13-3
「グ・・・!?グガッ・・・!?」
熊が混乱している。
よろつきながらも体勢を立て直しているが、起こった事が理解できていない。
『上手くいったようだな』
「おう」
本当ならタックルを受けていた。
だが、実際は受けていない。
どういう現象が起こったのか?
答えは単純。
回避性能スキルが発揮したからだ。
「グオオォォォッ!!」
熊がまた突進してくる。
『先ほどと同じようにやればいい』
「分かってるよ!」
可能な限り引き付けつつ、体勢と心構えをしっかりしておく。
「グオォォッ!!」
シンプルなタックル。
さっきと同じ要領でこれを、
「んッ!!」
こっちから受けに行くつもりで踏み込む!
「グオァッ!?」
熊はまた的を見失うが、
「今度は体勢を立て直したか!」
同じミスを何度もするわけではない、か。
そうしてくれるとだいぶ楽なんだが、相手も生きるために必死だ。
それはまあ、こっちも同じなわけだが。
『要領は分かったようだな』
「随分痛い思いをしたからな」
―――回避性能スキル。
ずっとこのスキルの発動条件は何か模索していた。
突っ込んで来る相手、もしくはブレスを撃ってくるような相手に対して、事前に来ることを予想。それに対して動いて避ける。それならスキルなんか無くてもできること。無論、できるかできないかは別として。
だが、スキルとして存在している以上、通常では得られない効果を発揮するはず。
それを紐解き、完璧に発動させることができるなら、もっと楽に動けるようになる。
発動条件を見極める。
そのために、ヴェロニカに水魔法を撃ってもらったわけだ。
『だが、確実にモノにできているわけではない。気持ちは引き締めてゆけ、少年』
「耳が痛い話だな!」
熊は何が起こっているのか分からずに混乱しているように見える。
今度はこっちから仕掛ける!
「スピードで攻めつつ!」
程ほどの距離まで詰めて、スピードウィップでしばく!
「グオァッ!!」
だが、そう簡単にしばかれ続けちゃくれない。
熊は詰め寄ってきて、反撃の右腕を振り上げる!
『少年!』
当たったら頭が吹っ飛ぶどころの話じゃない。
さっさと飛んで避けたいが、それじゃあ攻められない。
「んんッ!!」
食らう覚悟をしつつ右足で踏み込む!
「グオッ!?」
振り上げた拳を振り下ろした熊が、俺を捉えきれずに体勢を崩す!
「回避成功・・・!」
不思議回避で攻撃を回避したなら、
「そらっ!!」
連続で革紐を叩き込む!!
「グオアァッ!?」
顔、腹、脇腹に攻撃を叩き込み、一旦距離を取る。
「よし、順調だ!」
回避性能の発動条件・・・それは、攻撃を受ける瞬間に動くことだった。
敵の攻撃が来て、自分に直撃する。それに合わせて動くと発動する。
発動すると、無敵時間が設定されるようになっていて、攻撃をすり抜けることができるわけだ。
動くっていうのも単純じゃない。
スキル発動で発生する無敵時間は、レベル1でせいぜい一秒くらいらしい。
この一秒間は何をされても無傷で済むが、超えると残りの攻撃を受けることになる。単純なパンチ一発なら問題だろうが、ブレスのような広範囲かつ長時間発動するような攻撃には効果が薄い。いや、薄いどころか攻撃を受けてしまうから、下手すりゃ即死だ。
それを考慮した上でどう動くかを考えなければいけない・・・って、なかなかハードな条件になる。
ここで俺は気付いた。
動くだけで反応してくれるなら、敵に向かって一歩踏み込むだけで発動するんじゃないか?と。
その結果はこの通り。熊のタックルもパンチも回避できている。
このスキルを発動させられれば、普通なら即死の攻撃をかわせる。
そして更に恩恵もある。
敵の攻撃の隙を突ける。
「シッ!!」
目標を捉えきれなかった場合、勢い余って木や壁に激突することだってあるし、目標を捉えきれずに体勢を崩すこともある。
障害物にぶつかってくれたら、それがダメージになる。体勢を崩せば隙になるから、こっちの攻撃を当てやすいし、無防備になってる分、しっかりダメージが通る。
スキルの発動条件もシビアだし、よく考えて動かなきゃ死ぬ可能性は十分にある。
だが、使いこなすことができれば、無傷で済むだけじゃなく、より攻撃的に動くことができるようになる。
回避性能を使いこなす。
手応えは十分!
「後はコイツをしばくだけ!!」




