一緒
「ミシェル様ボーッとして大丈夫ですか?お見合いいかがでした?」
「…どうしよう。ねぇ。私…夢見てるのかな?」
「どうしました?頭でも打ったのですか?」
「お見合い相手がセドリック様だったの。私を好きって…」
「お嬢様…失恋からおかしくなったのですか?お見合い相手がセドリック様に見えるだなんて…」
「違うわよ!失礼ね!本物のセドリック様だったの!」
「え…では本当に?おめでとうございます。あんなに泣いたのに泣き損でしたね。」
この侍女は私を何だと思っているのかしら…ちらっと顔を見ると涙が薄っすら見える。なんだかんだ喜んでくれているから憎めない。
「これでストーカーが合法的に行えますね。良かったですね。」
「ストーカーじゃなーい!明日セドリック様と待ち合わせてるから遅くなるなら!」
「本当良かったですね。」
「…ありがとう。」
セドリック様との待ち合わせを考え、朝から服装を悩む。あの素敵な方の横に並んでお出かけなんて緊張してしまう。何を着ても霞んで見えてしまうな…。
「レイチェルちょっと来て。」
「ミシェルおはよう。どうしたの?」
「私からレイチェル様に報告があります。周りから聞く前に直接伝えたいです。」
「何々?!怖いんだけど!ミシェルいきなりどうしたの?あ!お見合いうまくいったの?」
「…はい。うまくいきまして、結婚する事になりました。」
「良かったじゃない!相手は?誰?誰?結婚式には呼んでよー。」
「えー…あの…セドリック様です。」
「は?セドリック様って結婚するんでしょ?」
「あれは気の早い噂で、お見合いに来たのがセドリック様でした。」
「え?!本当?」
「はい。本当です。」
おめでとうー!とレイチェルに抱きしめられる。お祝いしようと言ってくれ今度ご飯に行く約束をして別れる。喜んでくれて良かった。結婚する事を伝えるのが恥ずかしい。未だに夢みたいでまだフワフワしていて不思議な気分。帰りに待ち合わせしている為、残業しないように1日頑張らないとダメなんだから。
「ミシェルどうしたの?集中出来ない?」
「へ?あ、すいません。ボーッとしてました。気を引き締めます。」
仕事中に全然手が進んでいなかったみたいで先輩に声をかけられる。いけない。気が抜けていた。しっかりしないと。
「いつも頑張ってるんだからいいのよ。悩み事があるなら相談乗るからね。」
「ありがとうございます。実は結婚する事になりまして。ちょっとその事を考えてしまっていました。」
「え?そうなの?おめでとう。まだ公開してない感じ?決まって浮かれてる感じなのねー。可愛い。」
「…はい。昨日決まりまして。本当夢みたいで。」
「もう!いいわねー。ミシェルと恋バナするなんて無かったから楽しい!もうお昼だから食堂行こう!」
先輩と一緒に食堂に向かう事になり慌ててついて行く。途中廊下がざわざわと騒がしく盛り上がっていて、先輩と気になり見てみるとセドリック様達が居る。幹部の方たちだ。
「あ…」
ふいにセドリック様と目が合った気がする。気のせいかな?もう1度見てみると満面の笑みで手を振ってくれる。あ、本当に気づいていたんだ。
「誰に手を振ってるんだろ?結婚相手この中にいるのかしら。皆自分だと思ってそうね。」
先輩に言われ振り替えそうとした手を慌てて下げ誤魔化す。そうだセドリック様人気なんだった…私が相手だとバレて大丈夫なのかな?え?待ち合わせヤバい?
