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迷宮で目覚めたら、何故か進化の剣だった  作者: 空地 大乃


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第五十六話 魔石の効果は?

 倒したアクアシャークを、ダッシュリザードの素材を手に入れるために利用したロープで縛り、地上まで引き上げた。


 そしてミラは鮫を解体していく。大分解体にも慣れたようでかなりスムーズだ。


 アクアシャーク1匹からは、鱶鰭、肝、鮫皮、水の結晶が手に入った。勿論魔晶もだが、アクアシャークは素材が中々美味しい。


 鱶鰭は最初だけ10本まとめて持っていけば600マナになるし、肝もひとつにつき20マナ、水の結晶は売れば50マナ、鮫皮はドゴンの店で30マナで買い取ってくれる。


 とりあえず鱶鰭を除いても全部売れは100マナだ。これまでの魔物に比べるとかなり高額に思えるな。


 しかもマージュの店で生まれ変わったウェストバッグもかなり役立つ。これがあるのとないのでは素材の集めやすさが段違いだな。


 本当、これまで何だったんだ? というぐらいの便利さだ。入る量は50キログラム程度だけど、それでも全然役立つな。


「とりあえず1匹は倒せたね」

「ああ、そうだな。ところでまだいけそうか?」

「うん、HPもMPもまだ余裕はあるよ」


 だったらと、ミラは再び潜る。が、そこから程なくしてエレキエイがゆっくりと近づいてきた。どうやら自らこの辺りまでやってきたようだな。


 ただ、今回は2匹いる。アクアシャークがいないだけまだマシかもしれないけど、気をつける必要はあるな。


 こいつの特徴は例え地上に逃げても雷の魔法のようなもので攻撃を仕掛けてくるところだな。


 流石に地上まで上がってくるわけじゃないから、射程外まで逃げれば問題ないが、とは言え逃げることを考えていても仕方ない。倒すことが第一だな。


 既に一度戦ってる相手。ミラも間合いを詰めるのに慎重になっている。何せこいつは全方位に放電してくるからな。


 どの程度の有効範囲かはっきりと掴まないと不用意には近づけない。

 かといって、慎重になりすぎても息が続かない。このあたりのバランスは大事だろう。

 

 シビレエイがアクアシャークより劣っているのはその速度だ。アクアシャークの突撃は一瞬でも気を抜けない強力なものだが、それに比べるとエレキエイの動きはどこかゆったりとした印象だ。


 なので、正直もしかしたらあまり好戦的ではないのか? と思ったりしたが――それはとんだ勘違いだった。なぜかと言えば、2匹のエレキエイが雷の球を飛ばしてきたからだ。普通に攻撃的だったな。


 そして、当たり前だが水中でもやはり使えるんだな。しかも迸る電撃の範囲は見た目よりも一回りほど広い。


 おかげでギリギリで避けたミラがダメージを受けてしまった。大した怪我ではないが、痺れて一瞬目の前が白くなるらしい。


 アクアシャークが一緒にいたらその隙に突撃をされかねないな。


 とは言え――躱せない程の代物じゃない。相手の動きを読む必要があるが、ミラの観察力は中々で、それに俺もしっかり2匹のエレキエイの動きを確認しているからな。


 そして相手の魔法攻撃を避けながら泳いで近づいていくミラ。そして覚悟を決めたように近づき、魔力の放出の届くギリギリの線を見極めて打ち込む。


 この魔法のいいところは、発動から攻撃判定が発生するまでが高速なところだ。ただ射程がそこまで長くないという欠点があるけど、どうやらやろうと思えばある程度連射も可能なようだ。


 ミラは魔力の衝撃波を連続で3回喰らわせる。これでエレキエイは死んだ。

 

