032 サラの決意
本編の内容まで飛ばしたい方はこの話の後半まで読み飛ばして下さい。
少し、別の話です。(無関係ではない)
決して近いとはいえない二つの国。
対するはそのほかの主要国家。
誰もが無謀だと思った。
あるものは彼らは気が狂ったのだと語った。
あるものは身の程をわきまえろと言った。
あるものは相手にすらしなかった。
しかし、彼は戦わねばあらゆるものが不足し、国家諸共野垂れ死に、負ければそこでGAME OVERだ。
だが、どう足掻いても、勝利することは叶わない。
彼らに残された道は、少しでも有利な状況で話を合いをする事だった。
が、彼らは強かった。
開戦から一年。誰もが予想していなかった。
二つの国は怒涛の強さを発揮し、次々と強国の連合を打ち倒していったのだ。
数、兵器の性能、兵士の練度、作戦。全てにおいて彼らは勝っていたのだ。
しかし、開戦から間もなく、兵器の性能で追いつかれた。
兵器の性能で追いつかれたことで、死傷する兵士の数が双方ともに増え、国力で圧倒的に劣る彼らは次第に劣勢へと追い込まれていった。
そして、死傷者が増えるにつれ、数と練度でも追いつかれ、追い越された。
そして、追い詰められた彼らは次第に取れる作戦も減り、それを読まれるようになった。
それでも、彼らは諦めなかった。
いや、諦めることが出来なかった。諦めた先にあるのは敗北。そこには誇りも名誉もない。
ただの敗北の二文字だけだ。
そんな中、大日本帝国は最後にして最強の戦力を作り上げた。
後にも先にも世界最大の戦艦である。
国の誇りであり、象徴であり、国民の希望である。
しかし、その存在を多くの国民が知ったのは敗戦の時が近づき、それと共に、その戦艦の最後が近づいた時でもあった。
追い詰められ、国力で劣り、戦いを続けることが難しくなっていた大日本帝国は、遂に禁断の方法を使った。
空対艦の神風特別攻撃隊、空対空の震天制空隊、水中対艦の回天特別攻撃隊。操縦者の帰還を前提としないことが多く、その命と引き換えに国を守るために逝く。
そして、水上部隊による決死の特別攻撃。最後の連合艦隊による天一号作戦である。
沖縄が連合軍の圧倒的な戦力により包囲され、今にも陥落しそうだという時、戦艦大和を含むわずか10隻で航空機の援護なく、数十倍の戦力を有するアメリカ軍に殴り込み、沖縄地上部隊を援護するという作戦だった。
そして、実際にこう伝えられ、無謀な作戦と言われることも多いが、実際にその時士官だった方の話によると、その趣旨の命令が伝えられた後、連合艦隊の司令官から本当の作戦の意味を教えられたらしいと。
その話で、無謀な沖縄への水上特攻へ反対していた各艦の艦長も納得したらしい。
『一億総特攻の魁となってほしい。
要するに、死んでもらいたい。』
と。
これだけ聞くと、やはり無謀な、頭のおかしい命令に聞こえるかもしれない。
それでも、その命令の意味は別のところにある。
この時点で、敗戦はほぼ確定的だった。
そして、大和民族の名を冠し、国民、国家の象徴であり、誇りである戦艦大和が残っていては、戦後、またその力にすがってしまうかも知れない。
戦後、この国が成長を遂げるためには完全な敗北が必要であると。
そして、世界中の海を敗戦国の遺物と引きずり回され、子孫たちが笑われるのなら、今ここで、日本海軍として、誇りを持って戦いに沈もうと。
そして、この作戦の時も、それまでの戦いも、敵を殺すためだけに戦地に行った者はいないだろう。
誰もがそれぞれの思い、守りたいもの、それらを背に戦地へと向かって行ったのだと。
色々と思いを巡らせたが、当時の状況も彼らの気持ちもサラには分からない。
それでも、その時、彼らが何の為に戦いに行ったのかはわかる気がした。
そう。親友であるエミールの友達やアリス、守りたい人たち。彼らの為に戦いに行くのだと。
サラは死ぬつもりは無い。
それでも、戦いの結果、守りきりたいものを守ってその代償が自分の命ならば、それでも構わないと考えているのもまた事実である。
地球にいた頃には、こんな考えには行き着かなかっただろう。
それは、環境的に死と隣合わせで、死という感覚がより身近な世界だからだろう。
そして、戦艦リステインはかつての戦艦大和のように、数千の神兵や神々の待つ天界へと進む。
「サラ、お主、死ぬ気か?」
「ふぇ!?」
突然のエミールの問に、反応できずに変な声を上げるサラ。
「いや、なにか達観したような目をしていたからな。
かつての友人もそんな目をして旅立って帰ってこなかった。」
「そうなんだ・・・・
でも、大丈夫。私は死なないから。
それでも、それなりの覚悟で行かないと。人の身で神々の戦いに乱入するんだから!」
「そうか。それもそうだな。ゆくぞ!!」
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