぶをしましょうか? 肩車はさすがに無理ですが」


 鈴原ハンターがミリアに声を掛けた。

 ミリアはすかさず返事をする。


「するのです!」


「鈴原ハンター。ミリアを甘やかしては……」


 私の言葉を待たず、ミリアは鈴原ハンターの背中に飛び乗った。腕を前に回し、鈴原ハンターの胸の前でタブレットを持った。おんぶの状態でも動画を見るつもりのようだ。


「あああ。ミリア~。まだ動画を見るの? あなたは?」


 私は頭を抱えながら嘆く。


「はい、なのです」


 鈴原ハンターはおんぶしたミリアの腰に手を回していた。両腕でしっかりとミリアを支えている。


「いいじゃないですか。ミリアさんは私がおぶっていきます。このくらいはさせてください。私なんてこれくらいしか役に立たないでしょうから」


「まあ、鈴原ハンターがそれでいいのなら……。ではミリアをお願いします」


「はい。わかりました」


 ミリアは私のタブレットで動画を見ている。タブレットは鈴原ハンターの前に出しているので、鈴原ハンターにも画面が見えている。


「ミリアさん、これは何を?」


 鈴原ハンターが動画の内容について尋ねた。


「これはドッキリ企画なのです。腕を切られたハンターが初級ポーションで腕を直してしまうのです。切断された腕がくっつくのです。

 ですが、腕は手品で、本当は切れていないのです。

 それを見て驚いたハンターに対して、ポーションを格安で売りつけるのですが、実際には相場の100倍なのです。


 騙されたハンターがお金を払って買ったところに、テッテレー。ドッキリでした、なのです。お金はちゃんと返すので、平和なドッキリなのです」


「なるほどねー。面白いねー」


「面白いのです。ほかにもあるのです」


「へー、どんなものがあるの?」


「ダンジョンに少女が迷い込んでしまったのです。少女をおんぶした女性ハンターは少女の正体を知らないのです。


 女性ハンターがおんぶしたその少女。実は少女は……

 恐ろしいモンスターだったのです。

 高レベルのそのモンスターは恐ろしい存在なのですが、ハンターはそのことを知らないのです」


 鈴原ハンターはにこやかにミリアの話を聞いている。


「モンスターは階層間の移動ができないのです。上にあがろうと階段をのぼります。ですが、それ以上進めないのです。


 そこでやっとモンスターだったと気がつくのです。

 モンスターの手が女性ハンターの首に伸び……」


 ミリアは静かに鈴原ハンターの首に手を伸ばし、そっと触れた。


「ひぃ」


 鈴原ハンターは肩をすくめ、怖がるような仕草をした。顔は少し笑っていたから、これは鈴原ハンターの演技だ。


「実際にはモンスターではなく、高レベルのハンターだったのです。強い力で壁を押さえて動けないようにしていただけなのです。

 モンスターをおんぶしてしまったと思わせるドッキリなのです」


「だよねー。実際には高レベルのモンスターをおんぶすることなんてないよね。私なら騙されないな」


「そう思うハンターが危ないのです。自分は騙されない。誰もがそう思うのです。まさか、モンスターを背中にしょっているなど、そんな状況が自分の身に降りかかるとは、思いもしないものなのです」


「私も騙されちゃうのかな?」


「世の中には歩きたがらないモンスターもいるのです。そのモンスターに遭遇したら、おんぶをしないように注意するのです」


「おんぶしたらどうなるの?」


「もう、降りてくれないのです。背中で動画を見続けられるのです」


「それは怖い」


 鈴原ハンターはくすくすと笑った。


「怖いのです。ミリアは楽ちんなのです」


「ドッキリのオチは?」


「テッテレー。おんぶしたのは本物のモンスターでした~」


「わあ、怖い」


 鈴原ハンターはそう言って笑っていた。背中にレベル173のサキュバスを背負っていることは知らない。


 私は肩をすくめる。ミリアは鈴原ハンターの背中で動画を見続けている。


「おんぶを覚えてしまったモンスターほど、厄介なものはないね……」


 私たちは沼地を進む。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 まさか鈴原さんも、自分がそんなドッキリ企画もびっくりな『背中にマジで高レベルモンスターをおんぶしてる』状態とは思わないでしょうね。 しかしミリアも横着ですなぁ…昔の人が使ってた背…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。