「ミシェル?食べないの?」
「あ、食べます。」
「どうしたの急に落ち込んで。」
「先輩は婚約者いますか?」
「いるわよ。急にどうしたの?」
「婚約者が人気の場合どうしたらいいですか?」
「えーー私の婚約者普通だからなー。ミシェルの相手は人気者なの?」
「あぁ…はい。周りにバレたら叩かれそうで…。」
「そっかー。同じ職場なの?…え?待って!さっきの??!あれミシェルに?」
頷くと先輩にそうかーとため息をつかれる。幻滅されたかな?セドリック様の結婚相手が私じゃやっぱり無理だと思う。
「彼意外と見る目あるのね。」
「へ?」
「彼がミシェルを選ぶなんて意外だわー。貴方良い子だから当然よね。何かあって嫌になったら捨てて他の人にすればいいわ。ミシェルなら選り取り見取りなんだから。」
「選り取り見取り?私がですか?」
「え?知らないの?貴方モテてるわよ。穏やかで優しくて可愛いからお嫁さんにしたいって。」
「えぇぇ…全然誰からも声かかりませんよ?気の所為ですよ。」
「牽制し合って難しいのよねー。結婚を知ったら横取りされたって泣く人いるんじゃないかな。彼の事好きなの?」
「はい。大好きです。でも私なんかでいいのかな?って。」
「さっきの顔見たでしょ?ベタ惚れじゃないの。好きな人なら信じなさい。もし令嬢に虐められても彼ならすぐ守ってくれるわよ。ダメだったら次いくらでも相手いるから大丈夫。」
なんだかわからないが褒めてもらえて嬉しい。次とかは考えられないけど好きだと言ってくれるセドリック様を信じよう。
「お待たせ。ついに一緒に帰れるね。何でまだ隠れてるの?」
「え?あ、いつもの癖で…。お疲れ様です。」
「お疲れ様。待った?」
いつもの様に柱に隠れて待っていた私にセドリック様は優しく微笑んでくれる。まさか待ち合わせをする日が来るなんて信じられない。
「さっき来たところです。セドリック様忙しいのに大丈夫ですか?」
「うん。大丈夫だよ。行こう。」
私の手を取り歩き出す。周りがざわついているのがわかる。当たり前だよね。明日には話が広まってしまうかな。
「今日ずっと浮かれてて皆に不思議がられたよ。ミシェル嬢と待ち合わせ出来るなんて嬉しいな。」
「私も仕事に集中出来なくて大変でした。楽しみにしてました。」
「本当に?同じ気持ちで嬉しい。」
チュッと頬に口付けをされる。嬉しそうに微笑んでいるセドリック様に何も言えない。職場の人に見られてない?恥ずかしい。
「お昼手を振ってくれたのに返せなくてすいません。」
「あぁ、全然大丈夫だよ。一緒に同僚の人居たのにゴメンね。ミシェル嬢を見た瞬間浮かれてしまった。」
「…セドリック様凄く人気があって、私なんかが相手って思ってしまって。」
「ミシェ…」
「でも!私もセドリック様好きだし、もう戦うしか無いかなって!」
「ふふっ。ミシェル嬢大好きだよ。」
満面の笑みが眩しすぎる。顔が良すぎて直視出来ない。やはり無理かもしれない。
「…無理かも知れません。」
「なんで!?ミシェル嬢を何からでも守るから!」
「セドリック様が素敵すぎて…ツライ。見守るくらいが良かったのかも。鼻血出そう。」
「そんな事無いって!私はミシェル嬢と手を繋ぎたいし会話もしたい。お願いだからそんな事言わないでください。」
悲しげに微笑むセドリック様の顔面が強い…。どうしよう。
「…」
「ね?ミシェル嬢好きだよ。一緒に居たいな。」
「…うぅ。私もです。」
ダメだ。抗えない。ミシェル嬢大好きと言いながらセドリック様に抱きつかれる。良い匂いするなぁ。強く抱きしめられ良い匂いに包まれ何だか安心してしまう。
『ぐぅ』
は!お腹が!
「ミシェル嬢本当可愛い。ご飯行こう。私もお腹空いたなー。」
「…はい。行きましょう。」
優しく微笑んでくれ手を繋いで歩き出す。




