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【悲報】レベル1の妹。兄の装備でダンジョン配信を始める。(84億円相当の激レア装備で最下層スタート、未確認ドラゴンに遭遇した模様)  作者: 高瀬ユキカズ
最強の初心者パーティ

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第210話 出現した女王蟻に慌てるハンターたち

 女王蟻をその場に残し、私はシューターに足をかけた。


「待て! まだ降りんじゃねえー!!」

「行かないでくれぇーー!」


 シューターを降りようとする私を、彼らが怯えた声で止めてくる。


「え? どうかしたのですか?」


 私はわざとすっとぼけた声を出し、これ以上ないほど最高に明るい表情を作って微笑みかける。


「後ろ! 後ろだ! 後ろだって!」


「後ろがどうかしたのですか?」


「女王蟻だ! ジャイアント・アント・クイーンだよ! 出現したんだよ!」


 私は後ろを振り向く。

 ジャイアント・アント・クイーンに指示を出して、視界の外へと移動してもらう。


 そして、ハンターたちへと顔を戻す。

 女王蟻は常に私から見えない位置へと先回りしていた。


「え? なにもいませんよ?」


「そっちじゃない! そっちじゃ!!」


 ハンターは私の背後へと指を向けた。

 私はその方向へと顔を向ける。

 もちろんそこにもジャイアント・アント・クイーンはいない。


「何もいないじゃないですか?」


「いるんだよおぉぉぉ」


 泣き叫ぶようにしながら、ハンターたちは目で女王蟻を追っている。その場所を懸命に指し示しながら訴えかけてくる。


「違う違う! あっちだ、あっち!」

「いや違う! こっちだ」

「そっちだ!」


 次々に指される方向へ顔を向ける。私は、わざとのんびりとした動作を繰り返していた。


「そうじゃない、そっちじゃねえ! てめえ、馬鹿なんか! どうやったらあんなデカいのを視界から外せんだよ!」


「うわあああ! 早く倒せ、倒してくれぇ!」


 うろたえるハンターたち。

 悲鳴を上げながら、広いボス部屋を逃げ回り始めた。


「倒せ! 早く倒せ!!」


「どうしてこんなに早く再ポップするんだ! ありえねえだろ!!」


「後ろ! 後ろだ!! だから、後ろを見ろって! そっちじゃねえって言ってんだろ!」


「なんでそんなにのんびりしてんだ! どうして違う方ばかり見てやがんだ!」


 慌てふためくその様子を眺めながら、私はあえて緩慢な動作を繰り返す。

 ぷっ……。

 思わず笑いそうになったのを、なんとか堪えた。

 少しだけ彼らと遊ばせたら召喚を解除しよう。


「お願いだあー。頼むから気がついてくれー。女王蟻が本当にいるんだー」


「何を言っているんですか? 私を騙そうと演技をしているのですか? 下手な演技ですよねえ」


 私は可愛らしく笑顔を作りながら首を傾げ、肩をすくめた。


「演技じゃねえって! 本当にいるんだ! 見えねえわけねえだろ!!」


「見えませんけれど? それとさっき、助けなんていらねえって言いませんでしたっけ?」


 語尾を少し鼻にかけ、ちょっとだけ不満げに訴えてみた。


「言ってねえ、言ってねえよー」


「助けてくれーーー」


「言ったかもしれねえけど、撤回する。だから、ほら、そっちじゃない、あっちだ。あっちにいるじゃねえかぁ」


 私はボス部屋の中をゆっくりと歩き始める。

 私が歩く後ろを女王蟻がついてくる。鬼ごっこでもしているかのように、ハンターたちは逃げ回っていた。


 わざと早足で近づくと、彼らは勢いよく駆けていく。面白いので、つい、からかってしまう。


「もう、みんなでそうやって私を驚かせようとしているんですね。ジャイアント・アント・クイーンなんて、どこにもいないですよ。嫌だなあ♪」


 私はからからと軽く笑って見せる。

 もはや私から逃げているのか、ボスから逃げているのか、判別がつかない状況だった。


「いる! いるんだって!」

「なんでわからねえ! どうして見えねえ!」

「本当なんだよ! からかってんじゃねえんだって!」

「もう分け前なんて言わねえ! 頼む、助けてくれ、倒してくれ! 死ぬ! すぐに死んじゃうから! 助けて!」


 私は呆れた感じを装って、意図して軽い言葉を投げかける。


「どこにそんなものがいるんですか。でも、これが最後ですよ?」


 私は「せーのっ」と言いながら、勢いよく振り向く。

 ジャイアント・アント・クイーンは飛び上がり、逆さになって天井に張り付いた。


「ほら、後ろには何もいませんね? 大丈夫ですね♪♪」


 私はハンターたちの方へ顔を戻して笑顔を作る。

 再び前へ歩き出し、彼らに近づいていく。

 女王蟻もいっしょに、天井をじわりじわりと前進していた。

 同調しながら、共に彼らの方へと向かう。


「うぎゃあああ!!」


 叫び声をあげるハンターたち。

 まるでこの世の終わりと言わんばかりの顔をしていた。


 その様子を見て、さすがにそろそろ許してあげようという気になってきた。

 実はこっそり配信をしていたから、湊ちゃんと春日井君も見ているかもしれない。


 私はくるっと振り返り、シューターの方へと身体を向けた。


「じゃあ、私は行きますよ。湊と春日井君が待っていますので、下に降ります。それでは、おたっしゃでーーー」


 手を振りながらシューターに飛び込み、2人が待っている地下99階へ向かった。


「ふんぎゃああああああああああああああ!!」


 ハンターたちの叫び声が最後までボス部屋に響き渡っていた。


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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 いや~、きちんとざまぁされてスッキリですね! 実質的被害がクズ共にあんまりないのがムカつきますが、やり過ぎたらクズ共と同じ穴の狢になるからなぁ…それは嫌だわww それでは今日は…
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