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【悲報】レベル1の妹。兄の装備でダンジョン配信を始める。(84億円相当の激レア装備で最下層スタート、未確認ドラゴンに遭遇した模様)  作者: 高瀬ユキカズ
大統領の依頼

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第235話 ロサンゼルスに到着

 戦闘機はロサンゼルス国際空港に着陸した。

 狭い機内に無理やり5人で乗っていたため、体が痛い。湊ちゃんも春日井君も同じだったようで、顔を歪めていた。おかげで変な顔をしている私が目立ちにくい。


 私たちの乗ってきた戦闘機を目にして、物珍しそうに写真を撮る客も少なくなかったが、人目を避けるために戦闘機はすぐに運ばれていった。


 戦闘機はアメリカ側に引き渡され、一時預かりとなった。コントローラーで操縦ができてしまう戦闘機なんて、下手なドローンよりたちが悪い……という理由により、まあ、没収されてしまったようなものだ。


 ロシアのパイロットはミリアによる魅了が解かれ、なぜ自分がアメリカにいるのかもわからないまま連行されていった。


 私たちは空港の施設に入り、エリ先生と面会した。


 エリ先生は開口一番、呆れたように口を開いた。


「あなたたちが戦闘機でやってくるなんて……。いったい誰が想像できるというの?」


 私たちは4人で「ごめんなさい」と謝った。

 ここにいるのは私とミリア、そして春日井君と湊ちゃんだ。


 エリ先生の小言のような説教は続く。


「先生の立場になって考えてみてください。生徒がロシアの戦闘機に乗ってやってくるんです。もうこれは、素行が悪いとかいう問題を大きく逸脱しています。私がちゃんと引率しなかったことも悪いのかもしれません。ここからは、私がちゃんと監視しますからね」


 エリ先生は教師になってまだ日が浅い。それなのに、すっかり教師という職業が板についていた。


 だから、私たちも完全に生徒モードだった。


「先生、ごめんなさい。でも、最初にミサイルを撃ってきたのはロシアの戦闘機なんです。ドラゴンで叩き落としても良かったんですけど、パイロットが死んでしまう可能性がありました。だから、こんなことになりました」


「戦闘機から逃げればよかったでしょう。ドラゴンのほうが速いのですから」


「大統領のお土産になるかな、と思ったんです。戦闘機は高いって聞いてたし、春日井君が言うには、100億円以上はするだろうって。だったら、珍しいし、捕まえてアメリカに持って行っちゃおうって」


「捕まえません、普通は。普通の中学生は、戦闘機と遭遇しても捕まえたりしませんよ」


「でも、ほら。先生だって、珍しいトンボとかクワガタとかカブトムシがいたら、捕まえようとしますよね。値段も高くて貴重で珍しいと聞いたら、なおさら」


「戦闘機はトンボじゃありません。捕まえてはいけません。わかりましたか?」


「はあーい」


 私は代表して返事をする。4人で怒られているはずなのに、なぜだか私だけが答えていた。


「確かに、捕らえた戦闘機はSu-57の後継機として開発中の機体だったようです。珍しいから、大統領は喜ぶかもしれませんが、先生としてはあなたたちを叱らなくてはなりません。今後は戦闘機を捕まえないように。わかりましたか?」


「はあい。わかりましたあー」


 私の声に少し不満が乗っていたからだろうか、エリ先生の説教は止まらない。


「本当にわかっているのですか? 戦闘機だけじゃないですよ。戦車も駄目です。戦艦や潜水艦もですよ。近代兵器を勝手に捕獲して、改造しないように」


「はーい」


 間延びした私の返事に、エリ先生は顔をしかめたままだ。


「本当にわかっているんですかねえ? 人類の戦力図が書き換わるほどの重大なことなんですよ。下手したら、ダンジョンハンター対軍事力の構図になりかねないんです」


「へー、そうなんだあ」


「わかっていませんね、これは……。中学生の女の子が戦闘機を操るなんて、教育上よくありません。大問題です。ということで、今回の戦闘機は没収です。スマホやゲーム機と違って、職員室に頭を下げに来ても返せませんよ」


「はあーい。本当にわかりました。以後、気をつけます」


 このままだと説教が終わらなそうなので、反省した態度を見せようと深く頭を下げた。


「わかってくれたらいいです。じゃあ、ここからは私がみなさんを引率しますね。春菜さん、南波さん、春日井君。そしてミリアちゃん。大統領は多忙のため、のちほどダンジョン内で合流します。そこまでは私による引率です」


「はーい。お願いしまーす」


「なんだか、遠足気分ですね。気を引き締めてくださいね」


「はーい」


 私たちは制服姿だ。唯一、ミリアだけは全身がピンクシルバーのエンジェル装備を身に着けている。全身鎧姿のために目立っていた。


「じゃあ、行きますよ。みなさん。旗についてきてください。決して迷子にならないように」


 エリ先生はいつの間にか旗を持っていた。棒の先には三角の赤い旗がついており、『千の宮中学校・御一行』と書かれている。


 エリ先生を先頭に、私たち4人が歩き出す。


 物珍しそうな様子で、空港にいた客たちがこちらを見てくる。私たちのことについて何か言っている人もいる。英語だから、なにを言っているのかわからない。注目を集めているのはミリアだ。時々、「Dungeon Hunter?」という言葉が聞こえてくるから、アメリカでもダンジョンのことは知れ渡っているのだろう。


 会話の中から「elementary school」だの「primary school」だのといった言葉が聞こえてきた。けれど、どういう意味なのだろうか。横では湊ちゃんが「小学生って思われてない? 私たち……」と春日井君に話しかけていた。


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