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ファンタジーな世界ってこんな感じなんですか? ー起こることは現実的で心が折れそうですー  作者: ナツオ


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177/219

4-1

 狩猟祭と後夜祭が終了した翌日。


 いよいよ選挙が行われる。


 初日。中央広場に設置された特設ステージで、次期国王に立候補する候補者がマニフェストを発表。

 その後の三日間で投票が行われる。


 この合計四日間で、この国のしばらくの未来が左右される。


 他の国がどうかは知らないが、日本は長期政権になりづらい傾向がある。

 だが、この国は十数年、下手をすれば数十年続く可能性がある。


 その原因はたった一つ。

 美しい者が統治する。この法律が根強いからだ。


 日本を含めて、地球じゃあ見ない法律だ。

 この法律がシルフィ王国を長く縛っている。


「律儀に聞きに行くんだね」

「ま、関わってるからなぁ」

 俺たちは演説を聞きに中央広場に向かっている。

 ジェシカやリオーネはともかく、俺たちはここの国民でもないし、投票権がない。

 だから聞いても聞かなくてもどっていでもいいわけだが、一度関わった故に気にはなるし、ガーベラさんには宿と飯、装備関係で世話になった。

 狩猟で力を貸したにしても、生活で世話になったわけだし、最低限はしておきたい。


 それに美しい者が統治する法律・・・こいつがガーベラさんの首を絞める。


 俺からしたらガーベラさんとマーガレットも美しさに大差ない。

 ジェシカからしたら差が大きいらしいが、ぶっちゃけ俺からしたら大差ない。

 エルフ族の美意識的に、どうしてもそこに差はあって、埋められないらしい。


 いくら狩猟祭で勝利したとしても、この法律を崩さないことには勝てるかどうか怪しい。

 今はただ、狩猟祭の結果と普段の成果、マニュフェストに賭けるしかない。


「キリヤ殿」

「ん?」

 女性に呼び止められた。

「えーっと・・・どちらさん、かな?」

 見覚えのない子だ。一方で声は聞き覚えがある。

 呼び方からして、そこまで近しい子じゃないと思うが・・・

「すみません、私服故に分からないですよね」

 女の子は小さく笑って、

「レナです」

「・・・おお、あの」

 オニキスの配下で、キャンプ地で世話をしてくれたあの子か。

「悪いね、気付くのが遅れて」

「いえ、お気になさらず」

 黒い装束で顔を隠していたし、見た目で気付くのは難しいだろう・・・

 あまり気にしてなさそうだが、一応謝っておく。

「それより、どうした?仕事かい?」

「キリヤ殿たちを関係者席に案内するよう、ガーベラ様から指示を受けておりまして」

「あれ?今日、俺らが身に行くこと言ってたっけ?」

「いえ、きっと来られるだろうから、ということです」

 そこまで読まれてたか。さすがはガーベラさんだな・・・

「それにしても、よく見つけたな」

「オニキス様が見つけられたので」

 ・・・あの男、俺らを追跡してるのか?監視カメラでも付いてるのか?

 いや、それはもう慣れたもんだが、それにしても仕事し過ぎだろ。

 俺たちを見つけるとかまでやるような立場じゃないだろ、あの男は・・・

「こちらです」

「おう」

 まあ、落ち着いて見られる席だろうし、断る理由もないし、ここは乗っておくか。

「どうぞ、こちらでご覧ください」

「おっ、おう、おう・・・」


 通された席はなかなかの席だった。


 結構お歳を召した方々。この方々は恐らく大臣たちだろう。ガーベラさんたちと初めて会った時、謁見の間にいた顔がちらほらいる。

 かなり綺麗な格好をしたおじ様、おば様方。宝石とか貴金属を着用しているし、こっちは貴族みたいなもんだろう。


 こんな席で俺たちは聞かなきゃいけないのか・・・


 どこのどいつだ?みたいなリアクションは分かるんだが、中には俺がしたことを把握してるヤツもいる。大臣たちもあまりいい顔をしてない。

 明らかに歓迎はされてないことは俺でも分かる。


「うーん、なかなか視線が痛いねぇ」

「なあ、俺たちは適当なところで見るよ。せっかく席を準備してもらって悪いけど」

 周りのことなんかお構いなしのヴェロニカでさえコレだ。

 ガーベラさんには悪いが、こんな空気の悪い空間で聞くのはきつ過ぎる。

「大丈夫です。ぜひ、こちらでご覧ください」

「いや、大丈夫じゃねぇよ?」

 頑なに退席を拒むな、この子・・・

「リオーネなら大丈夫だろ。テメェはイイとこの子なんだからよ」

「バカ言わないでよ。末端の私のことなんか誰も知らないし」


 どうやら、退席ってルートはないらしい。

 ガーベラさんの指示だから守ろうとするのは分かるが、それにしても頑固すぎる。

 何かしら指示が出てるとしたら分からなくもないが、俺たちをここに座らせる理由は何だ?特にメリットなんか無いのに。


「おいジェシカ、余計なこと言ってないで座れ」

「あ?何でテメェに指示されなきゃいけねぇんだ?お?」

「チンピラかオメェはよ。何でもいいから空気読んで座れ」

 とりあえず、ジェシカを黙らせて、傍観してりゃあ問題はないか。

 いや、問題ないわけないんだが、一時間そこそこで終わるだろう。


 何のトラブルも起きずに終わってくれりゃあ御の字なんだが・・・どうなるかなぁ?

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