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転生したら本能寺で織田信忠だった・・・・あれ、詰んでない?  作者: ハルラララ


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幕間1 明智光秀の憂鬱②

絶頂期という事は山で言えば頂上だ。

見晴らしも良い、自分が上った道も見えるし、苦労も見える。

その上で、登り切った頂上からみる景色のなんと心地よいものであるか。


それでも、祇園精舎の鐘の如く、物事には始まりがあれば終わりがある。

盛者必衰の理の如く

春の夜の風の如く

風の前の塵の如く


……絶頂期がきた後は、ただただ下に落ちるのみ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


思えば、あれが私の、人生の絶頂の時であった。

それを境に、少しずつ、何か歯車が違っていったような気がする。


年々、信長様の難題に応える事が難しくなった。


相手の求める水準が厳しくなったのか、自分が衰え弱くなったのか。

それを測る術はないのだが、かつてのように熱意を持って超えると思う事ができなくなった。


上様となった信長様と接する機会も減った。

毛利、長宗我部、上杉、武田、九州、関東、東北の諸大名との折衝。

一人で全ての事を行うのはいくらなんでも不可能だろう。


小姓、近習と呼ばれる者が増えていき、信長様の伝達を聞く事が多くなった。

直接話す事はめっきり減り、その分近習から伝言形式で話す事が多くなった。


称賛も、叱責も。報奨も、処罰も。

文章を読み上げる近習に畏まって対応する。


寂しいと思うが、致し方ない。それだけ織田家が大きくなったという事だ。

我らの艱難辛苦があったからこそ、ここまで辿り着けた事は誇らしいじゃないか。


……それでも、まともに軍配を握った事もない若者に、

信長様のように叱責されるのには堪えるものがある。


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佐久間信盛、林秀貞、安藤守就が追放された。

いずれも老齢で、以前ほどの働きができなくなった者たちばかりであった。


人員だけをきいた時は、確かに妥当なのだろうなと思った。

全員恐らく10年前が全盛期なのだろう。

正直自分が織田家に入った後から、彼らにこれといった功名があるかと言えば、首を傾げざるをえない。

自分が彼らより大幅に立場が低かった時には正直なぜ彼らはこの立場だろうとも思ったし、

自分の方がもっとうまくできると思ったものだ。


聞けば林様は信長様が元服時からの筆頭家老であったというし、

佐久間様は織田家の家督争いで

信長様にろくな味方がいない時から付き従った数少ない先代からの家老の一人であったと言う。

守就様は自分が青年の時の斎藤家の重臣の一人であったし、

織田家の美濃攻めの際に多大な貢献があったと言う。


ああ、過去の貢献の積み重ねもあるのだなとその時は思ったくらいだ。

自分に関りが薄い部分でもあるし、人物本位な織田家ならすぐ立場も並べるだろうと気にしていなかった。


けれど、今回の事で、そうではないと改めて思った。

信長様は能力不足は見逃しているのではなく、ただ人手が足りないから我慢していただけだった。

本願寺攻めが終わり人員に余剰ができたので、人員の無駄を省きにきたのだろう。

まず手始めに、大きな立場で功の少ない重臣から整理を始めたのだと思った。


…………隠居ではなく、なぜ追放なのだろう。

職務怠慢と言えばそうなのだろうが、彼らは怠けていたわけでなく、手を抜いたわけでもなく、

ただ単純にその立場に見合った働きができなくなったように思えている。

…隠居でも、降格でもなく、追放なのか。


老いる事で、働けなくなっていくのは追放されるような事なのだろうか。

自分もいつか、最期には追放される定めなのかと思うと、陰鬱になった。


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