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迷宮で目覚めたら、何故か進化の剣だった  作者: 空地 大乃


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第五十五話 狩りの開始

 魔法具師の店を出てから、ミラはその脚で改めて水面が確認できる位置まで戻ってきた。


 うん、ま、それはいいんだけどな。


『よく考えたらミラ、その格好じゃ濡れるよな』

「え? あ、うん、そうだね。でも仕方ないよ。それに、ドゴンから頂いた服は乾きがいいんだ。だから、そんなに気にならないよ」


 そっか。まあ、確かにマージュと話している間で大分乾いているように思えるな。まあ、それでもある程度湿ってしまうんだろうけど。


『魔物さえいなきゃ、別に全部脱いで潜ればいい話なんだろうけどな』

「――ッ!? な、何を言ってるんだよエッジ! 馬鹿! 剣の癖に!」


 …………はい? え? 俺いまなんで怒られたんだ? 妙にミラの顔が赤いし。


 あ、そっか、そうだよな同性でも恥ずかしいものは恥ずかしいか。


 ……うん、いや、そもそも同性なのか? 俺、剣だぞ? いや、でも俺に性別があるとしたら多分男、雄? まあ、そっち方面なんだろうなとは思うけど。


『まあいいか』

「良くないよ!」


 良くないらしい。なんでだ。


「もう、とにかく、僕はこのまま潜るからね」


 あ、はい。


『それはいいとして、問題は戦い方だな。う~ん、とりあえず、獲物をこの近くまで誘き寄せて少しずつやったほうがいいかもな』


 ここからなら水深が斜面に沿って少しずつ深くなっていく形だ。勿論アクアシャークにしろエレキエイにしろ、ある程度深さがないと活動できないんだが、それでも今ミラが立っている位置から見える範囲までは追いかけてきたしな。


 だから、この環境を上手く利用すれば危なくなったら上手く逃げられるし、それに誘き寄せるやり方なら、敵に囲まれる心配も減る。


「確かにそうだね。この腕輪もどれぐらい効き目があるか知りたいし」


 俺の話を聞いてミラも納得してくれた。そしてそこが一番重要でもある。一体どれほどの威力があって、そして水中の魔物に効くのか、そこが重要だ。


『とりあえず、今どんなものか試してみるか』

「そうだね」

 

 そしてミラは適当な壁と向き合い腕輪をしている方の掌を向けた。


 壁は他と変わらない岩の壁だな。かなり頑丈そうではあるけど。


「はぁ!」


 そして、ミラが妙に気合の篭った声を上げる。

 この掛け声は必要なんだろうか? と、いう気もしないでもないけど、まあ、気分の問題なんだろう。


 そして、ミラの声に合わせるように、掌から魔力の衝撃が放たれ壁を抉った。


 感覚的には魔力のブレス(息吹)といったところか? 蒼い衝撃波が掌から放たれたといった感じで、カバーできる範囲は広そうだが、射程はそこまで長くはない。3~4メートルといったところだと思う。


「ふぅ……」

『おつかれ。威力は中々のようだけど、MPはどれぐらい減っている?』

「これで、10かな」


 10か、つまりこの威力の物であれば最大値の状態で14発程度は撃てるといったところだな。


『……そういえば減ったMPはどうなるんだ?』

「それは、黙っていれば自然に回復するはずだよ。そこまで早くはないから、本当はMP回復ポーションや、回復速度を早めるスキルなんかがあればいいんだろうけどね」


 なるほど、つまり、そういったスキルも存在するってわけか。いずれ手に入ればいいんだけどな。


 とは言え、今はないから試しにどのぐらいで消費した分が回復するか試してみた。どうやら100秒で1回復するらしい。


 つまり1時間で36か。決して余裕の持てる回復量ではないな。


『ミラは今これで10って言っていたけど、もう少し上下できそうなのか?』

「うん、感覚的なものだけど、この半分に抑えたり、倍まで上げることが出来たりはしそうだよ」


 威力は今の半分になるか倍になるかのどちらかと、単純に考えればそんなとこかな。


『威力の調整が効くのはありがたいな』

「そうだね~じゃあ威力も確かめたし、狩りに出ようか」


 そうだな、と答えるとミラが水に潜る。水中でも息ができるようになるヘモグローションについてどうしようか迷ったが、とりあえずは本当に必要と思えるときまで取って置こうという話になった。


 そして予定通り、先ずはアクアシャークかエレキエイを見つけるところから始める。


 理想としてはアクアシャークだ。最も求められているのはアクアシャークのフカヒレだしな。勿論他の素材も金になるけど。


 ミラが水に潜り、泳いで進む。息継ぎしながら細い場所から広がった空間へ。そこまで来たところで、単独で動き回っているアクアシャークを見つけた。


 運が良かった。一度に3匹とか4匹は勘弁してほしいし。


『ミラ、あれでいこう。単体だし試すには丁度いい』


 ミラが頷く。そして鮫に近づき誘導できるギリギリの距離を保ったまま挑発するように泳ぐ。こっからは時間との勝負だな。息継ぎするタイミングを誤るとその間にヤラれかねないし。


 だけど、上手いこと獲物がミラに気がついてくれた。その鋭い瞳がミラを捉え、青い狂気がスピードを上げる。


 ミラはすぐさま旋回して、逃げるようにして移動を始めた。


 水中では当然アクアシャークの方が機敏な為、全力で泳がないとすぐにでも追いつかれる。


 ぐんぐんと距離が縮まっていき――ミラが振り返り掌を鮫に向けた。

 位置的には既に丁度いい位置だ。上手く誘き寄せたな。ここなら危なかったら逃げるという選択肢も取れる。


 そして――突っ込んできたアクアシャークに例の衝撃波をぶつける。魔力を込めた一撃は、見たところ壁にぶつけていたのと同じ威力で放ったようだ。


 アクアシャークは――押し戻される。と、いうかそのままぐるりと水中で数回転して強制的に後方へと流されていった。

 

 おお……これは結構効いてるんじゃないか? そしてその隙にミラはすぐに息継ぎ。そして水中に潜ると、アクアシャークは立ち直っていた。


 流石に一撃では倒せないか。


 ただ、ミラを見据えたまま付かず離れずの距離で右往左往し、明らかにミラに対して警戒心を抱いている。


『これは結構効いてそうだ。追い詰めるなら今だぞ』


 ミラが頷く。泳いで近づこうとするけど、勿論迂闊なまではせず、慎重に――と、するとアクアシャークから勢い良く水が放出される。


 前にみた水撃だな。水中でも普通に使ってくるから、やはり魔法の一種なんだろ。

 そしてミラは、円盾でそれを防ぐ。が、ミラの円盾は魔法への耐性は低い。

 

 案の定そのまま押し込まれた上、その一瞬の隙をついて突撃を仕掛けてくる。


 だが、敵の頭が肉薄しかけたその時、ミラが魔法を発動。しかも、さっきよりも大きな衝撃がブルーシャークを飲み込んだ。


 しかし突撃も完全には威力を殺しきれず、ともに大きくふっ飛ばされる。


 ただ、ミラに関してはそんなに心配はしていない。吹っ飛びながらも身体を動かす余裕はありそうだし、手応えを感じたのか表情に余裕が感じられた。


 逆にアクアシャークの方は完全にカウンター扱いとなったのもあってか、そのまま腹を水面に向けたような状態で動かなくなった。


――進化PTを4得ました。


――経験値を35得ました。


 うん、で、経験値と進化PTも入ってきた。つまり、今の一撃がトドメに繋がったわけだ。

 やはり魔法の腕輪の効果は大きいな――

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