太陽と月
黄泉が生きていたことで過去を知るなゆた。
ヤマトは本当の兄ではないと知ったなゆたはどうするのか
静かな空間、2人はただ黙って庭を見る。
「なゆた…」
「ボクと黄泉はここで遊んでた」
「…」
記憶が戻った…?
黒い感情がヤマトの中で疼く。
「でも、今のボクにとってヤマトの存在が大きすぎるんだ」
「ずっと独りだったボクにずっと手を差し伸べてくれた」
「1つの光みたいに眩しくて輝いてて…だから、」
「過去はいらないって思ってしまった」
立ち上がり庭の中に入る。
ヤマトもその後を追いかけた。
ゆっくり歩き、一つ一つ飾られている物を見る。
「ここ…ここだけ草が生えてない。誰がたくさん踏んで生えなくなってる」
「教えて。ボクの過去を」
「でも…」
ヤマトの苦しそうな顔になゆたは抱きつく。
「大丈夫だよ。記憶を知ったからって兄ちゃんから離れるわけじゃない」
それでも口を開くのは重かった。
過去を話せばまた殻に籠ってしまうんじゃないか。また笑わなくなるじゃないか。
そんな不安がヤマトを包み込む。
けど、
なゆたの眼差しはいつも真っ直ぐで正直。
羨ましいと何回思ったことか。
息を飲み込み、跪く。
「俺は…貴女方、王家直属の側近でした。なゆた様…姫様には黄泉という兄がいます」
ヤマトはただ俯いて苦しそうに話す。
「姫様は、とても無邪気でいたずらっ子でよく笑う普通の女の子です。半妖…その縛りを持ちながらも前に強く進んでおられました」
少し息を吐き、詰まる言葉を精一杯出す。
「昔から姫様は暴走を溜め込み、人間が迫ってきたことによって爆発…その際、何かに飲み込まれ殺されそうになる俺を庇った…」
「庇った黄泉様に剣を振るいました」
「俺は…」
声が震える。無理やり出してる声は上手く出ない。
手に暖かい感触。
顔をあげるとなゆたが目の前。
その目は、
"大丈夫"
とでも言うようにヤマトを見ている。
「俺は…黄泉様に命令を受けました…自分が死んだら妹、姫様の兄の代わりをしてほしい。と…」
「断りましたが、姫様のこれからのことを考え兄の代わりとして貴女に接しました」
「早く言うべき…真実をちゃんと伝えるべきだとは重々承知しております」
「ですが、貴女が俺を兄と呼び…俺は…まだ姫様の兄で居たいと思ってしまった…」
過去を話すつもりだ。なのに、なんで俺は自分の感情をぶつけている…
どこまでも俺はダサいやつだ。
「そうだったんだね…」
握る手は強くなる。
「ずっと抱え込ませてしまってごめん…ずっと辛い思いしてきたのになにも知らずまた辛い思いをさせてしまってた…」
「そんなこと…っ!」
「そんなことありません…」
「けど…」
頬に触れられ
自分を見ろ
と言わんばかりに顔をあげさせられる。
「けど、記憶がなくなってからの兄はヤマトでボクはまだちゃんと記憶が戻っていない。だから、ボクの兄のままでいてよ。兄ちゃん」
「いい、んですか…」
「ボクがそう言ってる。あと、やっぱ姫様呼びも敬語もヤマトらしくないから嫌い。いつもみたいに口悪くなゆたって呼んでよ」
「ボクの兄ちゃんは明るくて太陽みたいな人。けど、曇れば太陽もなくなる」
「それなら、ボクが兄ちゃんを導く」
両手を広げ優しく微笑む。
「兄ちゃんが太陽ならボクは月だね。月は太陽が無ければ輝けない。月にとって太陽は必要不可欠なんだよ」
その言葉に目を細め、笑う。
「本当になゆたには敵わねぇなぁ…」
「よし!」
両手で頬を叩く。
「いつまでも妹に慰められる兄じゃみっともないからな。なゆたの行きたい道があれば俺が切り開く」
「能力がなくたって剣術がある」
「大切なことを気づかせてくれてありがとう。なゆた。お前は俺の大事な妹だよ」
「よかった。あ…」
「ん?どうした?」
「ニコにご飯だからすぐに来てって言われてたんだった…」
その言葉に青くなる。
「まじ…?」
ヤマトは咄嗟になゆたを抱え、みんなが居る広場に向かう。
今までにないほどの速さで。
「兄ちゃん、速い…っ」
「急ぐぞなゆた〜!2人で仲良くニコに怒られような!」
曇っていた空から太陽が覗く。
なゆたはそれを見てただ心から嬉しそうに
笑った。
ここまで見てくださりありがとうございます。
2人で永遠に幸せになれよまじ




