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転生したら本能寺で織田信忠だった・・・・あれ、詰んでない?  作者: ハルラララ
幕間:本能寺前後の周辺状況

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幕間:大坂城下の謀略(2/2)

「侍従様、もしや……」

「そなたが言い淀んだという事は、同じことを考えたという事よ」


「………誰かを、戦勝の為の生贄にするおつもりで?」


嘘をこちらで真にする。

誰かを裏切り者にして、その相手を明智方として討つというのだ。

当然、相手は予期せぬ奇襲になすすべなく破れるだろうし、

兵達にも明智軍に勝てるという実績と自信を付けさせることができる。


確かに現状の問題を解決できる策ではある。

……濡れ衣を着せられて死ぬ相手と兵達を無視すれば、であるが。


「いるであろう、この軍の中に。明智家の血縁で、父上や兄上を排除した後、

光秀めが織田の後継者にしようとする可能性のある者が」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「なぜ、義父上はそのような事を……」

一報を聞いた時に織田七兵衛信澄は『まさか』といった困惑を、皆と同じように感じていた。

彼の妻は明智光秀の娘であり故に舅である光秀とは親しい間柄であったため、

その意味では受けた衝撃は他の者達の比ではなかっただろう。


彼は現在信長の命で丹羽長秀と同じく織田信孝の四国遠征の副将として付属されており、

元々本願寺退去後の大坂の管理、後始末を任されていたため、

今回の遠征では兵糧を始めとした兵站の管理を任されていた。

各地域に手持ちの兵を使い荷駄隊を送り、船にて渡航する矢先のこの事件であった。

「残っている兵達も動揺しておりますが、いかがいたしましょうか?」

「……本願寺の残党が襲ってくるかも知れぬし、とりあえず守りの準備だけはしておけと

申し伝えよ。しばらくすれば、侍従様か五郎左様が今後の話し合いの為に使者を送るで

あろうから、それを待つとしよう」

「はっ」

それを聞くと、近習は兵に信澄の指示を伝えにいった。


ーーーその信澄の至極常識的な判断が、彼の結末を決定づけた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ドゴォォォン!!!といった衝撃と揺れで、

寝所に入りうつらうつらしていた信澄の意識が覚醒した。


「何事じゃ!!誰ぞおらぬかっ!!」

寝所の刀を掴み、廊下に出ると近習が走って近づいてきた。

「正門が破られました!!敵の奇襲にございますっ!!」

「明智の兵かっ!?守備の兵はなにをしておった!?」


もうこんな所にまで明智軍がきたのか、

それとも本願寺の一向宗の残党がこれを機に襲撃をかけたのか。


「違いますっ!桔梗の紋ではありませんっ!直違と永楽銭の旗指物

ーーー丹羽様の軍と織田軍ですっ!!!」


「なんじゃとっっ!!??」


ーーー何の因果か宿命か。

彼自身の伯父である信長と同じく不意の襲撃によって、

彼自身の父である信勝と同じく信長の家臣の手によって、落命する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


結果から言えば、信孝達の策は上手くいった。

たったの四半時であの明智軍に完勝したという事で士気は上がり、

兵の離散はピタリと止まった。

証拠として、敵の大将の首を晒した事で戦勝の噂も周囲に広まり、

一部の兵が勝ち馬に乗ろうと戻り始めたりもした。


「……………………」


丹羽長秀は、戦で燃え、廃墟になった織田信澄が居た郭の跡を眺めていた。

とりあえず、兵の離散という問題だけは解決できた。

ただ、根本的な問題は何一つ解決していない。

(罪のない仲間を殺して、得られたのは僅かなもの、か……)


痛み止めのようなものだ、当座の問題は解決したものの、

明智本軍がやってくれば敗北は必定な運命はなに一つ変わっていない。


(最も無能なのは、そこでなんの策も出せなかった儂こそか)


非常な策を出した信孝に思う所はある。

ただ、それに対する対案をなにも出せなかったのも事実である。


(上様あってこその、米五郎左であったのよなぁ)


改めて、織田信長の偉大さを感じた丹羽長秀であった。


「五郎左様っ、急報にございますっ!!」

「……何事じゃ」

そんな折、長秀の家臣が汗を切らして走ってきた。

今度は一体なにが起きたのか。

嘆息する長秀を前に、


「羽柴筑前守秀吉様、備中高松より全軍を以って引き返し、

現在は無事姫路まで到着された由との事にござりまする!!」

「ーーーーーーは?」


想定外すぎる情報に思考が止まる。

家臣から渡された書状は確かに秀吉の筆跡で、現状の位置と今後の進軍予定が事細かく

書かれていた。


(……この後の世は、一体どうなっていくのか)


朗報にも関わらず、丹羽長秀の思考は埒外の事ばかりが起きる現状に、

混乱する思いばかりが巡っていった。

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