――進化PTを5得ました。


――経験値を40得ました。


 残りは1匹。ミラが近づくと今度は向こうから放電を仕掛けてきた。

 だが、ミラの射程範囲よりはどうやら短いようで届かない。相手もそれに気がついたようで魔法の雷を撃とうとしてきたが、そこにミラの衝撃波が炸裂。


 しかし今度は3発では死なない。結局5発かけたが、どうやら今のはMPの消費を半分に抑えたものなようだな。


「これだったら単純計算でいけば、エレキエイは倍の魔力と半分の魔力の2発でいけるね」


 ニコニコしながらミラが言う。そう単純なものかはわからないが、確かにそれが上手くいくなら普通に10消費を3発撃つより早いしMPの消費も多少とは言え抑えられるな。


 とはいえミラのMPもこれでかなり減ってしまったな。自然に回復できる量もそれほど多くないしな。


 そしてミラは地上にエイを2匹引き上げて解体を始める。するとヒレは勿論の事、結晶も手に入った。雰囲気的に雷の結晶ってとこかな?


「後はこの尻尾が気になるかな。何か光ってるし」


 う~ん、確かに言われてみればそうだな。なんか淡くだけど金色の光を放ってる。


『じゃあ気になるならこれも回収して、とりあえず今集めた素材を持って一度マージュの店に戻ろうか?』

「う~ん、そうだね近いもんね」


 と、いうわけで魔法具店に戻る。





『こ、この尻尾は素材として、や、役立ちます。い、1本40マナですが、よ、宜しいですか?』

「うん! 役立ったようで良かったよ!」


 ミラが嬉しそうに返す。


『あ、あとは、この、け、結晶はどうしますか?』

『うん? まあ低品質だしな買い取りでいいんじゃないか?』


 俺が念でミラに告げると、う~んそうだね~と同意する。ただマージュは上目遣いになんかモジモジしてる。


 このダークエルフ相変わらずだな。本当格好は凄く扇状的なのに、実際は小心者で人見知りが激しいとかどんなだよ。


『何か言いたいことがあるならはっきり言ってくれよ。後から言われても面倒なんだし』

「…………」

 

 て、なんでそれで涙目になるんだよ! いやいや、俺は当たり前の事を言っただけだろ!?


「あ! またエッジってばキツイこと言ったでしょ!」

『誤解だ! 絶対誤解だ!』


 でも結局俺が謝った。納得いかん!


『結晶は、あ、集めれば、ま、魔石になるので、売ってしまって、よ、良かったのかなと――』


 ……なるほど、そういうことか。この腕輪は今は借りてる身だけど、後で買い取るつもりではあるしな。

 

 そうなると魔石はあったほうが便利かもしれないし、今の素材の買い取り金額を考慮すれば、無理して結晶を売るほどでもない気がするしな。


「その魔石でどんな効果があるかな?」

『は、はい。これは水の結晶と雷の結晶なので、貯まれば、水の魔石と雷の魔石が出来ます』


 ミラの質問にマージュが答える。まあこれは予想通りだな。


『雷の魔石をひとつ嵌めれば、エレキエイが使用している魔法と同じ物が使えます』


 と、いうことはあの雷の球みたいのか。確か当たったら一瞬とは言え視界が塞がる効果もあるしな。使いこなせば役立つかもしれない。


「雷は中々使えそうだね~後は水はどうなのかな?」


 ミラが訊く。水はやっぱりアクアシャークのアレかな。あれは飛んでくるスピードが中々早かった気がしたな。


『は、はい。水の魔石の場合は、手から水が出てきます』


 …………はい?


『手から水? なんだそれ? それが攻撃に使えるのか?』

『い、いえ、そ、その、掌から水がシャワー状に出てくるのですが、こ、攻撃には、で、でも凄く綺麗な水ですよ』

『何の意味があんだよそれに!』

『ヒッ!』


 念話で悲鳴を上げて、またメソメソし始めたよ。なんなんだよ。


「ちょっとエッジ」

『いや、それよりミラ。駄目だぞこの水はひとつぐらいじゃ全然使い物にならない』

「何を言っているのさ! そんなことないよ! 全然使えるじゃないか!」


 ……はい?


「素晴らしいよマージュ! 綺麗な水が自由に出るなんて、これがあれば近くに水場がなくても身体が洗えるってことだもんね!」


 ミラがマージュの両手をギュッと握りしめてやたら感動している。そ、そんなに身体を綺麗にするのが大事なのか?


 ……まあ、よく考えたら水が自由に出せるなら飲み水に困らないか――

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