日常回 日野城でのとある一日(2/4)
当初予定より少し長くなりましたので、三話構成を四話構成にしました。ご了承くださいませm(__)m
「ちなみに、その松姫様はいずこにいかれたので?」
「松姫なら先ほど湯を貰いに行ってくると言って出ていったが」
ちなみに今話題に挙がっているその松姫は、俺の身体を拭く布と
お湯を貰ってくると言って先ほど部屋を出て行った。
現代と違って給湯器からお湯が出でるなんて事は当然なく、水を汲んで火をおこして
湯を沸かさねばならないといった重労働である。
水は城に井戸があるにしても、火起こしから始めねばならないはずなので
戻ってくるまでしばらく時間がかかるだろう。
だからこそ近習も、松姫の話題を出してきたのだろうし。
流石に当人を目の前にしてそんな話もできないしね。
「本当に働き者の姫様でございますな」
「そこまでしなくとも良いとは言っているのだがな」
自分の身体の面倒を見る近習や侍女も蒲生家から派遣されているのだが、
「わたくしがいたしますので」と言ってきかない。
それこそ彼女も大名の名門の武田の姫様だろうに、何でもテキパキ自分でやっている。
武田家がそうなのか、彼女が暮らしていた信濃(長野)の高遠城がそうだったのかは分からないが、
戦国の大名のお姫様とは思えない甲斐甲斐しさと万能さである。
これについては賛否あるようで、献身的な事を褒める人もいれば、織田家当主の正室となる
者がそのような事までせずともといった否定的な意見もあるとの事。
どちらかと言えば彼女の境遇も相まって否の意見の方が少なそうであるので問題はなさそう
なのでとりあえず放置はしているのだが、
なんとも難しいものである。
こちらとしては美人のお姫様におはようからおやすみまでつきっきりで面倒を見て貰えるのは
個人的には最高なので、余計な口出しはしないで頂けると幸いだと思われます、はい。
「まあ、十数年会えずに思いを馳せていた相手に出会えたのですから、
気持ちは分からなくはないですが」
「敵国との婚約者同士……どこかの御伽草子のようですな」
貴方たち好きに言いますね。
自分でもそう思うからいいけどさ。
十数年を途中からは敵国同士、会った事もない相手を想い続けるという、
ドラマだとしたら結構な純愛ドラマものである。
史実では会えないと思ったお互いが十数年の時を経てあと数日でようやく
出会える所で本能寺という、悲哀もいい所であるが。Badend過ぎませんかね?
この脚本作った人がいたら『人の心とかないんか?』とか、言われて炎上しそう。
リアル先生は本当に残酷な事をなさります。
「ちなみに中将様はよろしいのですか?」
「?よろしいとは、なんの事じゃ」
「それは……その」
?なんか急に曖昧になったな。
「あ~、その~、えーっと…………」
ここまで来てなにやら言い淀んでいる。
……ああ、発言の内容が俺の気を逆なでしたら
「まあ、今に限り無礼講でいいだろう」
誰が見ているわけでもないし、別にそれくらい良いだろう。
「よろしいのですか?」
「別に私的な雑談であるしな」
ある意味、今更だし。
今までも既に、まあまあ失礼だからね?いいけど。
「……松姫様、こういってはなんですが美人とは言い難いじゃないですか?」
ーーーあ〃あ?




