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【悲報】レベル1の妹。兄の装備でダンジョン配信を始める。(84億円相当の激レア装備で最下層スタート、未確認ドラゴンに遭遇した模様)  作者: 高瀬ユキカズ
始まる人類領域への侵攻

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325/365

第325話 2年4組

 見えるのはごく一般的なダンジョンの風景。

 私と春日井君はデバイスを操作して装備を実体化させた。


 私は初級用革鎧に薄布の小手、ぼろ革のブーツを装備した。

 木のヘルムはかぶると頭がつるつるになる。お寺の小僧のように見えるので装備していない。

 武器はミスリルの大剣だ。


 一方で春日井君はショートソードに簡素な金属鎧。

 私たちはまだ武器と防具を十分に揃えていない。だが、このゲートでは問題とならないだろう。


 ここで出現するのは巨大ネズミ(ジャイアントラット)。

 クエストの内容は巨大ネズミ(ジャイアントラット)を倒して得られる鼠の犬歯と呼ばれるアイテムを3個獲得することだ。


 現実世界のネズミには犬歯がない。ここでも同じように巨大ネズミ(ジャイアントラット)には犬歯がないのだが、特殊個体として犬歯を持つモンスターが出現する。それは100匹に1匹程度だ。


 アイテム獲得は正直なところ運次第だった。それでも、制限時間までには集まるだろう。


 問題は、湊ちゃんがいる2年4組の状況だった。


 クラスが丸ごと呑み込まれたようで、机や椅子、黒板だけでなく、床や天井など教室そのものがゲート内に入っていた。


 ゲートの様子は2年4組の誰かが始めた配信で知ることができる。イタリアのゲートでもそうだったが、今後はこうして配信を通して助けを求めたり、外に情報を伝えたりすることが主流になっていくだろう。


 私と春日井君は、配信で2年4組の映像を見ることにした。


「扉を開けるな! 絶対に!」


 教室では生徒たちが騒いでいた。扉に鍵をかけ、籠城していた。


「教室の外にゴブリンがいる! なにがあっても中に入れるな!」

「扉を塞ぐんだ! 机を積め!」


 男子たちは大きな声を出しながら、入り口の前に机を積み上げていた。

 女子たちも怯える中、1人の生徒が周囲に呼びかけていた。


「誰か。誰かハンターはおりませんか? このクラスにハンターはいないのですか?」


 声は震えていて、勇気を振り絞ったのがわかった。普段はおしとやかでお嬢様らしい性格なのだろう。胸の前で手を組んで、周りに問いかけていた。その姿はまるで病人が出た飛行機で「機内にお医者様はいませんか?」と問う客室乗務員を思わせた。


「俺たちのクラスにダンジョンハンターはいねえよ!」


 叫ぶ男子生徒。

 問いかけた女子生徒は大きな声に萎縮してしまっていた。


 配信画面の隅に4人の女子生徒が固まっていた。湊ちゃんと、それを取り囲む霧野さんたちだ。


 動画から会話が聞こえてくる。


「私、行かなきゃ」


 湊ちゃんの声だ。


「まだ、話が終わってないよ」

「そうだよ。春日井君とのこと」


 湊ちゃんの前に3人が壁のように立っていた。


「だから、春日井君とは付き合っていないって言ったでしょ?」

「でも、好きなんだよね? 春日井君のこと」

「今はそんなこと言っている場合じゃない。教室の外のゴブリンをなんとかしないと」

「それなら大丈夫。春日井君がいるし」

「そうそう、春日井君が来てくれるし」


 私たちは別のゲートに入ってしまっていた。私も春日井君も助けに行くことはできない。


「でも、私もダンジョンハンターなんだし……」

「南波さんはろくな装備を持っていないって言ってたよね? 春日井君が来る前にいいところを見せようとしている? でも、装備がないんじゃ無理しないほうがいいよね?」


 湊ちゃんが俯いた時だった。教室の扉がバンバンと叩かれた。


「あ、春日井君が来たんじゃない?」

「私たちの春日井君が、助けに来てくれたんだ」

「さすが剣道部の副部長。頼りになるね」


 霧野さん、水嶋さん、藍沢さんの3人が同時に扉のほうへ向かった。湊ちゃんは手を伸ばしながら叫んだ。


「だめ! 行っちゃだめ!」


 湊ちゃんは危険を知らせようと叫んだのだが、3人は違う解釈をした。春日井君を取られたくないという意味で言ったと思ったのだ。


 水嶋さんと藍沢さんが積み上げられた机を崩し、霧野さんが扉のロックを解除した。


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