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ファンタジーな世界ってこんな感じなんですか? ー起こることは現実的で心が折れそうですー  作者: ナツオ


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5-1

 翌日。


 投票が始まった。


 投票自体は粛々と進んでいるらしい。

 昨日の所信表明の場ではケンカ騒ぎが起こっていたようだし、投票日も何かしら騒ぎが起こるだろうと思っていた。

 ところがそういうわけでもないらしく、一部で騒ぎが起こっているようだが、大半は問題を起こさずに投票しているようだ。


「はぁ、やれやれ」


 俺は宿屋の自室で待機している。


 ジェシカとリオーネは地元だが、俺たちには投票権はない。

 じゃあフリータイムなわけで、街をぶらついたり、気になったレストランやカフェに入ったり、それこそ次の旅の準備に当てるとかもできるわけなんだが、所信表明の場でのトラブルが原因で、ガーベラさんから外出禁止令が出されてしまっている。


 ああいう展開になってしまったことは申し訳ないと思っちゃいるんだが、正直に言えば俺も巻き込まれた側なわけで、その辺りを考慮してもらいたいものだ。


 まあ、ガーベラさんが不利をひっくり返す何かしらの策を用意していて、それがオシャカになって、しかも立場まで危うくした・・・っていうなら話は別なんだけど、何か用意していたようには見えなかったんだよなぁ・・・


「まあ、ゆっくりする時間が取れたっていうことにしておけばいいじゃない」

 例のごとく、ヴェロニカとマーベルさんが来ていた。

 二人は特に制限を設けられていなかったはずだが、俺に付き合ってくれているのか・・・

「狩猟祭でそこそこ消耗しているだろうし、演説の日も精神的にしんどかったでしょ?ゆっくりする時間も大切だよ」

 まあ、体力的にも精神的にもしんどいのはあるか。

 特に精神面・・・演説の日は結構ストレスを受けたからなぁ。

 あれの場合は自分キッカケだったとは言えど、ストレスはストレスだよなぁ。

「表を出歩くと事件に巻き込まれる可能性もありますからね」


 良くも悪くも有名になっちまった。

 下手に出歩いて面倒な輩に絡まれでもしたら、それこそ面倒になっちまう。

 俺だけの問題で済むならそれでもいいっちゃいいんだが、今はガーベラさんの関係者なわけだし、余計な騒ぎは起こさないほうがいいだろう。まあ、もう大概騒ぎは起こしてるから今更だろうが・・・


「モンスターの解体を依頼するわけにもいかないし」


 協会自体は普段どおり運営しているらしい。


 狩猟祭の件があって相当忙しかったはずだが、ガーベラさん曰く、

「モンスターの鑑定が基本の仕事じゃからな。それさえ終われば通常営業じゃよ」

 だそうだ。


 まあ、あくまでも中立的な組織だし、狩猟祭に関わっても鑑定だけなら、大した仕事じゃないんだろう。

 寧ろ、狩猟祭が終わってからが本番ってところだろう。

 何しろ、相当な数のモンスターを不特定多数が倒してるわけだし、その解体となれば人員も時間も必要だ。

 そんなところに大型モンスターを数体放り込めば、他の依頼も滞る。他の連中のことはどうでもいいとしても、俺たちもここに留まることになるし、今は解体を避けるべきだろう。

 狩ったモンスターの素材に用事があるわけでもないし、目的地に向かって移動もしないといけないわけだしな。


「結果が出るのは明後日の夕方か」

 投票結果と発表がそのくらい。

 ガーベラさんが女王になれるかどうか気になるが・・・

「まあ、やれることはやったし、後のことはわたしたちはどうでもいいことだからね」

「それはそうだけど」

 関わった以上、気にはなるよなぁ。

 その結果が惨敗だったとしても。

「そう言えばヴェロニカよ」

「何だい?」

「昨日のアレ、本気で困るからやめろよ」


 アレとは、俺の声を会場全体に広めたことだ。


「ああ、あれはもう必要悪みたいなものだよ」

「言いたいこた分かるけど、ターゲットにされる身になれよ」


 あくまでも俺が思ってることで、気持ち的にはあの場だけの、所謂オフレコみたいな発言だった。

 それを勝手にオープンに・・・しかも会場全体に広められると誰が思うだろうか?


 あれがキッカケで場が荒れたこともあるし、俺自身も危険な立場に立たされることになった。

 ガーベラさんの切り返しに一役買ったみたいなところもあるが、それは結果論に過ぎない。

 下手すりゃ落ちるキッカケにもなった。

 ああいう危険は冒すべきじゃない。


「この国の住人たちの目を覚ますためには、多少強引でも現実を突きつけなきゃいけないかなと思ってね。凝り固まった思考を変えるために、キリさんに悪役になってもらったみたいなものだよ」

「言いたいこた分かるけど、俺の身になれよ」

「だったら黙ってたら良かったじゃない?」

「う、ううん・・・」

 そりゃあ、わざわざ口にすることでもなかったっちゃあそうなんだけど、言いたい時ってあるじゃん?それを勝手にオープンにされるのは別問題のような気が・・・

「・・・とりあえず、今後はああいうのはやめてくれ。さすがにちょっと納得がいかん」

「わかった」

 またやらかされたら困る。行く先々でトラブルになるのはごめんだ。

 とりあえず釘をさしておくとして、

「装備の手入れでもしておくか」

 やることは大してないから、ナイフを研いだり、チェストリグとかベルトの洗濯を出してもいいか。

「急ぎの用事があれば、私が出てきましょう」

「じゃあ、適当な服を見繕ってもらってもいいですか?」

「分かりました」

 結構激しく使ってるから、くたくたになってきている。

 この期間で新調しておいて、別の道具を作ってもいいだろう。


 俺がやれることはもうないし、今は結果が出るのを大人しく待つとしますか。

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