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【悲報】レベル1の妹。兄の装備でダンジョン配信を始める。(84億円相当の激レア装備で最下層スタート、未確認ドラゴンに遭遇した模様)  作者: 高瀬ユキカズ
最強の初心者パーティ

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202/218

第202話 地下40階のボス部屋に向かう

 湊ちゃんが先を行くものだから、私は春日井君と並んで歩くことになった。

 春日井君は私に訊ねてくる。


「ところで、どうして40階に来たんだ? ボス戦の練習でもしようと思ったのか?」


 私は前を歩く湊ちゃんを気にかけながら、春日井君の疑問に答える。


「ここに来た目的は地下99階へ降りるシューターがあるからだよ。まあ、練習にもならないくらい簡単だろうけど、ボスをさっさと片付けてもいいかもね」


「なるほど、単なる通り道ってことか」


 春日井君は納得した様子で頷きながら、手元のデバイスを操作し始めた。


「ところで、ここのボスってどんなやつだったかな」


 端末で情報を検索し始めたのを見て、私は先に答えを口にする。


「ジャイアント・アント・クイーン。通称、女王蟻。でも、()ポップまでの時間が長いから、ボスは出現していないかもしれないね。そうしたらシューターで下に降りちゃおう」


「じゃあ、ボス部屋は空かもしれないってことか」


「いや、そんなこともないよ。女王蟻がいなくても巣穴から小蟻が出てきて、数ポイントから数十ポイントのDP(ダンジョンポイント)が稼げるんだよね。だから、それ目当ての人がいるみたい。通称、蟻部屋なんて呼ばれているよ」


「へー、そんな部屋があるのか。小銭くらいは稼げるのかな」


「まる1日いれば10万DPくらいになるらしい。でも、1人で独占なんてできないから、人が多いと旨味がないみたいだけどね」


 春日井君と話をしている間に、湊ちゃんはだいぶ先へ行ってしまっていた。


「それにしても、南波はまだ機嫌が悪いのかな? 理由がわからないから困るな」


「湊はずいぶん前を歩いているね。スマホも見ていないから、道が頭に入っているんだろうね」


「あれだと俺たちより先にボス部屋に到着するよな。1人で中に入ったりしないだろうな」


「それはないと思うよ。……ん? あれ?」


「どうした?」


「湊がこっちに戻ってくる。なにかあったのかな?」


 角を曲がって姿が見えなくなっていた湊ちゃんだったが、こちらへ引き返してきた。


「春菜ぁー。進めなかったぁー」


「どうかしたの?」


「なんか、通れないって言われたよ。ボス部屋の前にハンターが立っていて」


「ああ、まさか……」


 私は肩をすくめ、それから天を仰ぐ。


「蟻部屋の独占だね。理由を言えば通してくれるかも。私たちはただ下に降りたいだけだから」


「そうだね。じゃあ、戻ってみる」


「あ、いいよ、湊は。私が話をしてみるから」


「そう?」


 今度は私が先頭を歩くことになった。

 代わりに湊ちゃんと春日井君が私の後ろで並んで歩いている。

 ちらりと振り返ると、2人とも気まずそうにしていた。

 聞くつもりはないが、嫌でも会話が耳に入ってくる。


「なあ、南波……。なんで、機嫌が悪いの?」


「別に、私、機嫌悪くないけど?」


「俺がライバルとか言ったからか?」


「そんなんじゃないよ。ライバルでいいし」


「いや、俺、本当にさ、南波の弓ってすごいと思っていて。ああ、好きだなあ、その姿勢って思ってたんだ。立ち姿って意味じゃなくて、自分を高めようとする姿勢だよ。好きだなって思ったんだ」


 少しの間があり、湊ちゃんの声が不機嫌そうなものに変わった。


「だから、そういうところなんじゃない?」


「ええぇ……? いや……、わかんねえし……。なんで、余計に怒ってんの?」


「怒ってない!」


 湊ちゃんはちょっとだけ大きな声を出していた。

 私は先を歩いているから顔は見えていない。けれど、私の頭の中の湊ちゃんは大きく大きく頬を膨らませていた。その姿は、ほっぺの中に大量のひまわりの種を詰め込んだハムスターだ。


「ここを曲がるとボス部屋だね」


 私たちはボス部屋の前に到着した。

 天井まで届くほど大きな扉。両開きの扉は金属製で、豪華な装飾が施されている。

 扉は完全に閉じられており、その両脇には2人のハンターが立っていた。

 こちらをぎろりと睨んで、しっしっと追い払うような仕草を見せる。


「また来たのかよ。だから言っただろ、ここは入れないって。さっさと帰れよ。階段で下でも上でも行けるだろうが。ここは俺たちが占有してんだ。掲示板にちゃんと告知も出してんだからな。あと2時間は譲る気ねえぞ」


 この蟻部屋には勝手なルールが作られていた。ダンジョンWikiとともに有名な掲示板、『ゴーゴーチャンネル』には蟻部屋専用の板がある。そこで蟻部屋の独占を告知し、他に利用者がいなければ独占を宣言するのだ。


 もちろんそんなルールを守る必要はない。

 すべてのハンターが掲示板を見ているわけではないし、自然発生したローカルルールだ。もともとは争いを避けるために生まれたはずだったが、いつしか一部の者に都合よく利用されるようになっていた。


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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 無法には無法で返事するのが作法(?)ですね…春菜ちゃんにちょっとお話(物理)して貰いますか! それはそうと春日井くん、もう少し空気を読む力を身につけないと自分が持つスペックが色々…
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