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月下の半妖  作者: 霜月パラド
半妖の鬼と特務退魔課
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99/102

飲み明かそう

サクヤと鍛錬の最中、ヤマトがやってくる。そして、見せたいものとは───

「ほんっっとあなたたちは何回も何回も」


「ゴメンナサイ」


「ゴメンナサイ…」


正座をする2人。ニコが仁王立ちで立っていた。


「まぁ、今日はいいわ。ほら、さっさと食べるわよ」


いつもならもっとガミガミ言われるはずがニコはヒラヒラと手を振り席に戻る。

2人は顔を見合せて汗を流す。


「もしかして、ガチでキレてる…?」


「わ、分からない…でもそんな風には見えないよ…」


「なにしてるの!早く!」


「はい!ただ今!ほら、行こうなゆた」


席に着くと白夜は面白そうに見てる。


「んだよ狐」


「いーや?昨日よりはまだマシな顔してはるなーって」

「それより、ニコちゃん怖すぎやろ…あのなゆたまでを正座させるとは…」


ヒソヒソとニコを見ながら怯える。

ヤマトも口に手を当てヒソヒソと話す。


「いや、ホントだよ…あいつだけは怒らすな…本当にやばい…」


「そんな感じしはるわ」


ドンッ


「ひっ…」


前を見るとフォークを突き刺し黒い笑顔のニコ。


「全部聞こえてるわよ」


「やだなぁ!ちょーーっと仲良く話してただけじゃねぇか!なぁ!白夜!」


「そうやでニコちゃん!ちょーーっと男子トークっちゅーもんをヤマトと話しとっただけや!」


「やっぱ男共要らないわね…」


「に、ニコ。あのさ、その…服のボタン取れちゃって…あー、ニコ上手だし、ニコにしか出来ないからやってほしいなー…なんて…」


庇うようになゆたはニコに抱きつく。

黒い笑顔は消え去りニマニマと嬉しそうに笑う。


「どこのボタン取れちゃったの?もー!なゆたは世界で1番可愛いわ!私の天使!」


頬にキスをするとヤマトが机に足を乗せ指を指す。


「あっ、てめぇニコ!またなゆたにキスをしたな!!!」


「ねぇなゆた。あんな野蛮な兄じゃなくて綺麗な姉なんてどう?」


「お前らいい加減、静かに食事をしろ!!」


言い合うヤマトとニコ。慌てながらも止めようとするなゆた。2人を注意するサクヤ。

そんな4人を白夜は微笑ましく見る。


「ほんま賑やかやなぁ」


楽しい食卓。


笑い声。


その頃──


「黄泉。次の任務だ。動けるだろう?」


暗い部屋。


そう声をかけられ、

銀髪の青年は静かに目を開ける。


「はい、隊長」


「対象は…百鬼夜」


その瞬間だけ、

黄泉の瞳が揺れた。


◇◆◇◆


「はい、じゃんけんぽん!!」


「今日はなゆたとサクヤ、俺とニコな」


「加減してちょうだいね」


「バカ、加減したら鍛錬にならねぇだろ」


ニコは不機嫌そうに、


「あんたの馬鹿力めんどくさいのよねぇ…」


「よろしく、サクヤ」


「よろしく。早速行こう」


なゆたとサクヤは早々と場所に向かう。

静かな森。その中で刃と刃がぶつかる音だけ響く。


「なゆた、少し休憩しながら話さないか?」


「わかった」


武器を消し、木の下に腰かける。


「なゆたは、本当の兄を知ってもヤマトを兄だと言うのか?」


「やっぱ見ていたの?そうだね。黄泉もヤマトもボクの兄」


サクヤは静かに聞く。


「どっちか選べと言われたら?」


風が葉を揺らす。


「ボクは──」


答えようとした瞬間、


「いたいた。おーい!なゆた!サクヤ!クロガネが良いもん見つけてきたんだけどちょっと来てくれよー!」


ヤマトが駆け寄る。なゆたは自然に立ち上がりヤマトの元に行く。


「なんか話してたのか?」


「えっと…」


「いや、たわいない話だ。それより良いものとは?」


サクヤはなゆたが話す前に逸らす。


「そうそう!なゆたも喜ぶぞ〜」


嬉しそうに笑い戻る。


「あ!きたきた!」


3人が戻るとそこには酒の瓶が並んでいる。


「これは?」


なゆたは目を輝かせる。


「城の奥に置いてあった。前王の酒だ」


