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転生したら本能寺で織田信忠だった・・・・あれ、詰んでない?  作者: ハルラララ
第二章:清州会議

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復路時の会話 後編(秀吉、秀長)

「では、中将様はどうでしたので?」

「中将様はの……なんて言えばいいのかの……よう、分からんかったが一番近いかの……」

問いに対して、自分の兄にしては珍しく歯切れの悪い言葉に、

秀長は訝しげな表情を浮かべる。


「珍しいですな。いつも物事を明確に言い切る兄者にしては」

「まー、記憶を失っとる事は間違いないんじゃろうな。わしの知っとる中将様とちーっと違うし、

所々、違和感がある話し方ではあったからの」

ま、そんなに親しく長く何度も話しておった間柄なわけでもないがの、と秀吉は話す。


確かに岐阜から東、武田方面を担当して岐阜城に長く拠点としていた織田信忠と

浅井、後には毛利の西方面を担当していて長浜、後には姫路を拠点としていた兄が

長々とそう何度も話し込む機会はなかったでであろう。


「ただの」

「ただ?」

「方向は全く違うんじゃろうけどの、上様とおんなじよーなものを感じたわ」

秀長の方を向きながら、どこか懐かしい思い出を話すように、秀長に話す。


「その場しのぎとも違う、なんも考えとらん奴とも違う、明らかに考え、

先が見えとる人間が話しているモノを中将様から感じたのよ。

……その中将様に明確に見えとるもんが、わしにはとんとわからんかったのよ」

「わしが見えとらんもんが、あの御方には恐らく見えとる。見えとる物は恐らく上様とは

違うんじゃろうが、それを感じたのは上様以来よ」

「…それでは、その見えないものを、兄者は」

「わしが知らんものがあるなら、見てみたいのー。見え切ってるものほど、つまらんものは

ないじゃろう?」

の?と言って、秀吉はにっかり笑う。


秀長にとっては正直、見えていて安心できるものの方が好ましくはあるのだが、

兄のその方針に従って間違った試しが今の所ないので、そちらが正しいんだろうな、と思ってる。


「当面、羽柴家は中将様に全賭けじゃ。ただ、今の運営で上手く回るんならそれはそれでええ。

こっちからあれこれ引っ掻き回すつもりも今んとこは考えとらん」

ま、お手並み拝見じゃな、と秀吉は言う。


そう言いながらも、この兄にはそう遠くない未来に、

なにかしらが起こる事を確信しているような感覚を、秀長は感じた。


「万一、中将様の見えているものが、兄者の期待とは違った場合はどうするので?」

「そんときゃ……まぁ…そん時に考えればええわ」

そう言いながらも、秀吉にはその時にどう動くのかがもう見えているようであった。

秀長には、会話の沈黙の間に見せた秀吉の無の表情に、

ぞくり、

と背筋が寒くなるようなものを感じた。


(このまま、何事もなく時が進んでいけばよいものだが……)


…………羽柴秀長のそんな願いは、虚しくも3月ほどしか持たない事になる。


ーーーー織田三七侍従信孝、岐阜にて家臣を粛清。

謀反の疑いにて、織田中将信忠に出頭を指示し、さもなくば追討するとの命を織田政権の名に命ず。

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