幕間:新生尾張織田家の面々(前編)
とりあえず、新生尾張織田家の重臣メンバーは以下の通りとになった。
筆頭家老:前田又左衛門利家
次席家老:斎藤新五郎利治
家老:蒲生忠三郎氏郷(与力)
家老:前田孫四郎利長
当然他にも大勢の人達がいるのだが、その辺はまた追々。
とりあえず重臣と呼ばれる面々はほぼ身内に等しい面々で固めていく人事となる。
蒲生氏郷も前田利長も信忠の義兄弟であるわけだし(氏郷は冬姫、利長は永姫と呼ばれる
信長の娘とそれぞれ結婚している)、将来的に氏郷は会津90万石、利長に至っては加賀120万石を
与えられてそれぞれ無難に統治していたわけなのだから、
能力的にも無茶な配置ではないとは思っている。
年代的にも40代のベテランの利家と利治で脇を固めて、20代の氏郷と利長を育てていくという
将来的な世代交代も見据えた考えである。
「いや……まだ若年にて実績がない私には、荷が重いかと……」
ちなみに唯一その人事に難色を示していたのが、利家の息子の利長だ。
史実でも割と石橋を叩いて渡る性格が垣間見える彼は、この人事を聞いた時にもその性分が
出たらしく、どうにか断れないかといった様子を出した。
「孫四郎、儂が父上から家督と美濃尾張の統治を譲られたのは19の頃よ」
そう思ったら信長もまあまあスパルタよね。
現代と今の時代の19では違うとはいえ、お隣武田さんですよ?
いくら英才教育していた嫡男とはいえ、任せるつもりになったものだとは思う。
「なにも初めから十全にこなせと言うわけではない。そなたの父上もいるし、
織田や前田の家の家臣や別に我々義兄達を頼ってもよい」
しっかり着実に経験と実績さえこなしていければ、間違いないといった(未来の)経歴が
あるので、その辺は心配なく任せられる。
当面は利家と同じ尾張南部を任せるつもりだし、そのフォローもあるだろうしね。
「申し訳ござらん、過保護に育てたせいか、この孫四郎、少々軟弱に育ったようで」
「又左殿、それは軟弱ではなく慎重というものであろう」
こればかりは性格によるものだろう。
成功に向かって失敗を恐れずに突き進むものもいれば、
失敗を避ける為に万全な備えを設けるものもいる。
ようはケースバイケース。どちらがいい悪いわけではなく、その時々の最善をその都度選べば
いいと個人的には思っている。
「儂はこの孫四郎には期待しておる。次代の織田家を支える柱の一人として、
そなたのそのような視点も大切だ」
「中将様にそこまで言って頂けるなら……十全を尽くす事を誓いまする」
「固いのぅ、孫四郎は。そなたはわしらが気づかぬところによう気づいて助けてくれるの
だから、それでよいではないか。わしらも助かってるしの!」
そういってからから笑っているのが蒲生氏郷である。
こちらは典型的な『なんとかなるだろう』な性格をしている。しかもなんとかしちゃうんだよね、
この人の場合。
信長の野望でいったら全能力80オーバーのハイスペック武将なだけに、
何とか確保したい人材である。
逃がさんぞ……お前だけは……
「そなたも今後ずっとこちらに来てくれれば盤石なのだがな」
「わしも中将様の下の方が気楽なのですがな。ちと、近江の日野からこの清州は遠うございますな」
そう言って勧誘を綺麗に躱す氏郷。うーん、手ごわい。
「いっそわしだけ2年の期限も無視してみましょうか?ただ父上が卒倒して倒れそうですが」
「それなら、無理だな。左兵衛大夫に申し訳がたたん」
本能寺の変以来本当に蒲生家の皆様にはお世話になりっぱなしである。
こんだけお世話になって、恩を仇で返すことはできないよね。
「そこで無理と言えるところが中将様の良いところと、わしは思いますがの」
そういって氏郷はくくくと笑う。
「まあ、わしが蒲生の家を完全に差配する時になったら、また考えましょう。誰かに
仕えるなら、中将の義兄上様の方がわしもよいですから」
「そうなったら、その時は頼む」
まあ、今日はこの辺でいいだろう。
2年の約束とはいえ、蒲生家から氏郷を与力として貸出して貰っているのだ。
その期間中は、存分に腕を振るってもらおう。
「ちなみに、岐阜の諸将はどうなっている?」




