13-4
「っしゃ!!」
熊と戦うこと二十分・・・
討伐に成功した。
通常回避と回避性能を織り交ぜつつ、毒と麻痺による状態異常で体力を削っていく。
今までにないくらい快適な戦闘だった。
いや、快適半分、スリル半分・・・いやいや、快適が一割、スリルが四割、残り半分の恐怖のほうが正しいか。
状態異常は今までも世話になってきたが、回避性能を実戦で試すのは初めてだ。
単純な動きばかりの熊だったから、今回は動きを合わせるだけで済んだ。だが、ガノダウラスみたいな巨体、かつ近距離と遠距離の両方を持つモンスター相手だと、合わせるだけじゃ済まない。もっとよく考えて動かないと死ぬ可能性は高いだろう。
人間同士のケンカならともかく、この世界のモンスターの攻撃は基本的に一撃必殺・・・しかも、それをギリギリまで引き付けてかわさなきゃいけない。これに恐怖を抱かない人間がいるんだろうか?
いるとしたら、確実に頭のネジが何本か溶けて無くなってるか、神経が麻痺してるかのどれかだろう。
これをより高い精度で発揮させることができたら、もっと楽に状況を展開できるはず。
ただまあ、こればかりは練習・・・いや、実戦経験を積んでいかないとどうしようもない。
できればモンスター討伐とか、できるだけ避けたいところではあるんだが、色んなケースを経験していかないとまあ、アイオロスの件もあることだし、前向きに取り組むとしよう。
実際、この立ち回りを完璧にすることができれば、理論上では被弾するリスクは無くなるわけだし、悪い話でもないわけだし。
「さて、帰るか」
熊をパスポートに収納して、ヴェロニカたちが待っている場所に戻る。
「あ、帰って来た!」
「おかえりなさい」
「おう」
二人は別れた位置で待機していた。
「上手くいったようだねぇ!」
「なんとかな」
無傷だって分かるし、討伐できたことは察してくれている。
「とりあえず戻るか」
目的は達成しているし、一旦戻って連絡しておいたほうがいいだろう。情報共有は大切だしな。
「みんなの援護に行かなくて大丈夫かい?」
・・・それもあるか。
まあ、ジェシカたちもそれぞれレベルアップしている。
スキル習得と、それに活かすための立ち回りも練習していたし、ガノダウラスやグリーンコアトルみたいな大型モンスターを倒しに行ってるわけでもない。
道中、ヤバいモンスターに遭遇することもないこたないとは思うが、そうなったらそうなったでたぶん逃げるだろう。いや、ジェシカは突っ込むか・・・?
とりあえず、最低限の危機管理はされているだろうし、そのままにしておいても問題はないと思うが・・・
「良い機会ですし、それぞれに立ち回っていただくというのはどうでしょう?」
ずっと一緒にいるならまだしも、いつかは解散するパーティだ。これから先、どこかのタイミングで俺たちは離脱することになる。
ジェシカ、キース、リオーネ。三人とも、解散後はそれぞれ、自分の力でやっていかないといけない。
今回はチームを組んで挑んでいるにしても、立ち回りを見つめる良い機会かもしれないな。
「よし、それでいこう」
なら、このまま戻ることになるか。
「一つ提案があるのだけど」
ヴェロニカが何かを思いついたらしい。
「・・・一応、聞こうか?」
聞いたら最後のような気もするが、大体こういう時の提案はろくでもないんだよなぁ。
「大型モンスターを狩りに行くのはどうかな?」
・・・ほら、ろくでもない。
「ううん、どうだろねぇ???」




