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転生したら本能寺で織田信忠だった・・・・あれ、詰んでない?  作者: ハルラララ
幕間:本能寺前後の周辺状況

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幕間:丹羽長秀と織田信孝の会合(前編)

天正10年(1582年)6月、梅雨。


丹羽長秀は、焦りながら城の廊下を早足で歩いていた。


(まずい、まずい、まずい……)


誰もが起こりえぬと呆然した本能寺の変。

主君である織田信長の死。

四国征伐の副将として大坂の地にいた丹羽長秀はその一報を聞いた時、

敵方の長宗我部の放った質の悪い虚報ではないかと何度も疑ったほどだ。


それほど突飛すぎて突然すぎる事件であり、信じがたい事態であった。


ただ、軍の命と命運を預かっている大将の一人として、この軍の年長者の一人として

いつまでも動揺したままではいられない。

情報の裏を取り事実で相違ないと判断した後は、今後の方策を立てようと

この四国征伐の大将である織田三七侍従信孝の元に向かっている途中であった。


差しあたって直近の問題としては傘下の兵の無断離脱、逃散が止まらない事だ。


この点、立地が彼らに災いした。

京より近く真偽含め情報の伝播が早かったため、情報の統制をする間もなく

既に陣内では真偽不明の流言が飛び交っている始末。

兵の末端まで少なくとも本能寺で起きた事は伝わってしまっている。


結果なにが起きたかと言えば、集めた軍兵の離脱や逃散だ。


基本的に織田家の遠征軍は自前の直属兵以外は現地で徴募兵を行う事が一般的だ。

羽柴秀吉の中国遠征軍にしろ、滝川一益の関東遠征軍にしろ、本拠から引き連れる兵の数は

そう多くなく、基本的には現地での豪族を取りまとめたり、兵を徴募してその数を揃えている。


例外的に織田家直属の精鋭兵を揃えて遠征に行っている方面軍は

柴田勝家率いる北陸遠征軍くらいなもので、

それも戦国最強と謳われた上杉謙信率いる越後兵を相手にしていたという特殊な事情が関係している。


四国征伐軍も基本的には既に四国に先発し、現地で兵を集めている阿波の名門三好氏の他には

この大坂周辺から徴募をかけた者達が大半であり、当然この数週間で集めた彼らに

忠誠心や信頼関係なんてものはありはしなく、既に多くの兵が各々勝手に持ち場を離れてたり

自領に戻ったりする始末。


不幸中の幸いを強いて見つけるとするならば、本隊の渡航前に本能寺の変の情報が入った事であろうか。

渡航中や四国に渡航後にそれが起きていたならば、それこそ海を渡った先の敵中で孤立するという

最悪の事態になっていたであろう。


現状辛うじてそのような混乱が起きていないのは長秀自身が拠点の若狭から率いてきた兵と、

信孝が率いてきた神戸家の直属の兵くらいなもので、

その兵達も周囲の状況を見て動揺が広がりつつあり、放置していればどうなるものか

分からない状態である。


既に大坂の四国征伐の軍は、長秀が把握している限りで

当初の1万5千ほどから半数以下にその数を減らしていた。


「これではどうにもならぬ……」


既に状況は明智軍征伐どころか、現状の離散する兵をどう留めるのかといった問題と、

いずれ来るであろう明智軍をどう凌ぐのかといった所まできている。


唯一の救いは四国遠征軍がいるここ和泉(現在の大阪府)は

自分の義兄弟の蜂屋頼隆が治めている領国である。

あの明智が謀反する世である以上物事に絶対は無くなっているが、尾張の頃より共に

数十年、信長に仕え続けてきた義兄弟という最も信頼できる相手の領地にいる事は

安心できる材料の一つではあった。


とは言え刻々と状況が悪化している中で、手をこまねいて放置していればさらに悪化しかねない以上

のうのうとしているわけにもいけない。


「ーーー侍従様、丹羽五郎左衛門がまかり越してございます」


信孝のいる部屋の前につき、近習が室内へ到着した旨を呼びかけるも

うんともすんとも室内からの反応がない。

なにをしているのか、と長秀は襖を開けて三七信孝のいる部屋に入った。


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