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「なるほどな・・・」
「本当に分かってるのか?」
「バカにすんなよ?あ?」
ヴェロニカの魔法の洗礼を受けたジェシカ。
ただし、直撃はしていなかった。
さすがに直撃はマズいと思ったヴェロニカが、爆風を浴びせるような場所を狙って砲撃。地面にフレアバレットを当て、爆風をお見舞いする。
その攻撃を受けたジェシカは、咄嗟に両腕でガードしたものの、ダメージは避けられなかった。
それをお得意の回復魔法で治癒する。
この流れでヴェロニカが危険人物である・・・と認識したようだったが・・・
「ってかまあ、それとなく気付いてはいたんだけどな」
「・・・そうなのか?」
あれ・・・?気付かれてた?
気付かれないように細心の注意を払っていたはずなんだが・・・?
「いや、魔族だとかそういう細かいことまでは分からなかったけどな。お前が子供と話してるところを見たからよ」
「いつの話だ?」
「首都に着く前くらいか・・・?野営中に火の番をしてただろ?その時にな」
そういうこともあったか。
「あの時かぁ。油断したねぇ」
たまたま二人で起きていた時・・・
周りは寝ていると思って油断したんだろう。
俺は何となく現場の雰囲気を見て、寝静まっているかどうか確認するくらいだが、ヴェロニカはテレパシーで確認はしていたはず。
「らしくないじゃないか」
「いやー、寝起きだったこともあるけれど、もう寝てるだろうって思い込んじゃったんだろうね」
深夜帯であったこと、野営が続いて疲れているだろうと思ったこともある。
そういうことに気を遣っているヴェロニカが抜けるくらいだから、お互いに疲れていたのかもしれないな。
その結果、二人目の犠牲者が出たわけだが・・・まあ、怪我は大したことないし、こいつはそういうことで折れるタイプじゃないからいいか。
「っていうかおかしいと思ってたんだよ」
ジェシカがそんな風に切り出したので、
「何がだよ?」
「キリヤが一人で大型モンスターを狩れるわけねぇと思ってたからよ」
こいつ・・・!
確かにその通りではある。
ぐうの音が出ない。
あんなバケモノ、そう簡単に倒せるわけがない。複数人で挑むならまだしも、たった一人で狩るとか、そんな簡単にできることじゃない。
ヴェロニカみたいに地力があるようなヤツならまだしも、俺みたいな圧倒的な戦闘能力を持たない、平凡な人間には到底無理。
単純な戦い方をする相手ならまだしも、フォレストドラゴンみたく、魔法の力で木々をコントロールするような、人知を超えた相手なら余計に無理。
そう考えると、やっぱりヴェロニカが規格外・・・いや、魔族が規格外なのか?
全員がヴェロニカみたく強いなら当たり前なんだろうが、本当にそうなんだろうか・・・?
いや、魔族はこの世界の上位種だって話だったはずだが、その中でも特殊な例ってことはないのか?
一般的にはちょっと優れている程度で、ヴェロニカは圧倒的な能力を持っている、とか・・・
それを今考えたって、分かるはずもないんだが、思ってしまった故に気になる。
「ガノダウラスを倒すのだって相当苦労したし、ヴェロニカ・・・だっけ?こいつがトドメを差さなきゃあたしらは全滅しただろ」
こいつはこいつなりに分かってるようだ。
ただ単に殴りに行くだけの脳筋ガールじゃないってことだな。
ちょっとだけ安心した。
「というわけだから、わたしのことは大人として認識してもらっていいけれど、見た目がこの通りだから、行く先々で注意するように」
「何でお前に指示されなきゃなんねぇんだよ」
「それが君のためでもあるからだよ」
「ジェシカ、黙って言うこと聞いとけ。悪いことは言わねぇから」
何より、我々全員の安全に繋がる。
「俺たちと一緒に行くなら尚更な」
「・・・分かったよ」
何度も言うようだが、これはマジで重要なことだから何度も言わせてほしい。
赤ん坊が圧倒的な戦闘能力を誇る・・・これが広まれば、何が起こるか分からない。
ちょっとした便利屋扱いくらいならまだいいが、先のシルフィ首都みたく戦闘や政治に巻き込まれると行動に制限が掛かる場合もあるし、何より余計な因縁や恨みを持たれかねない。それがその辺のチンピラとかならまだしも、国の上になると面倒を通り越す。
実際、狩猟祭の一件が良い例となった。
ガーベラさんやオニキスに悪意はなかったように思える。
ただ、敵対相手がマーガレットで、汚い手を使うことも厭わないタイプだった。そういったタイプと相対することになれば、嫌でも目に留まる。
ヴェロニカの思惑に巻き込まれて表立って考えを公表することになってしまったが、これも騒ぎを大きくする原因でもある。
今回の場合は特異なケースだったことは間違いないんだが、政治関係に巻き込まれると、余計なトラブルに巻き込まれることがよく分かった。
余計なことをしないし、トラブルに巻き込まれない。
これは俺たちに限らず、この世の全ての人間に適応することだと俺は思う。
「で、これからどうするんだ?どこかに行く予定でもあるのか?」
「最終的にはビューラ大陸に行く予定だ」
「随分遠いな」
「そういう目的の旅だからな」
だから首都での足止めは結構効いたわけだが、そもそもガーベラさんたちと関わらなきゃ目的地も定まらなかったわけだし、仕方がない一面はある。
まだ終わっちゃいないが、アイオロスの件もあるし・・・まだまだ課題は多いなぁ。
「とりあえず、港町を目指す。明日から可能な限り移動に当てるぞ」
ガーベラさんから貰った報酬はかなりの額だった。
しばらくの旅費に当てるとしても有り余るレベルだから、お金を稼ぎながら移動する必要はない。まあ、マーベルさんは不服かもしれないが・・・
「ところで、君の目的は何なんだい?」
・・・そう言えば、ジェシカの目的を聞いていなかった。
「わたしたちの目標も教えたし、君のことも教えてもらわないと、色々困るでしょ?」
特に目的がない、ただの武者修行だっていうなら話は別だが、こいつはこいつなりに何かしら目的があって動いているはず。
同行するっていうなら、聞いておくほうがいい。
全てを共有する必要はないにしても、時と場合によっちゃあ優先順位を考えることになるだろうし。
「・・・人を探してる」
「お前もかよ」
まさかの人探しとはなぁ・・・




