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毒使い

頑張ります!

狼型モンスターが咆哮した。

「ウォォーーン!!」

アモンは反射的に後ろへ飛び退く。

地面が揺れた。

————————————————————

モンスターが突進してくる。

速い。

目に追えないぐらい速い。

「無理無理無理無理!!」

アモンは全力で逃げた。

⸻—————————————————

「先輩!助けてください!」

「頑張れー。」

アルファは遠くで手を振っていた。

「助ける気あります!?」

「あるよ。」

「全然助けるようには、見えないんですけど!?」

モンスターが飛びかかる。

————————————————————

アモンは転がるように回避した。

モンスターの大きな爪が数センチ横を通り過ぎる。

アモンの背筋が凍った。

「このままだと死ぬ!」

本気でそう思った。

狼が再び向き直る。

————————————————————

そして飛びかかろうとした瞬間。

「まぁ、初日はこんなもんかな。」

アルファが前へ出た。

「先輩!」

モンスターがアルファへ向い、足を振り上げる。

だが、アルファは避けない。

「先輩!」

モンスターの足がアルファに触れようとした瞬間。

先にアルファの手が狼の鼻先へ触れた。

————————————————————

ほんの一瞬。

それだけだった。

じゅっ。

嫌な音が響く。

「……え?」

————————————————————

モンスターの顔が崩れ始めた。

肉が溶ける。

骨が露出する。

まるで腐敗を何百倍にも加速させたようだった。

モンスターが苦痛の悲鳴を上げる。

⸻—————————————————

しかし止まらない。

腐敗は全身へ広がっていく。

数秒後。

そこには骨だけが残っていた。

————————————————————

「……。」

沈黙。

「….怖っ!!」

アモンは思わず叫んだ。

アルファは苦笑する。

「な?触れなくて正解だったろ?」

アモンは骨を指差した。

「と言うか何ですか今の!?」

「僕のスキル。」

アルファはあっさり答えた。

————————————————————

「えっと名前は、崩壊毒ヴァイラス

崩壊毒ヴァイラス?」

「触れた対象を触れた所から破壊する能力。」

「恐ろしすぎません!?」

「うん。」

即答だった。

「でもね少々扱いが難しいんだ。」

アモンは少し考える。

「でもそれ扱いが難しいって言っても最強じゃないですか?」

「最強じゃないよ。」

アルファは首を振る。

そして、少しだけ寂しそうに笑った。

「僕少しでも触れられたら死ぬから。」

「え?」

「正確には触れられることで、今まで使ってきたヴァイラスの反動がきて死ぬ。」

————————————————————

アモンは固まった。

「ちょ、ちょっと待ってください。」

「うん。」

「めちゃくちゃ欠陥能力じゃないですか。」

「そうだね。」

アルファは笑う。

「だから仲間が必要なんだ。」

その言葉は妙に重かった。

先ほどまでの軽い調子とは違う。

————————————————————

「勇者代行の人って……みんなそんな感じなんですか?」

「うん。」

アルファは空を見上げた。

「だいたい強い能力ほどヤバい欠陥がある。」

「欠陥?」

「代償って言った方が近いかな。」

アモンは自分の手を見る。

まだ自分のスキルは分からない。

でも、この会社で生きるなら。

きっと自分も何かを背負うことになる。

そんな予感がした。

————————————————————

その時だった。

遠くの森から爆発音が響く。

ドォォォン!!

「!?」

アルファの顔色が変わる。

初めて見る表情だった。

「先輩?」

「まずいな。」

アルファは森の方を見つめる。

「この音……新人研修エリア外の所からだ。」

————————————————————

そして。

「アモン君。」

「はい。」

「初日から運が悪いかもしれない。」

アルファは苦笑した。

「行くよ。」

森の奥で、再び爆発が起きた。

4話目からは、週一投稿になります!「土曜日投稿」

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