044 交渉
遅くなりました!申し訳ありません!
「サラ様、近隣の街の避難が完了しました。それと、洋上を監視していた者が、水平線に無数の黒点を確認したそうです。」
「いよいよですか。クロエさん。バイスさんがいないので、代わりをお願いできますか?」
「私でよろしいのでしょうか?」
「私の支持を伝えるだけで構いません。現場の指揮は階級法則に則ってやるでしょう。」
「まず、専守防衛を徹底させてください。こちらから先制攻撃をすることのないようにお願いします。万が一、向から攻撃された場合は、なるべく被害を少なく、海沿いを逃げてください。無理に戦う必要はありません。
徹底的に心を折るために。」
「わ、わかりました。では、護衛には別の部下を残していきます。私の次に強いですので、御安心を。」
「ありがとう。」
もう既にサンドラの艦隊がすぐそこまで見えている。
おそらく、突出して岸に向かって来ているのが安全確保の精鋭と使節団だろう。
降りてきた使節であろう明らかに兵隊ではない見た目の者にサラは王族スイッチを入れて話しかける。
「ようこそ。私は、サラ・リステインと申します。我がリステイン王国へようこそお越しくださいました。」
「これはこれは。サラ様。お出迎えありがとうございます。私は、サンドラの外交を代表しておりますビクトリア・エレクシーフォンと申します。サンドラ王国では国王陛下より侯爵位を承っております。」
「では、会談場所までご案内します。」
会談場所。それはサラが選んだ海が一望出来る場所だ。
そう。
いつもは青く広大な海が広がっている景色が広がっている。工場も機会も少なく、原動力の殆どが二酸化炭素などを出さない魔力だ。沖縄やハワイにも勝る景色だ。
しかし、今日は違う。
窓の外に広がる景色は、木造ではあるが堂々たる大艦隊だ。攻撃兵器のようなもののついた戦闘艦らしきものから明らかに兵員輸送船のようなものまで様々な船がある。
そして、リステイン王国には陸戦防御はあっても海戦や海からの攻め込みに対する戦法も兵器もまだ主流ではない。
サラ以外は。
「では、ビクトリアさん。今回はどのようなご要件でしょうか?」
「はい。我が主、エイバス・フォン・サンドラ国王陛下より書状を預かっております。どうぞ。」
「ありがとうございます。」
リステイン王国アリス・リステイン女王陛下並びにサラ・リステイン王姉様。この度は前国王らの戦死、心からおくやみ申し上げる。
まだ幼い身ながら姉妹二人で国を導くこととなったのはさぞ気苦労が多いことであろう。
そこで、前国王の時代に結んでいた条約や同盟の確認に加え、お2人の政治を助ける新しい条約を提案しようと思う。
まずは、現行の条約からだ。全文を書くと長くなるので、略して書かせてもらう。
一、両国の繁栄のため、両国家間での商人に対する課税率を他より30パーセント減らす。
一、両国の信頼のもと、軍需設備に関して互いに教授し合う。
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一、どちらかの国で大規模な災害が発生した場合、もう一方は全力を賭して援助する。
以上だ。そして、ここからが新しく結ぼうと考えている条約だ。
一、リステイン王国の現状を考慮し、我がサンドラ王国がその補佐を努められるようリステイン王国の外交、軍事、内政に対しての発言権とその停止権を有する。
一、リステイン王国にはサンドラ王国から復興の為に人材を派遣する。その対価として、リステイン王国は国費の10パーセントをサンドラ王国へ受け渡す。
一、上記の二つの条約はリステイン王国の復興が完了し、リステイン王国とサンドラ王国の両国の同意がある時のみ改正できる。
「なるほど。お心遣い、ありがとうございます。ですが、お断りいたします。王族の生き残りが私とアリス2人だけだから舐めないでいただきたい。どうしてもというのなら今までの条約も再締結は致しません。そうお伝えください。」
「サラ様、私は国王陛下より今回のリステイン王国との外交にかかわる全権を任されております。それには、国権の発動たる戦争も含まれるとご理解頂いた上で、でしょうか?」
「はい。」
「そうですか。初めはしっかりした方かとも思いましたが、この艦隊を見ても戦力の差がわからないとは。やはり、幼いものは仕方ありませんか。」
「そうですか?あなたがたの艦隊が強い事はわかりますが、我が国も怠けていた訳ではありません。我が誇る最高の艦をご覧いただいてからでも問題ないでしょう。あと30分ほどでこちらへ到着するでしょう。
もう既に水平線に見えているはずですよ?」
「いいでしょう。30分。お待ちしましょう。」
そう。
それはサラがバーシアス帝国との戦争中に出来心で作ってしまった戦艦リステインだ。
話しは、天界での戦闘が集結したあとにサラがセレネティアと会った時のことだ。
セレネティアに創造の力を禁じられた上、チート兵器、つまり、戦艦リステインまで処分されたと聞いて盛大にごねたのだ。
王族として、何も切り札がなくては困ると。
その時、セレネティアはサラが他にも色々と作っていたのを知っていたので、それではダメなのかと聞いたが、サラが絶対的な切り札を欲したため、妥協点で提示したのがこれだ。
戦艦リステインから空中浮遊や武器弾薬の無限生成などいくつか機能を無くした状態のものをサラに受け渡すという事だ。
それが今水平線に見えている戦艦リステイン。戦艦大和をはるかに凌ぐ性能を秘めた十分にチートな戦艦だ。
まあ、それでもサラは空を飛ばしたいとごねたのだが・・・




