017 決意
最近、熱くなってきましたね。
厚さに負けず、頑張っていきたいと思います!
戦線へと向かう途中、戦争とは全く関係の無い問題にサラは翻弄されていた。
(お尻痛い!
馬なんて乗るんじゃなかった!!!)
「サラ様、大丈夫ですか?」
顔を歪めながら揺られているサラを見てアルカナが声をかけるも、サラはそれどころではない。
「だ!いじょう、ぶ、です!」
「本当に大丈夫ですか?
馬車を一台回しましょうか?」
「すみません、お願いします。」
「かしこまりました。」
馬車に乗り、幾らかは楽になったサラは戦法については考えていた。
なるべく見方の犠牲者を少なく、かつ敵に大打撃を与える方法を。
「サラ様、斥候が帰って来ました。」
「通してください。」
「かしこまりました。」
「敵主力本陣を確認!しかし、敵兵の数10000あまり、前方に騎馬対策と思われる柵を複数確認、その後方に歩兵7千、本陣に騎馬3千です。」
「サラ様、敵は各方面へ戦力を分けているのでしょうか?
いずれにせよ、敵が10000ならばこれは好機です。一気に攻め落としましょう。
敵陣の位置まであと2時間ほどです。」
「では、一旦休憩を取ります。全軍に伝えてください。そして、各大隊指揮官を招集してください。」
「その、宜しいのですか?」
「はい、緊急の作戦会議をします。」
「了解しました。」
「それと、斥候の方、ご苦労さまでした。少し休憩したらもう1度来て頂けませんか?」
「はっ!」
「して、姫様、いかがされましたか?」
「はい、少し思い当たるふしがありまして。
斥候の方に質問します、敵の本陣がある場所の地形を教えてください。」
「はい、先頭が起こると予想される地点は平原です。
背の高い草も無いので戦いやすいかと。」
「そうですか。では、その平原の左右に山や森などはありましたか?」
「は、はい。ありました。」
「やっぱりそうですか。わかりましたありがとうございます。」
「はっ!」
「で、姫様、何かあるのですか?」
「敵が、鉄砲を所持している可能性があります。」
「てっぽう・・・とは何でしょうか?」
「火薬を使って小さな鉄の玉を飛ばす武器です。
弓矢より遠くまで届き、威力も高いです。」
「なんと!そのような!」
「そして、恐らく、敵は柵でこちら側が手間取っている間に銃や魔法で攻撃するつもりでしょう。」
「なるほど、もし敵がそのようなものを持っているとすればかなりの厄介ですな。」
「はい。それだけではありません。
その戦略に翻弄されている時に左右の森や山から敵兵が流れ込んでくるでしょう。」
サラの的確な予測に、それぞれが驚いていた。
が、それがわかっても、事実である可能性は低い上に上手い策も思いつかない。
「では、どう致しますかな?」
「えーと、」
「ダイル・ヒルレオン、第二連隊の指揮を取っています。」
サラが呼び方に困っていると、助け舟を出したダイル。
そして、サラはダイルの鎧の階級章からサラの定めたところによる少将、簡単に言ってエリートだと判断し、第二連隊が特務連隊の次に強いことを思い出す。
「第二連隊・・・
ダイルさん、いえ、ダイル少将!第二連隊を率いてガリア子爵領を制圧、完了し次第、直ちに反転し敵主力後方に奇襲してください。細かな作戦は一任します。」
「はっ!」
「その他の隊は連絡員の連絡を待って第二連隊の奇襲に合わせて突入できるようにしてください。」
「はっ!」
「了解しました!」
それぞれの隊に戻っていくダイル達を見送りながら、サラは自分の隣にいるバイスに視線を移した。
「バイスさん、なぜ、何も言わなかったのですか?」
「それは、姫様のご判断が正しいと判断したからですよ。
もちろん、ご命令通りに何かあれば進言させていただきます。」
「なら、よかったです。
それと、王都防衛に残した7千を除いた残りの騎士団は何処に?」
「はい、こちらに向かっている所だと思います。恐らく、あと二日もあれば一個師団、約1万が増援に駆けつけるでしょう。」
「では突入作戦は2日後にしましょう。」
「はい。」
作戦指示を出し終えると、サラはふとため息をついた。
考えればいくらでも問題が考えられる。
そもそも、バイスさん達に任せる予定だったのになんで指示を出しているのか。
そして、それを考えた時、サラは自分という人間が憎らしく思えた。
そう。サラは命令をだした時、確かに犠牲を少なく敵を倒そうとはしていた。
が、それは兵士達を思ってのことではない。
いや、そういう気持ちがなかった訳では無いが、サラ自信、自分がこの状況を楽しんでいると。
どこか、戦略ゲームでもやっている気持ちになっていたのだ。
しかし、液晶画面上でデータの塊の兵士達が敵と戦って倒れていく。
こんなゲームをやっていても、人間の心は対して傷つかないものだ。
それは、倒れていく兵士達があくまでもデータであり、『命』を持ち合わせてはいないのだから。
今のサラは、どこかこれと同じような感覚だったのだ。
口では死ぬな、生きて帰ってこいと言っておきながら、心の内ではそこまで考えていなかったのだ。
そもそも、本当に犠牲を無くしたかったのなら、『創造』の力で機関銃や戦車、軍艦の砲でも作ればよかったのだ。
もちろん、そんな事をすれば『王女』という肩書き、それどころか『人』としての存在を失う事になるだろう。
サラは無意識にそちらを優先してしまったのだ。
そして、これを考えている今もそれをしようとは思えなかった。
それに気づいたサラの表情は、誰がみても分かるほどに悲しみ、虚しさ、絶望に染まっていた。
そして、サラは思った。
私が心から守ろうと思えるのは何だろう?
正直、現状はニーナ達学園の友達と、私になる前のサラ・リステインとしての記憶の妹、そして、家族だけだ。
何故か、やはり妹だからか、妹はどうしても守りたい。
もし、本当にこの大切な人達に何かがあったら、その時は覚悟を決めよう。
サラはそう思った。




