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迷宮で目覚めたら、何故か進化の剣だった  作者: 空地 大乃


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第三十五話 対ゴブリン戦③

 ミラの脚があれば、鈍重なホブゴブリンを躱すぐらいわけなかった。

 一度距離をとれば追ってくるにも時間は掛かる。その間にあのホブゴブリンを片付けてしまいたいものだ。


 とはいえ、手負いの獣が危険なように、この相手にも油断は禁物だな。特に最初にミラの攻撃を受けた怒りからか、相手も目の敵にしているような様子も感じられる。


 だからか、逃げようなどはせず正面から迎え撃つ構え。ミラが攻撃範囲内に飛び込むと、間髪入れず吠え声を上げ斧を水平に振ってきた。


 怒りの篭った斧撃は、ブォン! と暴力的な音を響かせながらミラに迫った。


 だが相手の動きをよく見ていたミラは腰を落とし背中を折って、真上を通り過ぎる斧刃を認めた直後、その膝に向けて突きを放つ。


 攻撃を受け短い呻き声を上げるホブゴブリンだが、剣先はそこまで深くは突き刺さらなかった。やはりかなり頑強な肉体をしているな。


 1発2発攻撃を当てたところで全く怯む様子が感じられない。逆にミラの方は一撃でも受けたらダメージが半端ないから嫌になるな。


 とは言え――その分俊敏さでは遥かにミラのほうが上だ。膝を攻撃した後は、相手の脇をすり抜けつつ、片手に持った俺を鎧に守られていることも関係なく叩き込んでいく。


 攻撃を積み重ねてHPを削り取っていく戦法だな。更に背中に回り込んで――


「燕返し!」


 2匹の燕がホブゴブリンの首と後頭部に襲い掛かる。攻撃がヒットし、いよいよホブゴブリンが地面に片膝をついた。


 やはり燕返しは通常の攻撃よりダメージが大きいか。ただ、あまり連発すると疲労度が蓄積されていくから気をつける必要があるか。


 まあ、そんなことを言っている場合でもないだろうけど。

 さて、ミラもあとはそのホブゴブリンにトドメを、といいたいところだったが、こいつ片膝をついた状態から後ろのミラに向けて斧を振ってきた。


 意外と関節が柔らかいらしく、このままだとミラに命中するが、しかしミラはその攻撃に気づいている。来ると判っている攻撃に当たることはないだろう。

 

 そう俺も思うが、何か、何か嫌な予感する。そう、何か別な危険が迫ってるような――思わず俺は剣としての視点でゴブリンロードに意識を向ける。


 するとゴブリンロードの口が大きく開かれ、今にも――そう! あいつ、また雄叫びを上げる気だ!


 あれは、まずい、あの声はミラの動きを止める。この状況で動きを阻害されたら確実にまた斧の一撃を受けてしまう。


 しかもよく見ると他のホブゴブリンもミラが攻撃を受けた直後に飛んできそうな位置に控えていた。一撃ならまだ耐えられるかもしれないが、その後に追撃でもされたら目も当てられない。


 どうする! ミラに注意するにも今、念を向けても間に合うとは思えない。ヤバイ! 考えろ俺! 相手は雄叫びでミラの脚をすくめて隙を造る作戦だ。


 そう、脚を、すくめる? それはつまりミラの精神が相手の雄叫びに耐えられないからだ。だが、その精神を強くしたら? そうだ! もうこれしかない!


『鉄の精神のLVを上げる!』


――パッシブスキル【鉄の精神】の強化には進化PTが50必要です。宜しいですか?


【現在の進化PT:201】


 それでいい! 急いでくれ!


――スキル【鉄の精神】がLV1からLV2に強化されました。ステータス欄に反映いたします。


『グウウォオオオオオォオオオォオオオオ!』


 きた! 雄叫び! ギリギリ、間に合ったか? ミラの横から斧刃が迫る――まさか、間に合わなかったか!?


