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【悲報】レベル1の妹。兄の装備でダンジョン配信を始める。(84億円相当の激レア装備で最下層スタート、未確認ドラゴンに遭遇した模様)  作者: 高瀬ユキカズ
始まる人類領域への侵攻

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314/366

第314話 5枚チェンジ

 2勝2敗で迎えた5回目の勝負。泣いても笑っても、これで最後だ。


 ミリアに配られた手札――

 とんでもない結果となった。


 フォーカード以上の奇跡が起こった。それは神をしても「嘘だろ」と言わしめるほどの最強の手札だった――。


[10♥] [J♥] [Q♥] [K♥] [A♥]


 驚異のロイヤルストレートフラッシュが完成していた。

 ミリアは男に向けてにやりと笑う。

 私と湊ちゃんは画面を見ながら抱き合って喜んだ。


「やったー! ミリアがロイヤルストレートフラッシュを引き当てた!」

「すごい! すごいよ! ミリアちゃん!」


 勝利を確信したミリアの表情に、マフィアの男たちは全員が動揺していた。


「ご、ご、ご、5枚チェンジだ!」


 すべての手札を場に放り投げ、代わりのカードを受け取ると、男は誇らしげに宣言した。


「先に俺の手を見せてやる。いやあ、運がいいぜえ」


 震えながら、場に5枚をさらした。


[10♠] [J♠] [Q♠] [K♠] [A♠]


 スペードのロイヤルストレートフラッシュ。

 同じ役の場合はマークの強さで勝敗が決まる。ミリアの手札はハートだから、この手には負けてしまう。

 しかし、完全なイカサマだった。すでに使われたカードがここにある。後ろからマフィアの仲間が渡していたのだ。


 私と湊ちゃんは画面を見ながら憤る。


「ちょっと待って! あからさまなイカサマだよ!」

「許せない! 絶対に! これじゃミリアちゃんが負けちゃうよ!」


 しかし、ミリアは平然と宣言した。


「ミリアも5枚チェンジ」


 一切の躊躇なく、ミリアはロイヤルストレートフラッシュの手札を場に捨てた。5枚の新しいカードを受け取り、しれっとした顔で軽く告げる。


「ミリアの勝ちなのです」


 ミリアが静かにテーブルの上で開いた手は――


[7♠] [7♥] [7♦] [7♣] [JOKER]


 ファイブカード。


 マフィアの男が驚愕の表情で立ち上がった。

 信じられないものを見るようにカードを見つめている。


 ミリアは椅子の上に立ち、腰に手を当てた。上から男を見下ろす。


「ミリアの作戦勝ちなのです。最初に『ろいやるすとれえとふらっしゅが一番強いのです』と言ったのは、ミリアの誘導だったのです。すべてはこの展開のための布石なのです。勝負の結果は最初からミリアの手のひらの上にあったのです」


 マフィアの男たちはどよめいている。

 画面のこちら側では、私たちもはらはらしながら見ていた。


 唯一、ディーラーの男だけが冷静だった。物静かに、サングラスをくいっと上げていた。

 おそらくサングラスの向こう側では、目がピカピカと光っている。ミリアの魅了が発動している証拠だ。一番のイカサマ師はミリアであった。神がかった手札も、すべてこのディーラーが渡していたのだ。


 しかも、ミリアは最強の手がファイブカードだと知っていて、わざとロイヤルストレートフラッシュを狙っていた。


 マフィアが最後のイカサマを仕掛けてくることも想定していて、それがスペードのロイヤルストレートフラッシュになるように誘導し、それを上回るための布石を敷いていた。私と湊ちゃんも含め、この場にいる全員がミリアの手の上で転がされていた。


 3勝2敗。

 これでミリアの勝利が確定した。


「では、約束なのです。ミリアが勝ったのでパンツを脱いでいただきます。そして、ミリアの命令に従うのです」


「う、うるせえ! イカサマだ! こんなこと、あり得るはずがねえ!」


「イカサマとは、ミリアの手を後ろで見ておじさんに伝えることですか? おじさんにこっそりとカードを渡すことですか? ミリアはそんなことをしていないのです。ミリアはまったく何もしていないのです」


「お、お前……。俺たちのイカサマのこと、知って……」


「ミリアは目がいいのです。全員の動きが見えているのです」


 男は立ち上がり、他のマフィアたちに向かって叫んだ。


「おい、やっちまえ! 殺したっていい。銃を出せ! 装備を解除してりゃあ、ただの人間だ。撃て。撃ち殺せ!」


 その場にいた全員、ディーラーを除いた11人が一斉に銃を構えた。

 今のミリアはワンピース姿だ。銃弾を防ぐことはできない。


 その時、倉庫の扉が勢いよく開いた。


「やかましい。何事だ」


「ボス!」


 ボスと呼ばれた男は白いスーツを着ていた。威厳のありそうな顔で、まだ三十代くらいだと思われる。仲間の男を2人連れていた。葉巻のようなタバコを咥えている。


「監視カメラを見てたら面白れえことになってるからよ。来てみたら、なんだ? 女1人、しかもこんな子どもに銃を向けてんのか?」


「し、しかし……。こいつは俺らに舐めた態度を」


「お前らが手玉に取られたんだよ。こんなガキに。おい、ガキんちょ。名前はなんて言ったか?」


「ミリアなのです」


「ミリアか。面白いガキだ。うちの組織に入らねえか? 優遇するぜ。毎月いくら欲しい? 1万ユーロか? 2万ユーロか?」


「1万ユーロ? ミリアはわからないのです。それは甘いですか?」


「甘い? ユーロはヨーロッパの通貨単位だ。味はしねえ」


「じゃあ、いらないのです」


「そうか、甘いものがいくらでも買えるっつうのによ。ケーキなら何千個、チョコレートなら何万個、バナナなら何十万本もよ」


 それを聞いてミリアはゴクリと喉を鳴らした。


「その話、もう少し詳しく聞かせてほしいのです。ミリアはちょっとだけ、組織に入ろうかなとか思い始めているのです。でも、ちょっとだけ。ほんのちょっとだけ、なのです……」


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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 おいこらミリア、いきなり悪人のスカウトに心惹かれてるんじゃない!確かに額面通り貰えるなら、たくさん甘いもの買えますけどもww それでは今日はこの辺りで失礼致します。
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