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【悲報】レベル1の妹。兄の装備でダンジョン配信を始める。(84億円相当の激レア装備で最下層スタート、未確認ドラゴンに遭遇した模様)  作者: 高瀬ユキカズ
始まる人類領域への侵攻

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283/391

第283話 忍者の存在

 なるべく早く2つのグループを合流させてしまいたい。

 私はロサンゼルスでダンジョンシミュレーターをフル稼働させてしまった。おかげで今は使用制限がかかっている。20時間の戦いの中ではまともに機能しないだろう。


 今の私たちにできるのは、モンスターを倒せるということの証明。

 実力をイタリアのハンター側に見せつけることだ。


 湊ちゃんは敵を全滅させるつもりでいるらしい。何か作戦があるのかもしれないけれど、今は目先のことだけを考える。


「もりもりさん。まず敵と接触するべきなのでしょうか? 私たちがモンスターを倒せることを証明するために。でも、いつ向こうが攻撃してくるのか、相手がどこにいるのか、私たちにはまったくわかりませんよね?」


「春菜さん。私たちは敵の監視下に置かれていると考えるのが妥当です。おそらく、この砂煙の向こう、もしくは上空にモンスターが潜んでいます」


 私は空を見上げた。

 赤い砂で覆われ、空は暗かった。

 モンスターの影らしきものは見えない。動画で見たモンスターは人間と変わらない大きさだった。黒い肢体に大きな羽があった。


「おそらく、集団から離脱しようとする者がいたら襲ってくるはずです。向こうもこちらの全滅を狙っているようですから」


「では、どうしましょうか? もりもりさんには何か考えが?」


「私より、南波さんにいい考えがあるようですね。今は南波さんの指示に従ってみましょう」


 もりもりさんは湊ちゃんを信頼しているようだった。透き通る目でまっすぐ彼女に視線を送った。

 湊ちゃんは顔色一つ変えず、平然と言い放った。


「まず、私たちを監視しているモンスター。15体。これを一気に倒しましょう」


 私はその言葉に慌ててしまう。湊ちゃんが具体的な数字を出したからだ。


「ちょ、ちょっと待って。湊はどうして正確な数を知っているの?」


「秘密――」


 湊ちゃんはいたずらっぽく笑って、口元に人差し指を立てた。


「なんてね。春菜もわかってるんじゃない?」


 私はもちろんわかるはずもなく、春日井君に助けを求める。


「ちょっと、春日井君。どういうこと?」


 春日井君は口の端を少し上げていた。笑っているというか、苦笑(にがわら)いに近い表情だった。


「まあ、あれだよな。敵を欺くには味方からって」


「欺くとまでは考えていないけれどね」


 湊ちゃんは素直に教えてくれようとしない。


「もう……教えてくれてもいいじゃない……」


 代わりに答えてくれたのは春日井君だった。


「俺たちには味方がいるだろ? 敵に察知されない、忍者のような」


 忍者? 私がイメージしたのは、真っ黒な忍び装束に身を包んだ目つきの鋭い男性。それはラビちゃんとは正反対のイメージで――。

 あまりにも正反対だから、理解するのが少し遅れた。


「そういうことか……」


「私のスマホは春菜のタブレットと接続されているからね。視覚共有《リモート・ビューイング》のデータをAIで解析し続けていたの。このゲート内はほぼ把握できている。ラビちゃんとAIのおかげでね」

 

 ラビちゃんとはパーティ設定をしたままだ。湊ちゃんはずっとラビちゃんの動きを監視していたわけだ。


「砂煙がスローラビットを隠していたというわけですね。都合よく、いくらでも動けた……」


 そう言いながら、もりもりさんは武器を実体化させた。私とダンジョンで手に入れたサタンの大鎌だ。悪魔のような形相のモンスターを狩るには、これ以上ない武器だろう。


「それではみなさん、まずは私たちを監視している奴らを殲滅しましょう」


 その言葉に、春日井君が剣を抜く。日本刀をモチーフとした青白く光る武器。JPソード。細い刀身ながら、鋭い切れ味で敵を断つ。


「いつでもいいぜ。心の準備はできている」


 湊ちゃんが長弓を手にした。ピンク色に輝くエンジェル・ボウ。


「速攻です。敵の知能が高いのは、おそらくリーダーだけ。他はリーダーの指示待ち状態でしょうから、連絡を取られてしまう前に仕留めます」


 ハンターになってもっとも日が浅いのが湊ちゃん。それなのに、この場の誰よりも頼もしかった。ふと、マスター候補という単語が頭をよぎったが、頭を振って思考から追い出す。今はそんなことはどうでもいい。


 私はミスリルの大剣を鞘から抜いた。ちょっとした木の幹ほどもありそうな太い刀身だが、すっかり扱いには慣れていた。

 軽々と持ち上げ、意気揚々と掲げる。


「私もいつでもいいよ。15体ね。速攻で決めよう。こちらの動きを察知される前に終わらせよう」


 その時、イタリアのハンター側でも動きがあった。

 洞穴の前に1体のモンスターが現れた。隠れていた場所が見つかってしまったのだ。


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