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【悲報】レベル1の妹。兄の装備でダンジョン配信を始める。(84億円相当の激レア装備で最下層スタート、未確認ドラゴンに遭遇した模様)  作者: 高瀬ユキカズ
始まる人類領域への侵攻

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第343話 学校へ戻る

「よし、じゃあこれで準備は整ったね。それでは、さっそく……」


 私の言葉の途中だったが、湊ちゃんが遮ってきた。


「春菜。学校に戻ろうよ。私たちは学校を抜け出してここに来ているからね。きっと、ニュースでも大騒ぎになっているはず。だって、中学校の校舎内にゲートが出現したんだからね」


 ネットを調べると、SNSやダンジョンチューブには情報があがっていた。だが予想に反して、ネットニュースには情報がまったくない。テレビでも報道していないようだった。


「俺が思うに、報道規制がかかっているんじゃないかな? 今回は日本で初めて出現したゲート、しかも俺たちの中学校に2つ同時に現れた。管理協会あたりはてんやわんやだと思うぜ」


 ダンジョン以外にモンスターの脅威となるゲートが出現した。しかも一般人も巻き込まれる恐れがある。実際に4組の霧野さんは殺されかけた。湊ちゃんがいなかったら死んでいただろう。ゲート内における日本人初の死亡者となっていたかもしれない。


「でもさ、湊。学校に戻ったからといって、しばらく学校は封鎖されるんじゃないかな? ゲートのことが解明されないと安全が確認できないんだから」


「たしかに春菜の言う通りかもね。校庭に避難していた生徒も家に帰されているだろうし、授業は休みになるか、自宅待機か、あるいは学校自体が閉鎖されるだろうね」


「まいったな、俺は大会もあるから練習したかったのに」


 春日井君は剣道の関東大会を控えていた。私たちの危機感が薄いのは、出現したゲートのモンスターが弱かったこともあるだろう。


「ねえ、湊、春日井君。学校へ戻っても仕方ないと思うから、家に帰ろうか? それともダンジョンに潜ってエンチャント装備を試しに使ってみる?」


 奥多摩ダンジョンの入り口まではほんの数メートルだ。私たちはダンジョンの近くにいた。当然ダンジョンに行くかと思っていたが、春日井君は湊ちゃんのほうに顔を向けた。


「うーん。なあ、南波? 南波はどう思う? 俺たちの中学校にゲートが出現したのは偶然なのか?」


「偶然なはずがないよ。だって、2つだよ? 日本で初めてゲートが出現した。私たちの中学校の校舎内に。これがたまたまだって言うんなら、どれだけ低い確率なのか……」


 湊ちゃんは私よりも論理的に物事を考えることができる。だから春日井君も湊ちゃんに聞いたのだろう。


 私は考えなしに動くところがある。ゲートが出現するメカニズムのこともあんまり考えていなかったし、ミランダさんに会うことばかりが頭にあった。


 ただ、ミランダさんに会えるような予感があるのも確かだった。なぜならゲートの調査には組織で動くだろうし、ミランダさんは世界一強いハンターであり、ミランダさん抜きで調査が行われるとは考えられなかった。


「湊はどうしたらいいと思う? 論理的な思考は湊がするといいと思ってる。私は直感が担当。だから、今は湊の考えに従ったほうがいいと思った」


「それが春菜の直感? 私が行動を決めていいの?」


「うん。今は湊が主導して、私と春日井君を引っ張ってほしい」


「わかった。じゃあ、学校へ戻ろう。私はゲートの調査をしたい。私の覚醒スキルであるダンジョン・リバース&リゾルブが役に立つかどうかわからないけれど、現場に戻ることが調査の基本だから。春日井君、それでいい?」


「もちろん。俺も南波に従うよ。筑紫より頼りになるし」


 最後の一言は引っかかった。

 私は目を細めながら、春日井君へと視線を向けた。失言をしたと思った春日井君はしどろもどろになる。


「いや……。ほら、南波はちゃんと考えて行動するからさ。もちろんあれだぜ。ダンジョン攻略とか、恐ろしいモンスターに向かっていくときは頼りになるんだ、筑紫も。いや、筑紫の豪快な戦い方とか、勇気とか、勇ましさとか。ほら、あれだよ、あれ」


「なに?」


 私の声はとても低くなっていた。それだけでなく、春日井君を睨みつけていた。春日井君は話題をそらした。


「学校へ戻るタクシーだけど、呼んでおいたほうがいいよな。俺がスマホで連絡しておくよ。ほら、支払いも俺がするし」


 スマホを操作しながら、横目で私を見てくる。


「なあ、筑紫。その黒いエンチャント、やめない?」


 私の装備はエンチャントが発動し、漆黒の鎧となっていた。

 上から下までの全身が真っ黒。

 ブラック春菜モード。私の感情を伝えるには、これ以上ない最高の道具であった。


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