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ファンタジーな世界ってこんな感じなんですか? ー起こることは現実的で心が折れそうですー  作者: ナツオ


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2-1

「・・・おっ」


 目が覚めると、見覚えがある場所にいた。


 ここは精神の中だ。


 ドッシュで淡々と移動を進めた俺たちは、陽が落ちる前に野営を行うことを決めて、程良く身を隠せそうな森を拠点とした。

 タープでテントを作って焚火をして食事を取り、休息とした。


 火の番をジェシカに任せた俺は早々に寝付いたわけだが、精神世界にいるってことは神様連中に呼ばれたということになる。

 別に嫌なわけじゃないが、ゆっくり寝たかったんだけどなぁ・・・と思わないでもない。


「久しぶりだな、キリヤ」


 奥からアルテミナがやって来た。


「全くだな」

 アポロとアイオロスとばかり会っていたし、実際会う回数は少ない。

 別に嫌味を言ってるわけじゃないんだが、そういう表現になってしまうのは仕方がない。

「今日は一人か」

 梟とオオカミが一緒だと思っていたが、

「うむ。二人にばかり任せていたし、私も話しておかないとと思ってな」

「そりゃまたご苦労なこった」

 アルテミナなりに気を遣ってるってわけだな・・・

「で、今日はどうした?」


 何かしら目的がないと、精神世界に呼ぶことはないだろう。

 神様連中も忙しいだろうし。


「うむ。先のアイオロスの課題の件を少し」

「・・・うぅむ」


 あの件か・・・


「先に言い訳させてもらってもいいか?一応、俺もそれなりに努力してるつもりなんだよ?でも相手が悪いって」

「いや、そういうことを言いたいわけではなくてな」

 てっきり大型モンスターの一頭や二頭、瞬殺できなくてどうするって話だと思ったんだが・・・

「ここ最近の君の取り組み、成長に関しては私も認めている。よくやっているほうだと思っている」

「ほう」


 意外と認めてくれている・・・?

 アポロはともかく、アイオロスがアレなもんだから、アルテミナも同じもんだとばかり思っていたが、思いの外評価してくれているようだ。


「実際、人の子が大型モンスターを一人で倒す・・・というのはかなり難しい課題であることは確かだ。なにせ種類によっては特殊能力を備えているし、討伐するための能力を備えなければ永久に倒せないものもある」

「・・・ええ???」


 特殊能力を備えている種類・・・フォレストドラゴンなんかがそうだ。

 ただ、永久に倒せないってことはない。

 実際、ヴェロニカがあっさり倒してしまっている。まあ、ヴェロニカじゃなきゃ簡単に倒せるもんじゃないし、仮に俺でもやろうと思えば倒せる。今の実力じゃ無理・・・っていうより、そもそも無理ゲーだとは思うが。


 永久に倒せないモンスターなんかいるのか・・・?

 フェニックスとかがマンガとかゲームだとそういうのに該当するモンスターのような気がするが、この世界にもそういうのがいると・・・?


「まさか、そういうのを倒せっていうわけじゃないよな?」


 フェニックス、もしくはそれに近しい存在がいるとして、それを倒すことを課題とするなら、無理難題を押し付けるようなものだ。

 無理なことは無理。それはきっちり言っておかないと、こっちの命がいくつあっても足りない。


「いや、そういうことではない。そういう存在がいることも確かだが、倒す手段はある」

「ほう」

「そういう風に下界は作られているからな」

 ・・・作られている、か。

 また微妙な表現だ。

「今回はそういうことではない。アイオロスのスキルを得るための参考として、とある神獣に会ってもらいたい」

「神獣に会う?」


 どういう風の吹き回しだ?


 神獣ってのはアポロやアイオロスみたいな存在のことのはず。

 あの一羽と一頭はアルテミナの側にいる、一種の神様。下界にいることはないように思えるが、また別の種類の神様がいるのか・・・?


「その者の名はアイラ。ユニコーンと言えば君にも分かるかな?」

「ああ、それなら知ってる」


 ―――ユニコーン。

 日本・・・いや、最早世界標準と言ってもいいくらいの超有名どころだ。

 人によって解釈やデザインは違ってくるところだろうが、基本的には額に長い角を持っている馬だ。何かしら魔法、もしくはそれに属する能力を備えている場合もあるだろう。

 神聖な存在であったり、強大なモンスターであったり、描かれ方はケースバイケース。


 そんな存在が地上にいるのか・・・


「アイラには地上の監視役としてリーンの森に滞在してもらっている」

「監視?」

「先に話したあの男の件もあるし、地上の秩序を見守る必要もあるからな」

 アルテミナたちが追っている頭のおかしいヤツだけじゃなく、幅広く見守っているようだ。

 それがアイラっていう名前のユニコーンの仕事・・・ってことか。

「アポロたちとは別の神獣ってことか?表現が合ってるかは分からんけど」

「いや、基本はそう変わらない。私の加護を受けているからな。今はアポロやアイオロスではなく、アイラに任せているだけだよ」

 時にはアポロ、もしくはアイオロスがその森に遣わされるのか。

 イマイチ、アルテミナとその神獣たちがやっていることが分からない。永久に分かることでもないんだろうが・・・

「そのアイラに、戦い方の指導をするよう命じてある」

「いつの間に・・・」


 アポロとアイオロスもそんなことを一言も言ってなかったよな?

 何なら、アイラとやらの存在も一言も口にしてなかったけども。


「君と初めて接触したあの時にはすでに地上に向かわせていたからな。精神世界で会うことはなかった」

 どおりで知らないわけだ。

「無論、アポロたちも私の神獣だ。信頼している。だが、全てのスキルを知っていて教えられるわけでもない」

「それぞれ得意なことが違うのか」

「それもあるが、能力をある程度分散しておけば、何かあってもいくつかは残る」

 神様でもリスク管理をしているのか・・・

「地上にいる以上、人の手で倒すこともできる。いくら神獣であっても、致命傷を負えば命を落とすのだ」

 天上と地上・・・世界が違うと、神獣でも生死に関するルールが変わるのか?

 結構複雑な世界だな、ここは・・・

「あの二人は納得していることかい?」

「アポロは問題ないが、アイオロスは多少な・・・」

 やっぱりあのオオカミは納得していないのか・・・

 そもそも、俺と接触することすら嫌がってたし、想定の範囲内だと言えばそうだが。

「というわけで、リーンの森に向かうといい。まだ進行方向の修正はできるだろう」


 リーンの森は首都からまっすぐ北上した先にある。


 今はノマドっていう港町を目指しているから北西気味に移動しているが、リーンの森は首都の北に位置している。

 戻ろうと思えば修正は可能だ。


「分かった。まあ、どうにかしてみるわ」

 何せ、この話はここだけの話・・・

 適当な理由をそれなりに考えておかないと、遊びに行こうとしているとか勘違いされるかもしれない。

 明日、上手いことするか。

「すまないが、頼むよ。可能な限り、助力できるようにしているからな」

「だったらアイオロスをもうちょっとどうにかできないか?アレはアレでなかなかキツイぜ?」

「彼は彼でなかなか良いヤツなのだが、好みが出過ぎている。注意しておくよ」

 まだ注意してないのか・・・アレはアレで問題だと思うんだけどなぁ。


 まあ、アイオロスの件はいいか。そこそこの付き合いになるから、それなりに慣れてきてるし。


 リーンの森と、そこに住む神獣のアイラ・・・

 アイラはどんな特訓を俺にしてくれるのか・・・今から不安だ。

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