頑張る
「これミシェル嬢に。」
「なんですか?」
小さい箱を渡され開けると綺麗な髪飾りが入っている。紫色の宝石が使われていて可愛い。
「一応色々な魔法かけてあるから、出来るだけつけてほしいな。ずっと側で守れたらいいんだけど、なかなか仕事柄そうもいかないし。」
「えー嬉しいです。可愛いし毎日つけちゃいます。」
セドリック様が貸してって手に取りつけてくれる。髪を触られ少し照れる。
「うん。良く似合ってる。可愛い。」
「ありがとうございます。凄く嬉しいです。セドリック様の瞳の色だし出張とかで離れても寂しく無いです。」
「あぁ…もう。可愛すぎるんだけど。私以外に絶対ついて行ったらダメだよ。」
「行かないです。私大人ですよ。」
って昨日セドリック様と笑ってたなー。
「何故貴方がセドリック様と!絶対許さないから!!」
今知らない令嬢に詰め寄られている。どうして私はこんな事になっているのか。絶対怒られるだろうな。
「大丈夫ですか?」
勤務の途中で廊下に座り込んでいる方がいて心配になり声をかけた。セドリック様の時みたいだな。懐かしい。
「少し気分が…申し訳無いのですが、あちらまで連れて行ってもらえませんか?」
「もちろん大丈夫ですよ!立てますか?私につかまってください。」
「ありがとうございます。」
儚げな令嬢を連れ移動をする。俯き歩く姿が心配になった。
「こちらでよろしいですか?」
「…馬鹿な女ね。反省しろ。」
「え?…!!」
痛いと思った瞬間、私は部屋の中に突き飛ばされた。え?何?!
「セドリック様は何故こんな馬鹿な女がいいのかしら。私と結婚するはずだったのに。横取りするなんて!」
「え…」
「何故貴方がセドリック様と!絶対許さないから!!」
近寄ってきて蹴られそうになった時、光に包まれた。紫色の綺麗な光。セドリック様に包まれているみたい。
「…あ、髪飾りが助けてくれたのか。」
「何これ!バカにして!これ消しなさいよ!」
令嬢はガンガン蹴ってくるが全く光が揺らがない。その時昨日感じた暖かく良い匂いに包まれた。
「ミシェル嬢!!」
「あ、セドリック様。どうしてここに?」
「ミシェル嬢の身に何かあったら、私にわかるようにしてあるから。大丈夫?!何があった?」
「セドリック様!!私が貴方の結婚相手です!何故そんな女を抱きしめているのですか?!」
「…誰?」
「酷い!いつも優しく笑ってくれたじゃないですか!」
「私の愛する人はミシェル嬢だけです。ミシェル嬢を害する人は許さないですよ。」
ギュッとさらに抱きしめられる。セドリック様いきなり現れたけど仕事大丈夫なのかな。
「あんなに毎日見て…微笑んでくれていたのに…。ずっと見ていたのに…。」
「勝手に見てただけで結婚する気にならないでください。迷惑です。」
「…え。」
「え?ミシェル嬢?」
私も見てた。何なら後つけてた…。そうよね…迷惑よね。
「…迷惑ですよね。」
「違う!ミシェル嬢は違うから!私は最初から貴方が気になっていたし毎日嬉しかったよ。」
「私…貴方と一緒だわ。ゴメンなさい。結婚する資格何か無い…」
「ミシェル嬢落ち着いて!?変な事考えないで?ダメだよ?」
セドリック様が慌てている。申し訳無い事したな。あたふたと私の顔を覗き込み心配そうな顔をしている。
「えぇ…セドリック様格好悪い。いつでも落ち着いて微笑んでいる貴方が良かったのに。」
「「え?」」
「貴方にあげる。私大人でずっと格好良い方が好きなの。結婚するのは次候補のマーベル様にするわ。みっともないセドリック様はいらない。さようなら。」
令嬢は颯爽と去って行った。えぇぇそれでいいの?何それ。
「セドリック様振られた?」
「え?私が?誰に何言われても、私はミシェル嬢が居てくれたらいいよ。」
「ストーカーでも?」
「それだけ私を好きって事だよね?嬉しいよ。ずっと私だけ見てて欲しいな。」
「…セドリック様。」
綺麗な顔が近づいてきて唇がそっと重なる。好きだよって何回も甘い口付けが振ってくる。
「もう知らない人について行ってはダメだよ?」
「はい。気をつけます。」
「じゃ、仕事に戻るね。また帰りにね。」
セドリック様は優しく頬を撫でてくれ去って行った。格好良すぎるんだが。
「よし!一緒に帰るために頑張って仕事するか!」
一緒に帰る途中で甘い甘いお仕置きが待っているなんて、私はこの時1ミリも思っていなかった。
(完)




