3-2
アイラとマイコ―たちの戦いが始まってしまった。
「撃ち込め!!」
「フリーズエッジィ!!」
先手を切ったのはマイコ―たち。
魔術師が氷で礫を作り上げて、それをユニコーンに放つ。
そしてそれを、
『ふん』
アイラは軽快に地面を蹴って避ける。
だが、
「これでも食らうがいい!!」
跳んだ先にマイコ―がいた。
マイコ―は剣を振り上げていて、
「バスターソード!!!」
上段から一閃!
「あぶッ―――」
当たる!!
そう思った。
だが、
『ふん』
またもやアイラは避けた・・・
「あれを・・・」
氷魔法で牽制する。
撃ち込む位置をあらかじめ決めておくことで、ターゲットがそういう風に避ける、というのを想定しているんだろう。
そして避けた先に、強力な一撃を与えられるアタッカーを配置し、一発食らわせる。
避けた直後なら、次の回避に繋げるのは難しい。それを狙った連携。
そこまで仕掛けられたら、普通は避けられない。
普通なら。
だが、アイラは避けた。
「どうなってる・・・!!」
「普通なら当たってるわよぉ!!」
人間なら直撃している連携攻撃だった。
そりゃあ、アイラは神様なわけだから、そう簡単に当たるわけじゃないだろう。
疑問に思うのは避けた方法だ。
俺たちは地面や障害物を蹴ることで動く。足をつける物体がなきゃ、歩くことすらできない。
だが、アイラは空中を蹴ったようだった。
まるで、空中に足場があるかのように・・・
『これがわたくしの神力の一つ。エアステップです』
エアステップ・・・?
『風魔法の一つである』
いつの間にか、アポロが俺たちに最も近い位置にある木に止まっていた。
『アイラは風魔法を得意としている。その中にエアステップがあるのである』
アポロの説明をよそに、アイラはまた空中を蹴って、マイコ―たちと距離を取る。
『エアステップは空気を蹴る神力である』
『目に見えない空気を圧縮させて足場を作り、そこを蹴ることで単なる移動だけでなく、敵の攻撃を避けることができるのです』
なるほど・・・言ってることは分かった。
俺たち人間はどうしても地面や障害物を蹴ったり踏んだりしないと、歩くことも飛び上がることもできない。
だから、連携攻撃を繰り出された場合、一段目を避けることはできても、距離を詰めての狙った一撃を避けきることが難しい。それはモンスターもそうだが、俺たち人はより色濃く出る。
単純な戦闘能力だけじゃなく、特殊な能力を持ったモンスターとの戦いになれば、人間ができないことを平然とやってくる場合だってある。
エアステップ・・・こいつを使えば、空気を蹴ることができるようになる。
単純に足場を作るだけだったとしても、アイラみたく普通の人間ができない位置、状況で避けることもできる。
もっと踏み込めば、避けるための足場じゃなく、攻撃するための足場にもできる。
例えば、相手の攻撃範囲外から移動して仕掛けるとか、攻撃を避けながら距離を詰めるとか。
攻撃を避けやすくなるだけじゃなく、戦術の幅も広がってくる。
こいつを上手く使いこなせば、大型モンスターにも太刀打ちすることができるかもしれない。
「無茶苦茶な回避だな・・・」
「あんなの、なかなか当てられない」
『外野の二人は分かっているようですが』
イケおじとヒーラーは何となく理解しているようだが、
「もっと詰める!魔法をもっと狙って撃ち込め!」
「分かった!」
マイコ―たちは分かっていない。
目の前のモンスター・・・いや、神様にしか目がいってない。
『仕方がありませんね。戦意を喪失してもらうしかありません』
アイラが身に纏う風が、勢いを増していく・・・?
『少年、見ているがいい。アイラの攻撃を』
アイラは空中を駆けながら、
『試してあげましょう』
額の角の光が強く輝いている・・・?
『これを避けられますか?』
顔を小さく振ると、角の光が一本の線を描く。
「うおおおおおおッ!??」
突風が巻き起こった。
それはマイコーを襲い、
「うっ・・・!!」
マイコーを切り裂いた。
剣を地面に突き刺して、マイコーは片膝を突く。
「す、すげぇ・・・」
「一撃で・・・」
突風は一瞬で突き抜けていった。
その一瞬で鎧を切り裂いて、更には肉体にもダメージを与えている。
マイコーの鎧は何かしらの金属製・・・それを簡単に切り裂くわけだし、当然、体も切り裂かれているはずだ。
実際、インナーが赤く染まっていっている。
『これが風の刃・・・サイクロンエッジです』
突風を生み出してぶつける。
その中に刃が複数存在して、それによる裂傷ダメージ。
細切れにするとか言ってたけど、こりゃあなっても仕方がない。いや、なって当然とも言える。
俺が言えることはたった一言。
怖すぎる。




