13-5
「ご苦労さん」
「お、おう・・・」
日が沈みそうになったため、野営地に戻った。
オニキスはすでに戻っていた。
明日の朝一には撤収することになっているから、その陣頭指揮をするためかもしれない。
まあ、まだガノダウラスをパスポートに収納したままだし、下手に動き回るより、味方が多い場所にいたほうが安全・・・とも言える。
こっちがガノダウラスをかっぱらうって発想ができるってことは、他の連中もできるってこと。
マーガレット陣営もガノダウラスを奪われて必死になっているはずだ。姑息な手段も厭わないことも知っている。
さっさと首都に戻ればいいのに・・・とも思うが、これはこれで任務に忠実ってことか?
「随分暴れ回ったようだな」
「俺じゃない人がね?」
いや、だったら何の任務だ?
オニキスを含めて、俺たちはこの狩猟祭に勝つために動いている。
これを最優先としているはず。
陣頭指揮もあるだろうし、本命のガノダウラス討伐のために動くのはリスクを負っても果たさなきゃいけない。ただ、それでも危険を伴う行動は極力避けるべき。
今ここにいる意味は・・・?
「余計な勘繰りはしないでくれないか?」
そう言えばこの男、テレパシー持ちだったな・・・
「まあ、お前さんの察しのとおり、陣頭指揮以外にも仕事はある。だが、あくまでも今回の狩猟祭のための仕事であって、お前さんたちに影響を及ぼすような内容じゃない」
「そうは言うけどなぁ」
何やってるか分からないから余計に怖いんだよなぁ。
それに、相手がこの男だってところが余計に拍車を掛ける。
「キリ、その点は大丈夫だよ」
ヴェロニカがテレパシーを飛ばしてきて、
「裏表があればわたしも分かってるし」
・・・そういえばそうか。
ヴェロニカもテレパシーで相手の考えや感情を読んでるし、オニキスに何かあれば教えてくれるだろう。
もっと言えばガーベラさんも該当するが・・・
「もっと心を開いてくれてもいいんだがな。ガーベラ様はどうかは分からんが、俺個人としてはお前さんのことは気に入ってるんだよ」
「ほう?」
「狩猟の腕前は粗削りだが、やり取りに違和感はないし、良い関係だとも思ってるんだがな」
評価もしてくれているし、俺個人としても違和感はない。
良い関係だってのも否定しづらいところもあるしなぁ。
「まあ、分かったよ」
必要以上に疑うこともないか。最悪、ヴェロニカが察知するし、悪いことにはなり辛いだろう。
「一旦、話を切り替えてもいいか?」
「ああ、悪い」
すぐに誰かを疑う・・・俺の悪いクセなのかもしれないな。
この話は終わらせよう。
「お前さんたちの戦果次第が、このまま戻ってもらってもいい。報告は戻り次第挙げてもらったほうがいいと思うが」
モンスター次第では高いポイントを有する。
報告できるならしておいたほうがいいのも確かか。マーガレット側の連中に寝首を掻かれるくらいなら、さっさと挙げてリスクを下げるほうがいい。
「まあ、お前さんたちなら仕掛けられても返り討ちにするんだろうが」
「あ、うん・・・まあ、そうね」
返り討ちどころか、首都の一部が焼け野原になってるかもしれないが・・・
「なら、ジェシカさんたちが戻り次第、我々も戻りましょうか?」
まだジェシカたちが戻ってきていない。
あっちの戦果も気になるところだが、
「・・・いや、ここでもう一晩待機しよう」
「それでいいのか?」
「もう日も暮れる。夜間で動き回るのは得策じゃない」
ジェシカやリオーネはともかく、俺たちは地元じゃない。
この辺りに詳しいわけじゃないし、夜中にウロウロするのは危険すぎる。
それに、マーガレット陣営の連中が仕掛けてくる可能性もある。モンスターが来る可能性もあるが、どっちに仕掛けられても、オニキスや関係者が近くにいてくれるほうが安全なはず。
「わたしが焼き払ってもいいんだけどねぇ」
・・・モンスターはともかく、マーガレット側の連中がもっと悲惨な目に遭うかもしれないし、下手に動き回らないほうがいいか。
下手に仕掛けられて反撃すると、山火事になるかもしれないし・・・そうなったら別の問題になっちまうしな・・・
「明日早朝、陣営の撤収開始と同時に戻ればいいだろう」
「戻り次第報告、だな」
「ああ」
狙われる理由にもなるが、そもそもずっとモンスターを保管しておく理由もない。
身軽であるに越したことはないし、朝一ダッシュの即時報告がベストだな。
「夜中はウチの連中に任せておけばいいが、何かあれば手伝ってくれ」
「了解。じゃあ、ちょっと早めに休ませてもらうわ」
ジェシカたちが戻ってきたら、後は休みつつ警戒しておくだけ。
あとちょっとで狩猟祭が終わる。




