↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【悲報】レベル1の妹。兄の装備でダンジョン配信を始める。(84億円相当の激レア装備で最下層スタート、未確認ドラゴンに遭遇した模様)  作者: 高瀬ユキカズ
始まる人類領域への侵攻

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
320/365

第320話 装備を買う約束をする

 湊ちゃんは後ろに手を組んで歩きながら、退屈そうにぼやいた。


「結局、私たちは事情を聞かれなかったね」


「うん、そうだね。私たちもリモート参加でよかった気がする」


 お兄ちゃんはそんな私たちに説明をしてくれた。私たちがマフィアのところへ行くことになったから、代わりに事情を聞かれたそうだ。


「俺とエリ・スメラギ嬢が代表して説明をしたんだよ。WDA(世界ダンジョン協会)は神王装備やオリハルコン装備などがクエストクリアの要だったと思っている。レベルが低くても装備で強さを補えるという認識なのだろう」


 それを聞いて私は渋い顔をしてしまう。クリアできたのは装備のお陰であり、私たちに話を聞くまでもないと、WDAは考えたのだろう。


「つまり、私たちの実力はまったく認めていないってこと?」


「もちろん装備がすべてじゃない。ハンターのレベル×(かける)装備が強さということになる」


「まあ、私たちが装備に頼っていたというのは否定できないけれどね」


 私たちのレベルが上位ハンターに比べたら低いのは事実だ。まだワールドランキングにも入っていない。


 お兄ちゃんはエリ先生と話しだしたので、私は湊ちゃんと春日井君に話しかけた。


「ダンジョンポイントの使用制限が解除されたから、思い切って装備を揃えようと思う。全部で3,500万DPほどあるから、春日井君と湊ちゃんの装備も買うよ。みんなで、お揃いにしよう」


 春日井君は手を振りながら、私の言葉を否定する。


「待て待て、筑紫。ポイントは日本円にだって換金できるんだぞ。3千5百万円なんだぞ」


「いいのいいの。ダンジョンポイントはアイテムに使うべきだよ。それに、どうせまた稼げるんだから」


 春日井君は呆れた様子でため息をつく。


「なんか、軽いな。俺はどうしても金で換算してしまう」


 湊ちゃんが提案をしてきた。


「私たちはパーティなんだし、今後は共有ポイントとして管理してもいいんじゃないのかな?」


「それはいいな。共有ポイントなら、金に換金しようと思わないしな」


「いいね、賛成~」


 私が手を挙げると、湊ちゃんは私に言ってきた。


「でも、春菜の今のポイントは自分で使いなよ」


 後ろを歩いていたミリアが私の横に来た。


「ミリアはお姉様のポイントで全員の装備を揃えたほうがいいと思うのです」


 3人の視線がミリアに集まった。ミリアが私たちを見回しながら語った。


「これはミリアの意見なのです。これからゲートが出現することになったら、パーティの成長を優先するといいのです。人類が滅びたら、ポイントなんて意味がないのです。有効に使うといいのです」


 私はその意見に深く頷いた。


「ミリアの言う通りだと思う。私たちの実力はまだまだだからWDAにも認められていない。私の当面の目標は神王装備に匹敵する装備を見つけること。そのためにも、とりあえず3人の装備を買おうと思う」


 春日井君も湊ちゃんもあまりいい顔をしていなかった。


「そうは言っても気が引けるよな。ポイントを使わせちゃうわけだから」


「うん。私も気が引けるよ」


 2人が遠慮をするのは当然だ。3,500万DPを金額に換算したら大きな額だからだ。

 私はお兄ちゃんとエリ先生に聞こえないように、声のボリュームを最小限に絞った。


「2人とも忘れているんじゃない? 春日井君はEXRアイテムのレベルアップシードを、湊は同じくEXRの覚醒の種を使っているんだよ。あれを使わせちゃったのは私なんだから遠慮をする必要はない。だって、あれを売ったら1,000億とか2,000億とかしたんだよ?」


「いや、あれは俺たちが自分の意思で使ったんだ。実際、覚醒レベルだって上がったわけだし」


「でも、とんでもない金額と引き換えにね。売ったら数千億円したはずのアイテム。それを使わせちゃったんだよ」


「うーん、まあ……。それだけの価値がある行動だったと信じたい……」


「とにかく、それを考えたら私の3,500万DPなんてかわいい金額だよ。あの時助けてもらったお礼と考えたらどうだろう?」


 春日井君は苦い表情を浮かべながら首をひねり、それから小さく頷いた。


「まあ、そういうことなら」


「湊もいい?」


 湊ちゃんも小さく小さく頷いた。


「うん、春菜がいいのなら」


「じゃあ、日本に帰ったらさっそく装備を揃えよう」


 横から制服の裾を引っ張られた。振り向くと、ミリアが何か言いたげにもじもじとしていた。

 私はミリアに笑顔を向ける。


「ミリアの装備もね。エンジェル装備ほどすごいものは買えないけれど、ミリアに似合う装備を見つけよう。買ってあげるよ」


 ミリアは両手を上げ、大きな声を出して喜んだ。


「やったのです! お姉様、約束なのです。絶対なのです」


「うん、約束」


 後ろからラビちゃんがもふもふの手で私を突いてきた。


「あ、ラビちゃんのことを忘れていた。うーん。ラビちゃんかあ。ラビちゃんが装備できるものってあるのかなあ?」


 兎の顔からは表情が読み取れない。悲しそうにも残念そうにも思えるが、気にしていないようにも思う。ラビちゃんとの意思疎通は難しい。


「まあ、探してみるよ。きっと何かあると思うから」


 ラビちゃんはミリアと同じように両腕を上げて喜びを示しているが、やはり表情は変わらない。人間のように笑顔や不満を顔に出すことができない。基本的にラビちゃんの意思の伝達はジェスチャーだけだった。


 エリ先生がすっと私に近寄ってきて、静かに耳元でささやいた。


「装備を買うなら急いだほうがいいかもしれません。ゲート出現によりアイテム相場が急騰(きゅうとう)しています。春菜さんたちがマフィアに狙われたのも、これが原因の一つです」


 これだけ言うと、エリ先生はお兄ちゃんのところへ行き、会話の続きに戻った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。