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ファンタジーな世界ってこんな感じなんですか? ー起こることは現実的で心が折れそうですー  作者: ナツオ


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2

「ふむ・・・やはり厳しかったか」

「申し訳ありません」


 大型モンスターに挑んだが、勝てなかったか。


「我々が能力を与え、ある程度使いこなせるようになっていたとは言え、この体たらくです」

「言い訳のしようがありません」

「いや、構わない」


 アイオロスとアポロがそれぞれスキルを与えている。それは連絡を受けて把握していた。


 時間が許す限り、キリヤの様子を見ていた。

 本人も前向きに技術の習得に取り組んでいたことも分かっている。

 だが、今回はそれが結果に繋がらなかったというわけだが・・・


「元々、戦うことに秀でた子ではない」


 神故に、召喚する人間がどういった素質があるのかが見える。

 素質を見た上で召喚している一面もある。


 長く住んでいた世界から、全くの別世界に召喚する。

 言葉は分かっても書くことはできず、似た物はあっても別物ばかり、極めつけは獰猛なモンスターの存在・・・戦わなければ己を高めることができない世界で、文字や食べ物はどうにかできても、狩猟は避けられない。

 故に高い戦闘能力を求めるわけだが、残念ながら全員が適しているわけではない。


 キリヤの場合、能力が別格というわけではなかった。

 本人の能力的には平凡より少し上といったところではあった。


「以前説明した通り、あの子は戦闘能力よりも生き抜く力のほうが高い」


 それでもあの子を選んだ理由は、生きる技術を持っているからだ。


 もちろん、専用の道具を要することもあるだろうが、一人で山の中にいたとしても、雨風を防ぎ、陽を起こす技術を持つ。

 ナイフや斧を巧みに使うこともでき、道具に対する知識も備わっている。


 あの子の世界では野営と言うようだが、遊びではあっても、それを使って生き延びることができる。


 それが私にとって最も重要なのだ。


「自分の見解になるのですが」

「うむ」

「少年は経験を積めば十分に通用すると思っています」


 単純な戦闘能力は平凡でも、伸びしろはあるように思える。


「武器の使い方や戦い方は鍛える必要はありますが、スキルの知識は相応に持っているようですし、習得期間も思ったよりも短い。それなりにできるほうだと思われます」

「・・・確かに」


 単純な狩猟技術は大したことはなくても、スキルに対する知識と習得に関しては良いほうではある。


 恐らく、知識は元いた世界でそれなりに通じるものがあるのだろう。

 知識はあっても、習得に要する時間は別の話ではあるが、そちらもどうして悪くはない。


 回避性能は発動にコツがいるスキルの最たるものだ。発動のタイミングを理解するところから始まる。

 タイミングは理解できても、発動させられるかと問われると話は変わる。

 あれは対峙する相手の攻撃に合わせる必要がある、対の先のスキルだ。早すぎても効果がない回避になり、遅すぎても攻撃を受けてしまう。丁度のタイミングでなければ、効果を発揮しないのだ。

 スキルの特性故、これも技術を要する上、ある程度の経験値もなければいけない。大した経験を積んでいるわけでもないあの子が習得できているということは、相応にできることを証明している。


「アイオロスは不服なようだが」

「・・・一応ではありますが、ヤツの努力は認めているつもりです」

「ほう」

「未熟ではありますが、自分の試練も悪くないところまで達しています。ですが、大型を狩れるところまでは到達してはいない」


 大型モンスターか・・・


「あれらはなかなか難しいものだ」


 小型、中型モンスタークラスと、大型モンスターとでは能力に大きな差がある。

 体格や身体能力も然りだが、中には特殊能力を有するものも出てくる。


 フォレストドラゴンが良い例だろう。

 全長二十メートルもある体躯に加え、魔力を持ち、それを使うことで周囲の樹木を支配する。支配した樹木の葉を刃として撃ち出し、枝やツタを鞭のようにして打ち付ける。人の子には到底なせない業を持ち、駆使している。


 先日の接触では魔族の子が倒したようだが、魔族であっても苦戦するようなモンスターだ。大した経験も技術もない人の子が単独で倒せるようなものではない。

 無論、キリヤも同様である。

 ただし、アイオロスが課したスキルを上手く使うことができれば達成することもできる。


 故に判断が難しい。

 今のキリヤの経験値ではなかなか難しいという面もあるが、アイオロスの考えも分かる。


「もう少し様子を見たいところだ」

「しかし」

「アイオロスが言うことも分かる。だが、あの子は我々のような存在ではない、ただの人の子だ。できることとできないこともある」

 人の子は神にはなれない。


 いや、”限りなく不可能に近い”が正しい。


 ただ、普通にしていては不可能。故になれないわけだが・・・

「あの子の可能性をもう少し見させてほしい」

 手遅れなこの状況を更に長引かせれば、下界が荒れる。

 神が判断したことがキッカケになったこと故、どうにかして解決したい。

 キリヤがそのキーになってくれると信じたい。

「二人とも、もう少し我慢してくれないか」

「かしこまりました」

「・・・承知しました」

 アポロは前向きのようだが、アイオロスは怪しい。

「すまない」

 渋々と言ったところか・・・まあ、彼の気持ちも分からなくもない故に、強く推せないのがもどかしい。

「アポロはもうしばらく張り付いていてくれ。必要があれば助言を」

「かしこまりました」

「アイオロスは付かなくてもよい。納得するまで眺めていればいい」

「承知しました」


 さて・・・私も考えなければいけないか。

 先のことも、今この瞬間も、キリヤのことも。

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