「えらいたくさんあるんやなぁ…」


「今日は飲み明かそうって話になってさー、いいだろ?サクヤ」


「…飲みすぎるなよ」


サクヤは息をつき酒を見る。


「これ美味しそう」


「お?さっそく飲む?」


「俺はなにかツマミになるものを作ってくる」


そう言い、サクヤは城の中に入る。


「私もお手伝い行ってくるわね」


ニコはサクヤの後を追いかける。

ふとなゆたを見るとまだ悩んでいた。


「なゆた、悩むなら全部飲めばいいよ」


「いいの…?」


「今日こそぜってぇ潰すからな」


「それもう何百回も聞いたよ」


しばらくし、ニコとサクヤが戻ってくる。


「じゃあ、決戦前の気合い入れとして、カンパーイ!」


笑い声が響く。


「久々の酒、なかなか美味いなぁ」


「んだよ白夜。そんなちびちび飲みやがって」


「げっ…俺は俺のペースで飲んでるんや」


「そう言わずに飲めよ!」


「は?!ちょい、待て…んぐっ?!」


瓶を持ち白夜の口に突っ込む。

俯いたと思えばゆっくり顔を上げる。


「ヤマト…てめぇ…ぶち殺すぞ…」


白夜は睨みつけそれを面白そうに笑う。


「お前、酒飲んだら口悪くなるタイプ?!だっははは!!!柄でもねぇ!!」


「ええ加減にしろよこのクソ犬!!1度てめぇを分からせたいと思ってたんや!!」


なゆたは静かに美味しそうに飲む。


「王、おつぎします」


「ありがとう。クロガネは飲まないの?」


「体の無い身ですので」


その言葉に首を傾げる。


「体の無い身…?」


「そういえば、今のお姿になってから言ってませんでしたね…」


初めて被っていた兜を脱ぐ。

なゆたは驚き、口に含んでた酒をダラダラと零す。


そこに現れたのは、


骸骨。


「私は、餓者髑髏なので飲食を必要ないのです。驚かせてしまい申し訳ございません」


また兜を被り、なゆたのコップに酒を注ぐ。


「クロガネって餓者髑髏だったんだね…意外だった。そんな大きな体だから想像つかないや。カッコイイね」


「有り難きお言葉」


「おーいなゆたぁ!」


ヤマトがやってくる。白夜の首に手を回して。


「こいつちょーおもれぇんだけど」


「人を玩具みたいに扱ってんじゃねぇよ!犬っころ!!てめぇ全然飲んでないやないか!!!」


「はぁ〜?飲んでますけど?その目は節穴ですか〜?インチキ狐」


「おーおーおー、上等やコラ。今日こそどっちが上か勝負しようやないか」


「白夜が口悪い…」


「てか、なゆたこそ飲んでないんとちゃうん」


なゆたをジロっと見る。

首を傾げているとヤマトが傍に行く。


「なゆた、何杯飲んだか覚えているか?」


「兄ちゃんは殺した敵の数をいちいち数える?」


「覚えてねぇってことだなそれ」


白夜も近づき、目を開く。


「ちょいまて…なんやその大量の空の瓶は!!」


「これは王、一人で飲まれた瓶だ」


「まじ…?」


「な?なゆたは有り得ねぇほど飲むんだって。それなのにこんなケロッとして。さすが俺の妹。世界で1番可愛くて賢い」


なゆたに抱きつき頭を撫でる。


「ところでサクヤくん…って、なにあれ…」


そこには顔を赤くして倒れているサクヤとイタズラをしてゲラゲラ笑うニコの姿。


「サクヤはお酒に弱くて1杯であの状態。ニコはそこそこ強いけど笑い上戸。兄ちゃんは絡み上戸」


「で、なゆたは?」


「ボクは…酔ったことない」


「じゃあ…」


白夜とヤマトがニヤッと笑う。


「今日はてめぇが潰れるまで付き合ってやるわ。残るは泣き上戸。なゆたの泣き顔楽しみやなぁ…なぁ、ヤマト」


「ホントてめぇとは意見が合う。2人でかかればこの鬼を倒せる」


白夜は酒を取り出す。


「これは?」


「これは鬼をも酔わせる酒や。めちゃくちゃ美味いで」


"美味い"その言葉になゆたは反応する。


「飲みたい」


かかった。


2人は悪く笑う。

クロガネは、呆れたようにニコとサクヤの介抱に回った。

ここまで見てくださりありがとうございます。


ちなみに自分は酔うとマシンガントークし始めます

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