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「何で急にリーンの森なんか行くんだよ。ったく」
「悪いな、急用だ」
次の日、アルテミナの指示のとおり、リーンの森を目指してドッシュを飛ばした。
アルテミナの件は今も皆に伝えていない。
ヴェロニカはテレパシーで違和感を覚えていることもあって、何となく気付いているように思えるが、マーベルさんやジェシカは全く気付いていない。
アポロは隠し通せそうでなければ伝えてもいいと言っていた。昨日の接触の際にアルテミナにも同じことを確認してみたが、指示の発信源なだけあって同じ回答だった。
マーベルさんとジェシカならともかく、ヴェロニカはすでに勘付いている。
だったらもう伝えてしまったほうが楽な気もするし、協力してくれるかもしれない。
ただ、伝えるとしたら、どういう風に伝えればいいのか・・・それが分からない。
「まあ、良いではありませんか。リーンの森にも資源はあるでしょうから、立ち寄ったついでに採取しておけば商品にすることもできますし」
「あんたはいいよなぁ、お気楽で」
「そんなに気楽に見えます?」
「十分見えるわ」
商売の鬼と脳筋ガールは微妙に相性が悪い・・・いや、逆にいいのか?
よく分からんな。
「キリさん、またよく分からない誰かさんの都合かな?」
今も赤ん坊は気付いている。
「・・・後で話そう」
どうやって話すかまだ決まっちゃいないが、
「分かった。それまでは黙っているよ。皆にもね」
「悪いな」
ここまで来たら、多少ぐちゃぐちゃでも話そう。
でも、それは今じゃない。どこかで腰を据えてじゃないと落ち着かない。それこそ、コーヒーの一杯でもなきゃ。
「そう言えば、リーンの森には何かあるのか?」
目的地だけ分かっている。
ただ、そこがどういうところなのか分からない。
「リーンはだだっ広い森だよ」
「規模が広いだけか?」
少なくとも神獣がいる森だ。規模が広いってだけじゃあないと思うが。
「広いこた広いんだが・・・」
「だが?」
「誰も寄り付かない」
「・・・ほう」
誰も寄り付かない、か・・・
「あたしもボルドウィンに向かう途中に立ち寄ったんだけど、独特な雰囲気なんだよ」
「例えば?」
「何て言うか、静かで空気がやたら綺麗で・・・まるで別の世界みたいなんだよ」
行ってみないと分からないが、なんとなく分かる。
厳かというか、神聖なというか。そういう森は地球にもあるだろう。
森そのものがそういう雰囲気を持っているのかもしれない。
「中まで入ったことはないけど、入ることに躊躇っちまうんだよな・・・」
脳筋でも感じる空気があるのか・・・
ってことは、森だけじゃなく、神獣が醸し出す雰囲気もあるんだろうか?
「とにかく、今回は俺に付き合ってくれ。特に危険なことはないだろうから」
「分かった!」
「もちろんです」
「しゃーねぇな」
あとちょっと走れば森の近くに着くらしい。
ユニコーン・・・そいつはどんなヤツなんだろうか?




