狩猟祭終了。そして・・・
「ようやく落ち着いたねぇ」
「全くだ」
宿屋に戻った俺たちは、装備を解除して一風呂浴びた。
二日間も野営したし、ヴェロニカとマーベルさんは別として、狩猟に参加した俺たちは少なからず汗を掻いて、時には地面に転がって泥に塗れ、砂埃を浴びた。すぐにでも風呂に入りたいと思っても仕方がないだろう。
その後、宿屋のスタッフがやって来て、部屋を入れ替えると言われた。
ガーベラさんが手配したらしく、言われるがままになっていると、最上階の豪華な部屋に通された。一般的に言うスイートルームってやつだ。
無駄にデカい部屋と豪華な家具だけじゃない。専用の露天風呂まであった。
狩猟の疲れが取れるようにと気遣っていたらしい。
これを使わない手はないってことで、早速露天風呂を使わせてもらったわけだ。
「これからどうなるんだ?」
「昼に狩猟祭が終わるから、発表は夕方になると思うわ」
それぞれにスイートが割り当てられて、一服した後、最上階に設けられているラウンジに集合にしていた。
今は珍味や茶菓子をつまみに、お茶、酒、ジュースをいただいている。
「集計に時間が掛かるだろうな」
参加者は百人単位だ。
一人当たりのポイント計算は早くても、参加人数が多けりゃ多いほど集計に時間は掛かる。
昼までに報告を挙げて、夕方までに計算する・・・まあ、単純に計算していくだけだし、そんなに時間は掛からないだろうけど。
「んで、そのまま選挙だっけ?」
「いえ、三日間は狩猟祭後のお祭りになります」
ってことは、後夜祭ってやつか?
「ああ、あれが長いのか・・・」
「そんなに長いのか?」
「昼夜問わずにどんちゃん騒ぎだそうだぜ。冒険者も商人も観客も関係なくな」
一種の打上げだな、こりゃ。
まあ、狩猟は体力も使うし、人によっちゃあ精神的に追い込まれることもあるだろう。
そこで酒の一杯・・・ってのが出番になるわけだな。参加者にとっちゃあたまらない一杯になるだろう。狩猟に参加しようとしまいと飲めるっていうのも、仕事で来られない人や飲めない人以外はうまい話しだし。
国家のイベントだし、参加の規模からしてそうなっても当然・・・とは思うが、三日間ぶっ通しはやり過ぎのような気もする。
イベントを催すための費用もかなり掛かるだろう。どこから出るかにもよるが・・・まあ、それは俺に関係はないことだし、考える必要はないか。
「結果発表くらいは聞きに行くか」
こっちの都合もあったものの、参加したわけだし、結果くらいは聞いておきたい。
「ガノダウラスとグリーンコアトル、タイラントスネークとソーディアスハウンドとフォレストドラゴンだぜ?ウチの勝ちに決まってら」
「ちょっと、行儀が悪いわよ」
椅子の上で胡坐を掻くジェシカと、たしなめるリオーネ。
なんか日常が戻ったって感じだな。
「うるせぇな。ガーベラだって同じだろ」
「一緒にするな」
ガーベラさんとジェシカじゃあ色々違う。残念ながら一緒にはできん。
「大型モンスターが五頭は大きいでしょうね。もうこれだけで勝ちは決まったようなものよ」
「そんなに大量のポイントが入るのか?」
「協会が設定しているポイントと同じだからね。危険度が高ければ高いほど得られるポイントは多い」
中型と大型の差はでかそうだな・・・
そりゃそうだよな。
一人でも勝てる中型に対して、大勢の人員を投入しないと対応しきれない大型。ポイントの差が大してなかったら割に合わない。
「まあ、今回もわたしの手柄だけどね」
・・・まあ、そうね。
・・・聞こえてないと助かるけど、もういっそ聞こえてたほうが楽になれるんじゃないかとか、最近思うようになった。
どんだけスキルを習得しても、どんだけ強くなっても、大型モンスターを一人で狩るとか無理があるだろう・・・
グリーンコアトルは置いておくとして、ヴェロニカが討伐した三頭・・・あれはだいぶきつかった。
詳しい内容は端折るが、自分の身を守るのに精一杯で攻撃がほとんどできなかった。
災害級のモンスターを火力だけで押し切る。ヴェロニカの戦闘能力の高さには清々しさ・・・いや、最早恐怖を感じるまである。
これが魔族・・・この世界の上位種の力なんだと思い知るのには十分な戦果だ。
「夕方まで時間はある。ちょっと休むか」
風呂に入って体が楽になったからか、眠気がそこそこ来てる。
「仮眠を取りましょう。皆さんはお休みになってください。夕方になれば私が起こしに行きます」
「助かるな」
「フェリーチェは私のほうで預かっておきますから、ゆっくり休んでください」
「よろしく」
ヴェロニカをマーベルさんに手渡して、
「さて・・・ひと眠りするか」
夕方・・・結果発表が楽しみ・・・いや、怖いな。




