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転生したら本能寺で織田信忠だった・・・・あれ、詰んでない?  作者: ハルラララ


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幕間1 明智光秀の憂鬱(終)

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柴田殿は60を超えても北陸の最前線で戦っておられる。

滝川殿は70近くになっても、隠居を許されず関東管領として上野に派遣される事になった。


信長様はまだまだお若い。

もう50近くになられるのに、身体が時間を忘れているように、10年前と変わらないお姿だ。

自分はと言えば、髪も減り、顔もしわが増え、身体も衰えを感じるようになった。


つい先日、武田攻めが終わった折の宴席で、癇の虫が

悪かったのだろう、私の些細なひと言に信長様が怒られ、蹴とばされた事があった。


相も変わらず人づきあいが下手なお方だ。

感情のままに動かれるか、文字通り体と体でぶつかる事で人と会話をしようとなされる。


以前ならばすぐに立ち上がり埃を払いながらその行状をお諫めし、

それを信長様が不機嫌そうにきかれるのが今までの流れだった。


…………立ち上がれなかった。起き上がれなかった。

信長様の蹴りをまともに受けて吹き飛ばされ、衝撃で腰を打って動けなくなってしまった。


衰えたものだ、と自分でも思う。

もう戦働きで、敵を倒す事は適わないだろう。


周囲がしん、とした空気になった。

信長様も、少しばつの悪そうな顔でそのまま退出なされた。


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国替えの命が下った。

毛利を滅ぼし次第、出雲、石見を与えるとの事。

整い次第、近江坂本と丹波は収公するため、その準備をするようにと。

私が不在の際に唐突に信長様の近習が家臣に伝達したらしく、

城の上から下まで大混乱になっていた。


意味は、分かる。

出雲は出雲大社がある、宮廷と縁が深い地域柄だ。

石見は石見銀山がある、そこの統治が、旧毛利領では最も重要視される所であろう。

朝廷との折衝ができ、銀山の管理運営ができるものは限られる。

確かに、私は適任なのかもしれない。


近江坂本は手塩に育てた自分の城下だ。今では近江の中でも有数の街として栄えている。

丹波もようやく情勢が落ち着き、よほどの事がない限りもう織田に逆らう事はないだろう。


『もう坂本や丹波はそなたがおらんでも大事なかろう。そなたでなければならぬ土地を用意した故、

そこでまた存分に腕を振るうがいい』


そう言っている、信長様が脳裏に浮かんだ。


………あと、どれだけ。

あとどれだけ、自分は走れるだろうか。


そこで終わりではないだろう。

次に待つのは九州攻めだ。

自分に与えられた惟任日向の名の通り明智光秀、惟住の名を与えられた丹羽長秀、それに筑前守を

与えられた羽柴秀吉……この辺りで九州を攻めた後、また国替えが待っている事だろう。



----もう、限界と。

心のどこかが、訴えていた。


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時がきた。

きてしまった。


今、京には軍勢と呼べるほどの兵はいない。

なのに、信長様と信忠様が、京に無防備に滞在されている。


自分は信長様の指示で坂本から西に向かって行軍中。

当然の事ながら、誰も自分を疑いなどするはずもない。


偶然なのか、運命なのか。

今、自分が指示を出せば、この日々が終わる条件が揃ってしまった。


今すぐの破滅か、先の破滅か。

それとも、万に一つの光明を見出すか。


………自分の心は決まっていた。

ただ、それに巻き込まれる家臣が、不憫でならない。


情けない話ではあるが、皆に話し、皆に決めてもらおうと重臣を集めた。

場合によっては、そこで誰かに切られるのもいいかもしれないとも思った。


…………反対する者は、誰一人いなかった。

皆、神妙な顔で、こちらを労わるような顔で見ている。


重臣で長年苦楽を共にしてきた斎藤利三が、こちらに向けて言葉を発する。


「我ら家臣一同、殿と運命を共にいたしまするーーーー長年、長年よくぞ辛抱なされました」



ーーーーそうか、私は、我慢していたのか。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


そうして、本能寺に舞台は移る。

物語が始まる前の、それは別の場所で起きていたお話。


本能寺の変の前の明智光秀の視点はこれで御仕舞。

個人的な主観では、こんなイメージ。

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