新人研修
頑張ります!
巨大な扉を抜けた瞬間。
アモンの身体を風が撫でた。
「うわっ!」
思わず振り返る。
しかし、さっきまで通ってきた扉はどこにもない。
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目の前に広がるのは広大な草原。
遠くには山脈。
空には見たこともない二つの月。
「本当に異世界じゃん……」
————————————————————「その反応は毎回見ます。」
ルゼが平然と言った。
「毎回って……」
「新人全員そうですから。」
ルゼは歩き始める。
アモンも慌てて後を追った。
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しばらく歩くと、小さな拠点のような建物が見えてきた。
木製の柵。
見張り台。
そして武装した人々。
「ここが第一研修拠点です。」
「研修?」
「はい。」
ルゼは当然のように言った。
「アモンさんはまだ戦闘経験がありませんので。」
「そりゃそうですよ!」
「安心してください。」
ルゼは微笑む。
「新人死亡率は十五パーセントです。」
「全然安心できない!」
その時だった。
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「お?」
聞き慣れない声。
アモンが振り返る。
そこには一人の青年が立っていた。
金髪。
長身。
年齢は二十代前半ほど。
そして何より。
妙に人懐っこい笑顔だった。
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「その反応は新人だね?」
「え?」
「ようこそ勇者代行ユートピア社へ。」
青年は笑う。
「僕はアルファ。」
「アルファ?」
「君の教育係だよ。」
「よろしくね。」
アルファは手を差し出す。
アモンも反射的に握ろうとして…
「待ってください。」
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ルゼが止めた。
「触れてはいけません。」
「え?」
アモンは固まる。
アルファは苦笑した。
「社長。」
「事実でしょう。」
「まぁそうですけど。」
アルファは肩をすくめる。
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「実は僕のスキル、ちょっと危なくてね。」
「危ない?」
「うん。」
アルファは笑う。
「触れた相手を殺せる。」
沈黙。
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「はい?」
「だから触れた相手を殺せちゃうの」
「え?」
「だからごめんね。」
「君とは握手はできないんだ。」
「いやいやいや!」
アモンは一歩下がる。
「もっと早く言ってくださいよ!」
「ごめんごめん。」
全然悪びれていない。
ルゼは小さくため息を吐いた。
「後は任せます。」
「了解。」
そしてルゼは去っていった。
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アモンは慌てる。
「えっ!?」
「社長帰った!?」
「いつものこと。」
アルファは笑った。
「さて。」
次の瞬間。
アルファの表情が変わる。
「新人研修を始めようか。」
「何するんです?」
「簡単だよ。」
アルファは草原の奥を指差した。
そこには何かがいた。
四足歩行。
灰色の毛皮。
狼に似ているが大きさはトラック並みだった。
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「うそでしょ。」
アモンがつぶやく。
アルファはニヤリと笑う。
「じゃあ新人君。」
「はい。」
「まずは生き残ろうか。」
「え?」
狼型モンスターがこちらを向いた。
アモンの顔から血の気が引く。
「頑張れ。」
「ええぇぇぇぇぇ!?」
モンスターが咆哮した。
3話目は、6月11日17時30分に投稿します。




