第312話 ロイヤルストレートフラッシュを狙うミリア
ポーカー勝負の1回目が始まった。先に3勝した者が勝利となる。
ミリアの手は、
[Q♦] [K♦] [A♠] [A♣] [A♦]
最初からAのスリーカード[A♠][A♣][A♦]ができていた。
「ミリアすごい。強運かも――」
私は心の底から感心する。
マフィアの男がカードを場に放った。
「俺は3枚チェンジだ」
「ミリアは2枚なのです」
「だろうな」
にやりと男は笑う。まるでミリアの手が分かっているかのようだった。
男が手札を公開する。ストレートができていた。
「悪いな。俺の勝ちだ」
「いいえ、ミリアの勝利なのです! ミリアの強運を思い知るのです!」
ミリアは自分の手を開いた。
テーブルに開かれた5枚のカード。
[4♥] [J♦] [Q♦] [K♦] [A♦]
「ろいやるすとれーとふらっ、なのです!」
ロイヤルストレートフラッシュには1枚が足りなかった。
ミリアはAのスリーカードができていたにもかかわらず、Aを2枚捨てていたのだ。ミリアの狙いはあくまでもロイヤルストレートフラッシュ。[J♦]を引くことはできたが、惜しくも[10♦]は逃していた。
「ロ、ロイヤルストレートフラッ、だと!?」
男は驚いて立ち上がる。しかし、ミリアの手をあらためて見て座り直した。
「1枚足りないけれど、きっと強いのです!!」
「ブタじゃねえか」
男はあざ笑い、周りのマフィアたちも煽り立てるように笑った。
画面のこちら側にいる私たちは落胆していた。
「ブタだ」
「ブタだね」
私と湊ちゃんがそろって肩を落とす。
『相手はいきなりイカサマをしてきたな。マフィアの男はミリアの手がスリーカードだと分かっていて、ストレートを揃えてきた』
あいかわらず感情のこもっていないタブさんの声だった。
ミリアの0勝1敗。
負けるたびに脱がなければならないルールだ。
ミリアは装備を解除し、ワンピース姿になった。
男は舌なめずりをしながら、いやらしい目つきでミリアを見ていた。
「へー、かわいい服を着てるじゃねえか。まあ、それも脱がせてやるがな」
2回目の勝負が始まった。
ディーラーがカードを配る。
画面越しにミリアの手札が見えている。
[9♥] [10♣] [J♣] [Q♣] [K♣]
「すごい! ストレート!」
ミリアの手札は最初からストレートができていた。だが、ロイヤルストレートフラッシュのリーチでもある。
ここは湊ちゃんが解説してくれる。
「これは[9♥]を捨てられないよね。だって、ロイヤルストレートフラッシュは狙えないよ。[A♣]はすでに出てしまったから。狙う意味はない」
だが、ミリアは[9♥]をチェンジしてしまい、ストレートを崩してしまった。ミリアにはロイヤルストレートフラッシュしか見えていないのかもしれない。
「2連続でブタじゃねえか」
ここでも、あっさりと負けてしまう。
男と周囲のマフィアは笑う。だが、冷や汗をかいている様子は伝わってきた。なにしろ、あと1枚でロイヤルストレートフラッシュができていたのだ。やはり男はミリアの手を知っていたのだ。
「さて、そのかわいらしいワンピースを脱いでもらおうかな、お嬢ちゃん。下着姿になってもらおう」
下卑た笑いを浮かべるが、ミリアはさっさとワンピースを脱いでしまう。
「ミリア!」
私たちはいつでも飛び込む準備をして見ていたが、躊躇もなくミリアは脱いでしまった。だが、その下はまたもやワンピース。
ん!?
画面の向こうでも似たような反応だった。
「は!?」
マフィアたちも困惑の声を上げた。
なんともない様子で、ミリアは平然と告げる。
「ミリアはワンピースを2枚重ねで着ていたのです。さあ、次の勝負を始めるのです」
「ふ、ふざけんな! それも脱げ! 下着になるのが約束だろうが!」
「でも、ミリアはこれを脱いでしまうと何も着ていないのです。すっぽんぽんなのです。だからこれが下着なのです」
「お、お前……。ブラジャーもつけていなければ、パンツも履いていないということか……。まあ、その大きさの胸なら……。しかたないのか……。しかし、それにしても、パンツも履いていないとは……」
「さあ、勝負なのです!」
ミリアは意気揚々と椅子に座る。
ミリアの発言に対して、タブさんの解説が入った。
『ミリアはちゃんとパンツを履いておるぞ。我は何度かスカートの中を目撃している。ミリアは言葉で相手をコントロールしているのだ。なかなかの知性じゃないか』
私は聞き逃さなかった。タブさんはしっかりと見ていたのだ。ミリアのスカートの中を。
「タブさんのエッチ」
『それに関しては不可抗力だ』
これでミリアの2連敗となった。あとがない状況なのは変わらなかった。
だが、ここで奇跡が起こる。
ミリアはすごいカードを揃えてきた。