「ハッ!」


 だが、ミラはなんと、迫る刃に片手を添え脚を振り上げ、斧刃の上で逆立ち状態でバランスを取っていた。


 ホブゴブリンの表情が驚愕に染まる。小柄なのも幸いしたのかもしれないが、にしてもこんな離れ業までやってのけるとはな――だけど、どうやらスキルの強化は間に合ったようだ!

 

 それに、予想通り!


『耐えたかミラ!』

「あ、うん、何かさっきより楽だったんだけど何かした?」

『ちょっとな。だけどそれは後だ!』


 俺の念でミラも顎を引き、そして片手立ちの状態からふわりと飛び上がり、一回転しながら頭蓋に俺を叩き込む。ぐしゃりと鈍い音。


 そしてドスンッとホブゴブリンが両膝を地面に付け、そのままゆっくりと前のめりに倒れ動かなくなった。


――進化PTを8得ました。


――経験値を80得ました。


――熟練度が10に向上しました。


――ロングソードの熟練度がMAXに達しました。


――アクティブスキル【連撃】がアンロックされました。


――スキルリストに追加いたします。


――称号昇華の条件が満たされました。


――【ゴブリンキラー】から【ゴブリンバスター】へ昇華致します。


『ミラ! やったぞ! 俺の熟練度が遂にMAXになったぞーーーー!』


 思わず歓喜のあまりミラに向かって念で叫びあげてしまった。なんか、すごく長かった気がする。けれど、ようやく、そう! ようやく熟練度がMAXになったんだ! きっとミラだって喜んで。


「うん、良かったね、でもちょっと今は戦闘に集中させて」


 迫る矢の雨を叩き落としながらミラが冷静にそんなことを言った。


 ……うん、当然だね。今はもっか戦闘中だ、浮かれてる場合じゃないな! うん!


――でもちょっと寂しい。


『そ、そうだよな。でもミラ、なんとだ!』



──────────

ステータス

種別:進化の剣

剣銘 :ロングソード

熟練度:10/10(MAX)

耐久値:53/60↑5

重量:1.5kg

進化PT:159

直接属性

切:46↑10打:36↑9突:39↑8魔:0

補助属性

火:0水:0土:0風:0

光:0闇:0雷:0氷:0

パッシブスキル

【ガイドLV2】【言語理解LV1】【念話LV1】【シンクロナイズLV1】【鉄の精神LV2】【剣術LV3】【マナ換算LV1】【両手持ちLV2】【スタン効果LV2】

アクティブスキル

【鞘攻撃LV1】【燕返しLV1】

称号

【勇敢な剣士】【異世界パートナー】【返しの名人】【ゴブリンバスター(付加中)】【芸達者】

──────────



『ほら! 凄いだろ? 切なんて10、打も9、突だって8も上昇したんだ。見違えただろ? 称号もゴブリンキラーがゴブリンバスターに変化したんだ! これで戦闘も楽に!』

「もう、判ったってば! 集中できないから!」


 ……怒られちゃいました。うぅ、て、確かにそんなことで凹んでる場合じゃない!


『そ、そうだなミラ。つい嬉しくて。でだ、新しいスキルで【連撃】というのがアンロックされたんだ。説明によると連続攻撃が出来るらしい。MAXで覚えたぐらいだから――』

「うん、それだと強力かもね。お願いエッジ!」


 ……やっぱ頼られると何か嬉しいな。まあ、それはそうとして――


『スキル、連撃を頼む!』


――スキル【連撃】の取得には進化PTが75必要です。宜しいですか?


【現在の進化PT:159】


 オッケーだ!


――スキル【連撃】を取得しました。ステータス欄に追加いたします。


――パッシブスキル【コンボ】がアンロックされました。


――スキルリストに追加いたします。


 うん? なんだ? 連撃を覚えたと思ったら、今度は別なスキルがアンロックされたな。

 概要を見ると……連続でスキルが使用出来る? なんだこれ? よくわからないが、覚えるには100PTが必要で、だけど残りPTは74だからな。


 どっちにしろ少し足りないか――



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