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ファンタジーな世界ってこんな感じなんですか? ー起こることは現実的で心が折れそうですー  作者: ナツオ


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2-3

「ここがそうか」

「ああ、この辺りがそうだ」


 リーンの森近辺に到着した。


 森に対して境界線みたいなものは張られていないから、この辺りからがそうだっていう認識になる。

 それはある程度、日本も共通するところがある。


 ただ、違う点があるとするなら、

「・・・ジェシカが言うことも分かる気がするな」


 空気感が違う。


 ジェシカが言っていたとおり、森に近寄っただけで違う空気を感じる。

 それが森そのものが発する空気感なのか、ユニコーンが発するそれなのか、もしくは別の何かが発するそれなのかは分からないが、とにかく違う。


 静かすぎる。

 森だからそれなりに生き物がいるもんだと思っていた。だが、鳥の羽ばたきも、小動物が歩いて草木をかき分けて進むような音も聞こえない。

 何と言うか、静かすぎて空気があるのか疑うほど、空気が澄んでいる。


「ジェシカが言うことも分かる気がするね」

「なんだか進入するのを躊躇ってしまいます」

 ヴェロニカたちも何かしら感じ取っている。

「ギャウ・・・」

 人間だけじゃなく、ドッシュも感じる何かがある。

 ただ、

「とりあえず行こう。ゆっくりな」

 ドッシュの背を軽く撫でてやって、進行を促す。

 ここに用事がある以上、引き返すわけにはいかない。

 まあ、俺以外は最寄りのオアシスで待機ってのもできなくはないが、そこまで時間が掛かることじゃないかもしれないし、別行動をわざわざする必要もないかなとも思う。

「アポロ、ここにいるで間違いないよな?」

『うむ』

 間違いないなら、このまま進むだけだ。

「例の人はアポロっていうのかい?」

「ああ」

 人じゃなく、動物だけども。

『話す覚悟ができたようだな』

「そっちもそういうことだ」

 久しぶりだな、二人から話しかけられる感覚。

 ヴェロニカのテレパシーも大概だが、アポロのほうは別の感覚になるから感覚が騒がしい。できれば別々に話してほしいところだが、無理もあるか・・・


「・・・何かいるねぇ」


 森をしばらく進むと、ヴェロニカが何かを感じ取ったらしい。


「モンスターか?それとも別の何かか?」

「後者だね」

「本当にいるのかよ?相変わらず小鳥の一羽もいねぇぞ」

「動物の気配じゃあないよ。もっと別の何か。だからよく分からないわけだよ、ジェシカくぅん」

「何のキャラだよ」


 別の何か・・・

 ヴェロニカのテレパシーでも察知しきれない何か。


 ってことはやっぱり、

『随分早かったわね』

「!」


 空中から何かが飛んできた。

 いや、跳んできた・・・が正しい。


 開けた森の平地にふわりと着地した馬が一頭。

 純白の長いたてがみと尻尾。まるで銅みたいな輝きがある蹄。そして、まるでダイヤモンドみたいな美しい額の一本角。


 こいつが例の・・・


「なんじゃあ、こいつは・・・!!」

「あれは伝説の生き物・・・ユニコーン、では?」

 ドッシュから飛び降りたジェシカが身構える。

 マーベルさんはドッシュの手綱を握ったまま硬直している。

「おー・・・噂には聞いていたけれど、本当にいるんだねぇ」

 ヴェロニカはそれほど驚いてもいないが、それなりに感じる何かがあるらしい。

『あなたがアルテミナ様がお認めになった少年ですね』

「どうやらそうらしいです・・・」

『完全に認めている、というわけではないが』


 ふと体から何かが抜けた感覚が走った。

 力が抜けた・・・とかじゃない。例えるなら、両肩に乗っていた石が取れた、みたいな感じ。


『あら、あなたも姿を見せて良いのかしら?』


 アポロだ。

 アポロが姿を見せて飛び、ユニコーンの背中に乗った。


『ここまで来れば、見せようと見せまいと一緒であろう。少年は話すことを決めているしな』

『それはそうね』

「なあ、あたしらは置いてけぼりなんだが?」

「分かってる。分かってるんだが、今は我慢しろ。後で話してやる」

 ワケが分かっていないジェシカたちが置いてけぼりになるのは仕方がない。

 だが、今はこっちの都合を優先させてもらう。

「アイラ、と呼んでもいいのかな?」

『よろしくてよ』


 ユニコーン・・・アイラとの対話を図る。


『あなたのことはアルテミナ様から伺っています』

「なら、話が早くて助かりそうだな」

『でも、できればあなたの口からお話は聞きたかったですね』


 なんというか、こう言っちゃあ何だが、マジで話しやすい。


 始めの頃のアポロはまあまあ酷かったし、アイオロスに関しちゃ話にならないレベルだった。

 今でこそアポロは俺の味方をしてくれるようになったし、アイオロスはちょっと話ができるようになった程度で、当たりは相変わらずキツイ。


 アイラはアイラで何かしら思うところはあるんだろうが、それにしても話しやすい。

 たぶん、気を遣っているか、歩み寄ってくれているか、それに近い何かなんだろうが。


「アルテミナに会うように言われててね。こんなにあっさり会えるとは思わなかったけども」

『住処から少し出てきましたからね。本来なら奥にいますよ』

『しばらくこの辺りで滞在することになる。この人数が滞在するのにちょうどいい場所はあるか?』

 話が長いと思ったのか、アポロが話を進めようとしている。

『あなた、いつの間にそんなにせっかちになったのかしら?』

『せっかちになったつもりはないが、人の子らにも事情があるからな』

『それもそうね。では・・・』

 ユニコーンは踵を返して、

『もう少し奥に行きましょう。水場がある場所のほうが良いでしょう』

 気を遣えるほうなんだな、アイラは。伝えてないが、こっちに必要なことをよく分かってる。

『言いたいことがあるのなら聞くが?』

「いや、別に何も」

 アポロめ。お前もテレパシー持ちか?それとも神様連中はみんなこうなのか?

『さあ、行きましょう』

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