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ファンタジーな世界ってこんな感じなんですか? ー起こることは現実的で心が折れそうですー  作者: ナツオ


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4-7

「あのガキを引きずり下ろせ!!」

「逃がすな!!」

「貴族たちは何やってんだ!!さっさと捕えろ!!」


 会場は大盛り上がりだ。

 いや、盛り上がってるどころの話じゃない。

 発狂・・・狂乱?


 一方で、

「よくよく考えれば、言ってることは分かる」

「仕事しなくても二百万フォドルも支払われてるなんて知らなかったし!!」

「俺たちは現実逃避していたのか・・・」

 現状を理解している層がいる。


 巻き込まれる形でとんでもない展開になっているが、この流れは・・・ワンチャンあるか?


 もしかしたらマーガレットを倒すことができるかもしれない?


「あ?何を納得してるんだ、お前」


 ん?


「納得しきってはいないけど、考え直すキッカケにはなるんじゃないか?」


 んん??


「考え直すだと?何も考える必要はないだろ」

「今のこの国がどういった状況なのか、考える良い機会だろ」

「良い機会も何も、マーガレット様がおっしゃっていたことが全てでしょ?」

「全てじゃないからああいう話が出てくるんじゃない?」


 んんん???


「お、そこにいるのはヒト族じゃないか?」

「まあ・・・そうだがよ」

「お前も傭兵か?」

「ああ、その人は傭兵だよ。あたしの店に装備つけて入ってきたからねぇ」

「お前もあの子が言うような役立たずか?」


 おいおいおいおい、どういう展開だ、こりゃあ。


「バカなことを言うな!俺らはお前らのために体張ってんだぞ!!」

「その割に傷一つないじゃないのさ?」

「お前、狩りにも出ても何もしてないんじゃねぇのか?」


 こりゃあ一歩間違えれば一触即発じゃないか・・・

 確かに焚きつけたって言えばそうかもしれないんだが、誰がこんな風になると思う?


「何もしてねぇわけじゃねぇよ!!」

「じゃあ証明してみせろよ!!」

「だったらお前らこそ戦場に出ろってんだ!!出たがらないのはお前らだろ!!」

「好き放題言ってくれるじゃないか!!」


 俺も考えなかったわけじゃあないが、高校生一人の意見でこんなになるわけないって思うじゃんか。


「ああー、もう、メチャクチャだよ・・・」


 会場のあっちこっちで騒ぎになってる。

「これはすごいことになってきたねぇ」

「参考までに、どうなってます?」

「言い合い程度で済んでるところもあるけれど、ケンカが始まったところもあるねぇ」

 最早、騒ぎどころで済まないか・・・

「さっさと小僧を捕えなさい!!」

 会場も大概だが、こっちはこっちでマズい。

「大人しくしてもらおうか、ガキども!!」

 さっさととんずらかまさないと・・・


「皆さん、落ち着きましょう」


 ・・・ガーベラさん?


「私の協力者の発言に驚いたことでしょう。この場を騒がせてしまい、申し訳ありません」

 今まで沈黙していたのに、急にどうした?

 ステージの中央に移動して、

「ですが、目を背けず、目の前の現実を見てみませんか?」

「国家転覆でもする気か!!」

「ある意味正しいことです」

 そりゃまあ、確かにそうだ。


 ガーベラさんは次の女王になろうとしている。

 現女王を蹴り飛ばして。

 選挙を経ているから正式な手続きを踏んでいるとしても、ある意味では国家転覆と同じことかもしれない。


「ですが、国を変えるということはそういうことです」

 開き直るっていうより、肯定するって感じか?

「この現状に不満を覚え、疑問を抱く。心のどこかでおかしいと思っても、我々は目を背けてきた。この結果が今のシルフィであるということを、我々は理解しなければなりません」

 俺が焚きつけた内容をベースに話を進めていく、か。

「美しさを否定するつもりはありません。我々はどこかで他種族にはないこの美貌に、どこか誇りを持っていたのでしょう。それが法律として制定され、長く縛られることになってしまった」

「ジェシカは自分の美貌に誇りを持ってるのか?」

「うるせぇ、殴るぞ」

 このリアクションはどっちだ?持ってるのか否か?

「ですが、もう十分に首は締まったと思いませんか?」


 大した効果のない軍拡のための増税。

 外から不特定多数を入れ続け、トラブルを起こしても罰則されることもないために増長する傭兵たち。それらによって乱れる風紀。増える犯罪。


 挙げりゃあキリがないだろうが、外国の・・・正確に言うと異世界から来た俺でも違和感があったわけだし、地元の人間ならそれなりに体感したこともあったろう。

 逆に地元故に慣れ過ぎたこともあるんだろうが、

「これを機に、みんなで考えていきませんか?」

 考えるキッカケは生まれた。

 あとは、

「私を選べとは言いません。もし仮に選んでいただけたなら、私は可能な限り声をいただき、この国をより良く変われるよう、尽力致します。どうか皆さま、清き一票をよろしくお願い致します」

 ガーベラさんは深く頭を下げた。


 いつの間にか観覧席を含めた会場の殺気が収まっていた。


 そして、ちらほらと拍手が。

 一つ、また一つと拍手が起こり、どんどん大きくなっていく。


 場の空気が変わった。

 殺気立っていたこともそうだが、マーガレット優勢だった環境を自分に引き寄せている。


 これがカリスマというヤツか・・・

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